Category: 設計システム
構造強度解析時間を30%削減 NKやNSYら、CSR適用船の自動評価システム開発
日本・東京ー2024年4月2日 ー 海事プレス(ニュース ー 造船・船用)にて、日本海事協会(NK)と日本シップヤード(NSY)、NAPAグループが共同で、共通構造規則(CSR)適用船の構造強度解析の自動評価システムを開発したことについて掲載されました。ぜひご覧ください。 日本海事協会(NK)と日本シップヤード(NSY)、NAPAグループは共同で、共通構造規則(CSR)適用船の構造強度解析の自動評価システムを開発した。新造船設計のリードタイム削減に重要な工程である構造共同解析の一部自動化を図ったもので、解析時間が30%削減される見込みだ。今後は解析時間の50%削減を目指して3社共同で取り組む。 NKが1日、発表した。造船会社の基本設計では構造設計がクリティカルパスとなることが多く、構造設計のリードタイム短縮が重要課題になっている。特に、構造強度解析の工程では、設計者が解析結果を見ながら強度要求基準を満足するまで計算を繰り返す必要がある。このため、多くの解析プロセスが要求されるCSR適用船では、設計期間が長期化する傾向にある。 そこで3社は、設計者が3次元(3D)CADを用いて設計をしている最中に、自動で構造強度の解析・評価が実施され、解析結果(補強要領)が反映されるシステムの構築を目指して研究を進めてきた。今回共同開発した自動評価システムは、NSYが形式知化した解析プロセスのノウハウを、NKの船体構造設計支援システム「PrimeShip-HULL」に組み込んだ。これにより解析時間の大幅短縮を図った。 さらに、3DCADをベースとした構造強度解析の全プロセスの自動化と、3Dモデルをベースとした船級承認を実現するため、「PrimeShip-HULL」とNAPAシステムとの連携も強化した。同システムの国内ユーザー向けに提供する。 いずれも国土交通省の「革新的造船工程高度化補助事業」の一環として実施した。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2024/04/183102/ PDF:構造強度解析時間を30%削減 NKやNSYら、CSR適用船の自動評価システム開発_ 造船・舶用 _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/
Read Article4月 2, 2024
世界初の3D図面承認、NKが完了 日本郵船が自前で基本設計、「造船所との共創模索」
日本・東京ー2024年3月29日 ー 海事プレス(ニュース ー 造船・船用)にて、日本郵船がNAPA Steelで作成した3Dモデルを元に、日本海事協会が2次元図面なしで基本設計の承認を完了したことについて掲載されました。ぜひご覧ください。 日本郵船は28日、日本海事協会(NK)から新造多目的コンテナ船の基本設計で3D(3次元)モデルをもとにした図面認証を取得したと発表した。現在は平面(2次元)の設計図面で行われている新造船の船級承認を3D設計モデルで行う試みは各国で研究などが進んでいるが、外航の新造船で世界初。さらに、通常は造船所が行う新造船の基本設計を今回は日本郵船が自前で行った点が特徴で、「造船所の設計負荷が増加している中、これまで造船所に手渡していた部分も海運会社が並走し、造船所との新たな『共創』の在り方を探った」(中村利執行役員)。日本の海事産業の活性化を目的に、設計プロセスの効率化の核となる構造設計の3D化に先鞭をつけるとともに、造船所の設計負荷低減のための新たな新造船プロジェクトの在り方も模索した格好だ。 新造船の図面承認の3次元化は、近年の造船デジタル化での重要テーマの1つになっている。従来の二次元の図面は、船舶の複雑な構造を平面上に表現しているため、正確に読み取るためには長年の経験と高度な専門知識が必要。これに対して3Dのモデルであれば、設計担当者や海運会社など関係者が直感的に理解できるため、3D設計が徐々に普及しつつある。だが、3DCADシステムが会社や船種によって異なるため、船級協会に承認を申請する際には共通フォーマットの2次元図面にいったん変換する必要があり、さらに船級協会も受け取った2次元図面を3Dモデルに置き換えて評価システムで確認する必要があるなど、データ入力とモデル修正で双方に時間とコストが発生することが課題だった。このため各船級協会や造船所、海運会社が、3Dモデルのままで図面承認を行う検討を進めており、NKもこれまで日本郵船や国内造船所と協力して検討を進めていた。 今回は日本郵船が、船舶構造設計ツール「NAPA Steel」を用いて作成したコンテナ船の3D設計モデルのデータを、NKが船体構造設計支援システム「PrimeShip-HULL」上の連携システムを活用して、2次元図面に変換せずに基本設計段階の全ての図面承認を完了した。基本設計から船級承認まで3D図面で完了したのは外航船では世界初。「3Dと2Dが混在している現在の承認プロセスが、設計から承認に至るまで1つの3Dモデルで行えるようになることで、後戻りやミスもなくなり、品質向上や工数削減にも貢献できる」(NKの松永昌樹技術本部長)。NKとしては3Dによる図面承認の体制を整え、今後は造船所の利用の要望に応えていく方針だ。 また今回は、日本郵船が新造船のコンセプト開発だけでなく、造船所の所掌範囲である基本設計の段階まで実施したことが大きな特徴となる。背景には、船舶燃料の転換や船舶のニーズ多様化により、海運会社が多様な船を検討する必要性がある一方、造船所の設計負荷が増加していることがある。「造船所との『共創』の可能性を模索する必要性を感じており、例えば造船所の状況に応じて新規事業のフィージビリティスタディ段階のコンセプト開発程度は船社が自前で行うなど、造船所と柔軟に『双方よし』の関係を築く手段になるのではと考えている」(中村執行役員)。今回は、造船所と設計引き継ぎのポイントとして、「どこまで進めるのが心地よいかを検証する」ために、自前で基本設計まで実施した。 図面承認の対象となったのは、東アジアと南太平洋の島しょ国の間を航行する2万2000総トン型の多目的コンテナ船「アイランダー船」。船体後方にカーデッキ、前方にコンテナ用ホールドを配置した特殊船型で、就航中の4隻のうち2隻が船齢20年を超えており代替建造を検討している。今回の設計をもとに、国内造船所と具体的な新造船商談を進めている。 3D設計への転換は、海事産業のDXで中心的なテーマだ。「3Dモデルには2次元図面より多くの情報が含まれ、より詳細でスムーズなコミュニケーションが可能。早い段階から造船所の3D設計にわれわれ船社が関与することで、設計工数が低減できる可能性がある」(山本泰工務グループ長)。設計の初期段階から3Dモデルを活用してより多くの情報を作り込むフロントローディング手法への展開や、東京大学MODE講座が研究を進めるモデルベース開発の手法、就航後の船舶での運航支援や保守への適用など、日本郵船も船舶のライフサイクルでの3Dモデルの活用策を検討する。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2024/03/183016/ PDF:世界初の3D図面承認、NKが完了日本郵船が自前で基本設計、「造船所との共創模索」 _ 造船・舶用 _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/
Read Article3月 29, 2024
省エネ開発などデジタルで支援 NAPA、業界との共同研究開発の場を設置
日本・東京ー2024年3月13日 –海事プレス(ニュース ー <造船・舶用>)にて、コンサルティングサービス「NAPA Studios」の発足についてのインタビューが掲載されました。ぜひご覧ください。 船舶の設計・運航システムを手掛けるNAPAはこのほど、船舶のエネルギー転換や運航効率改善などに関する共同研究開発のプラットフォーム「NAPAStudios」を発足したと発表した。海運会社や造船所、船級協会、金融機関、保険会社などが新しい技術や契約などの枠組みを開発する際、NAPAが設計・運航ソフトウェアやシミュレーション、デジタルツインなどのデジタル技術でプロジェクトを支援する。 NAPAは近年は海事企業との共同の研究開発プロジェクトを相次いで実施している。円筒帆メーカーのノースパワーと住友重機械とは、風力推進と航海最適化を組み合わせた排出削減効果の研究を実施した。日本海事協会(NK)と丸紅とは、航路最適化システムの活用による温室効果ガス(GHG)排出量削減とCII(燃費格付)に関する共同研究を行っている。さらに、船舶の目的地到着時間を最適化してGHG排出削減を目指す業界横断プロジェクト「ブルー・ヴィスビー(Blue Visby)」でも、世界30社以上の企業・組織からなるコンソーシアムでNAPAがコーディネーター役を担う。 今後はこうした業界関係企業との共同プロジェクトを「NAPA Studios」を通じて個別に調整し実施する。造船所と共同で、竣工後の実海域での運航データを活用して将来の設計に活用するようなプロジェクトや、船主や用船者と連携して運航船のGHG排出量削減や運航コスト削減の可能性を評価するプロジェクトなどを想定している。 NAPA Studioの代表を務める水谷直樹副社長は「造船所や船主が省エネ装置や新燃料などの新技術を導入した際の影響を個船ごとに評価できるよう、信頼できるデジタルツールを活用する。また、金融、保険、政府、荷主をはじめとするすべての主要な海事関係者との連携を強化し、業界が新しいパートナーシップやビジネスモデルを積極的に受け入れる基盤を築くことも目指している」とコメントしている。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2024/03/182602/ PDF:省エネ開発などデジタルで支援NAPA、業界との共同研究開発の場を設置 <造船・舶用> ニュース 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/
Read Article3月 13, 2024
NAPA Studiosを読み解く
先日、私たちはNAPA Studiosの立ち上げを発表しました。NAPA Studiosは、NAPA の広範囲にわたるデジタル技術と海事専門知識を活用して、環境規制の強化やサプライチェーンの混乱、サイバーセキュリティなどの海運業界の差し迫った課題の解決に焦点を当てたグローバルなサービスです。この新しいサービスを通じて、海運業界がどのように利益を得ることができるのか、よくある質問を見てみましょう。
Read Article3月 12, 2024
効率を追求:VARDが10週間で実現した3D船舶設計
VARD Design & Engineering社のチームは大きな課題に直面しました:彼らは典型的な構造設計時間を3分の1に削減し、契約締結から船級承認 までを10週間で終えることができるでしょうか? NAPAの3Dベースのツールを駆使して、賢く、創造的に、そして協調的に働くことで彼らはこの難局を打開しました。彼らがどの様に速度と精度を両立させて大成功に導いたかをここで紹介します。 造船業界は変化の最中にあります。よりクリーンで安全であることを求める規則強化により、船舶の設計はしばしば急進的な革新を強いられます。納期も短縮され、その結果、設計者はより多くのことをより少ない時間で行わなければならなくなっています。 この様な状況により、伝統的な直線的な設計プロセスでは対応が難しくなり、より早い段階で設計を確定させることが必要になっています。そして、デジタル3D環境上のモデルという「信頼できる唯一の情報源」にアクセスでき、様々な分野の検討を同時に行うことを可能にする新世代の設計ツールが要求されるようになりました。 NAPAは、構造設計を含む一連のツールを先駆的に業界に提供してきました。これらのツールがどのように構造設計プロセスを変革し、加速させることができるかは、 VARD Design & Engineering社のチームが10週間で船級承認までを完遂させた事例によって示されます。これは通常のプロセスから4週間から6週間も短い期間です。 分散型および協調型エンジニアリング VARD社は難局を好機に変えました。同社は、オフショア再生可能エネルギー分野向けに4 19シリーズの設計をベースにした風力推進船を提供するビジネスチャンスがありました。しかし、同社の造船所の建造スロットで利用可能なものは、船級承認までを完遂させるための時間を考えると理想的とは言えませんでした。同スロットで建造するためには、通常の14-16週間から10週間に設計期間を短縮する必要があったのです。この様な期間短縮を実現するためには、設計チームと船級協会の双方の創造的な思考と協力が必要で、このようなニーズが協調型の効率的なプロセスを実現する不可欠な基盤になりました。 VARD社の主要なエンジニアリングオフィスはノルウェーのÅlesundにあり、11カ国に合計22の拠点を持っています。拠点と専門部門が地理的に広範に分散しているため、VARD社は分散エンジニアリングモデルを運用し、特に時間的制約が厳しい場合には機敏に対応できるようにしています。例えば、10週間で風力推進船を提供するために、クロアチアの設計オフィスのエンジニアがÅlesundに飛んで一連のタスクを完了させるのと並行して、ルーマニアのTulceaのエンジニアリングオフィスのスタッフがモデリング作業を行いました。 デジタルツールの中心的役割 NAPAの構造設計ソリューションは、初期段階から、事前調整に必要な構造細部を含む3Dモデルを容易に作成できます。機械部門と配管部門の担当者は並行して作業を行うことができ、必要に応じて船の構造は随時変更されます。 「私たちはNAPAという3Dツールを用いることによって、船を大きな視点からでも詳細レベルからでも見ることができます。それにより、私たちはÅlesundにいながら状況をよく把握でき、現場の造船所で問題が発生する前に見つけることができます。」— Lina Austigard、VARD Design & Engineering社のシニアエンジニア Austigard氏は、時間のプレッシャーが高まる中で、詳細設計を早期に開始できることが重要な利点であると強調しています。 NAPAはその様な設計の早期開始を実現できます。2Dでは必ずしも捉えられない欠陥、例えば、整合性が取れていない箇所や、現実にはありえないような区画などを見つけることができます。 個別要望を把握する 船級承認の所要時間である典型的な14-16週間の場合でも、詳細な作業を行うために設計チームと造船所とのコミュニケーションは多く必要となります。実際の建造船の開発にはさらに多くの時間が必要で、姉妹船であっても大きな差異があることがあります。 同じ市場向けであっても、異なるクライアントからは異なる要求を受けることがあります。例えば、風力推進船は通常、大きなと少なくとも一つの大きなクレーンが装備されますが、クライアントごとにギャングウェイの種類、使用方法、クレーンや他の機器の数についてこだわりがあります。また、宿泊施設に関しても、何人が船上で生活し、どのような居住水準とするのか、という点でも異なる要件があるかもしれません。 「新しいタイプの燃料への対応を志向するクライアントがますます多くなっています。私たちは、将来的に新しい燃料への改装を可能とする“新燃料対応準備済み”船を建造しています。」とAustigard氏は言います。 NAPAとのパートナーシップ NAPAチームとの密接な関係も、重要な成功要因の一つです。特に、NAPA Steelの導入後の最初の数ヶ月間には、トレーニングビデオやスクリプトの提供を含む適切なタイミングのサポートのおかげで、VARD社は課題を解決するために必要なスキルと自信を早期に得ることができました。新設計の品質と性能を保証する必要がある中、NAPAとのこのような関係が時間短縮の取り組み強化の中心的な役割を果たしています。
Read Article2月 28, 2024
NAPA Studios 始動 船舶のエネルギー転換をデータ主導で加速
NAPA Studios は、船舶の設計と運航における安全性、経済性、環境性、効率性に関する課題解決に向け、必要なデータに基づく支援を提供し海運業界の要望に応えます。 ヘルシンキ、2024 年 2 月 28 日 – 海事ソフトウェアおよびデータサービスのグローバルプロバイダーである NAPA は、新たに NAPA Studios の発足を正式に発表いたしました。NAPA Studios では、海事産業が直面する船舶設計と運航上の様々な課題に対して、新たなデータに基づいた知見を提供し、業界横断的なパートナーシップの促進を目指します。 この取り組みは、NAPA の広範囲にわたるデジタル技術と海事専門知識を活用して、船舶のエネルギー転換を含むいくつかの重要な課題の解決を支援するものです。これには、船主、傭船者、造船所、船級だけでなく、金融機関や保険会社などからのデータと業界の専門知識を集結させ、新技術や契約の実用的な影響についての理解を深め、ネットゼロへの移行に必要とされる新技術と運用の枠組みを開発する共同プロジェクトを推進します。 さらに、NAPA Studios は、NAPA の設計と運航の高度なソフトウェア、パフォーマンスモデル、デジタルツインおよびシミュレーションツール開発の知見を活かし、造船所、船主、用船者、およびその他のサプライチェーン関係者と直接協力して、個別にプロジェクトを調整し推進します。例えば、この取り組みにより、造船所は竣工後の実海域での運航データをさらに活用して、将来の設計に活用することができます。他にも、船主や用船者が自社保有船の環境性能、GHG 排出量削減、運航コスト削減可能性を評価するための支援を行います。航路最適化システム、風力推進装置、クリーン燃料などの新技術の導入が船の安全性、運用、貨物容量に与える将来の影響について、データに基づく検証結果を提供することで、 新たな省エネデバイス搭載された後の船の実海域での性能検証等にも幅広く活用することができます。 NAPA Studios の立上げについては、NAPA が携わった直近の協働によって、成功を収められたことで、正式に採用となりました。これには、Norsepower および住友重機械マリンエンジニアリングとのローターセイルと航海最適化を組み合わせた排出削減効果を評価するシミュレーションの研究、日本海事協会および丸紅との共同研究プロジェクトなどが含まれます。後者のプロジェクトでは、航路最適化システムを活用することで GHG 排出量を約 7.3%削減し、CII 値を最大 3 年間、維持できることが判明しました。 また、30 社以上の企業と組織が集まる業界横断的なプロジェクトである Blue Visby プロジェクトは、「速く航走して沖待ちする」という既存の「Sail Fast, Then Wait」(SFTW)の課題に取り組むことで、海上輸送に伴う CO₂排出量削減を支援しており、これも NAPA の技術によって支えられています。 NAPA Studio 代表である、水谷直樹は以下のようにコメントしています。 「NAPA は、過去 35 […]
Read Article2月 28, 2024
NAPA Release 2023.2
2023年のNAPAリリースの第2弾が公開されました! ソフトウェアのすべての変更点は、NAPAリリースノート2023.2のドキュメントに記載されており、インストールパッケージと共にNAPAnetにて提供しています。 NAPAリリース2023.2のハイライト: 積載状態の作成と管理がより効率的になりました 非損傷時及び損傷時復原性計算に対する多くのユーザーからの改善要望が反映されました 詳細な設計指向の構造設計ツールに向けたツールが実装されました 自動有限要素メッシュ作成ツールがより効率的になりました NAPA Viewerが生産関係者とのコラボレーションを効率化できるようになりました ハイドロ計算と復原性 最新のリリースでは、特に復原性計算関連の定義と検討の効率性を向上させました。 NAPA Designerの積載状態ツールセットには、積載状態の作成と管理を高速化する”積付ルール”の機能が加わりました。”積付ルール”により、複数の積載状態を同時に変更することが可能になり、例えば、複数の状態の積付状態を同時に更新して、積載状態の一貫性を保証することができます。 また、より簡単な操作で定義可能な自由表面計算ルールやレポーティングの機能も新たなツールとして利用可能となりました。 非損傷時と損傷時復原性分析については、いくつかのルールの更新とユーザー様からのご要望の機能を実装しました。新しいリリースでは、例えば、MSC.527(106)に基づく2024年のIPコード要件をサポートしています。決定論の損傷時復原性計算を行うマネージャーアプリケーションが従来NAPAに新規実装され、特に新しいNAPAユーザーが必要とする定義と検討を支援します。 詳細はNAPAリリースノートをご覧ください! 詳細な構造設計 このリリースでは、初期設計から詳細設計へ3D設計のワークフローをシームレスに拡張したいという期待に応えるための実用的な改善が数多く提供されています。改良された「Saved Views」は、設計者が焦点を当てたい設計情報に瞬時にアクセスするのに役立ちます。ポリラインツールは、複雑な構造を持つ円弧形状を簡単に表現するために改良されました。 このリリースでは、コーナーノッチの修正機能、スティフナとブラケットのモールド面の調整機能、ブロック単位の描画機能などが実装されました。その他のさまざまなユーザーエクスペリエンスの強化と合わせ、詳細設計がより簡単で効率的に行えるようになりました。 有限要素(FE)メッシュ 新しいリリースでは、詳細な3Dモデルから高品質のFEMへの変換を可能にする革新的な機能が導入され、面倒なメッシュの手直しを最小限に抑えられます。「Collapse Narrow Parts」機能は、プレートの端にある狭い要素を自動的に削除し、「Idealization Exception」ツールを用いれば、不規則に配置された構造を希望通りにメッシュ化できます。さらに、「Combined FE Model」機能により、大規模なFEモデルの複数人での協同作業が可能になりました。 NAPA Viewerの使用 NAPA Viewerは、ウェブベースの3Dコラボレーションツールで、NAPA 3Dモデルに含まれるさまざまな設計情報を効率的に視覚化できます。新たに実装されたブロック単位の描画ツールを用いれば、生産関係者は設計レビュー、建造工程の検討、初期設計段階での設計とのコミュニケーションを効率的に行う事ができます。 お読みいただきありがとうございました!
Read Article1月 29, 2024
KYMA社: 3Dモデルが引き起こすヨットデザインの革新
ヨットデザインの世界は、常に革新が求められています。進化する顧客の要求は、船舶設計者や構造エンジニアに対して、創造性の限界を押し広げるように促しながら、安全性とスムーズで効率的な設計プロセスを確保することを求めています。ここでは、NAPAツールを使用して、KYMA社が最新の3D船舶設計を活用し、どのようにこの難題を好機として取り組んだかについてお伝えします。
Read Article1月 28, 2024
代替燃料の未来をモデル化するには
あなたの船が将来どのような代替燃料を使用するのか知りたいですか?あなただけではありません。新しいエネルギー源が世界の船舶に登場するにつれて、船舶業界は確実性を求めています。しかし、占いに頼る必要はありません – 代わりに、シミュレーションツールを使用することで、新しい船の設計、運用、コストについて何を期待するべきかを明らかにすることができます。試す準備はできていますか?ここではその方法を説明します。 船舶業界の代替燃料と革新的な船舶設計への関心は否定できません。現在、代替燃料を使用できる船舶は、世界の船のごく一部 – 総トン数で約6.52% – を占めていますが、その数は急速に増えることが予想されます。2023年の世界のオーダーブックの約半分は、メタノール、LPG、LNG、またはバッテリーを含む代替燃料または動力システムを使用する船舶のためのものでした。これは、前年の3分の1に比べて増加しています(DNVの分析による)。 この代替燃料への需要の増加は、大部分が単純な計算によるものです:エネルギー効率の良い船舶を持つことは商業的に利益をもたらします。すでに、現代のエネルギー効率の良い船舶は、古い船舶よりも優れたチャーター料金を得る傾向があり、プレミアムは1日あたり数千ドルに達し、特定の船舶タイプではさらに高くなります。 ビジネスケースは、燃料効率だけでなく、大幅な温室効果ガス排出削減を目指すことで、今後も成長を続けるでしょう。最近、欧州域内排出量取引制度(EU ETS)が船舶に拡大されたことで、船舶は現在、その船舶自体のCO2排出量に対して金銭的負担が求められており、炭素に直接的な価格を設定しています。これには、IMOのCII規制が追加され、これは船舶の競争力とビジネスの見通しをその運用効率に結びつけることを目指しています。今後、評価の低い船舶はビジネスや資金調達を確保するのに苦労する可能性がありますが、トップ評価の船舶は競争優位を持つ可能性があります。 リスクと機会のバランス その結果、代替燃料の使用を先駆けて行う船舶所有者には、大きな潜在的な利益があります。しかし、この戦略はリスクを伴います。新しい燃料への移行は、船舶の安全性、復原性、構成に大きな影響を及ぼし、新しい貯蔵タンクの統合を必要とします。これにより、貨物容量が減少し、したがって商業的な利益性に影響を与える可能性があります。それを正しく行うことは重要ですが、どのようにすればよいのでしょうか? 答えの一部は、私たちが既に手元にあるツールをどのように使用し、組み合わせるかについて創造的に考えることにあります。ここでは、運航シミュレーション機能と3Dツールを船舶設計に一緒に使用することで、多くの洞察を得ることができます。 運航データが船舶設計に新たな洞察をもたらす方法 これはすでに現実のものであり、船舶設計者や技術者は、運航シミュレーションモデルを使用して、未来の船舶が航行するルートの天候や海の状況の範囲について詳細な画像を得ることができます。 この分析は、風速と風向、波高とうねり、および流速と流向に関する過去のデータによって支えられています。そこから、NAPA Designerで作成された3Dモデルを使用して、直接強度分析と荷重評価を行うことができ、未来の船体へのストレスを現実的な方法でシミュレーションを行い、それに応じて設計を調整するのに役立ちます。 このデータ駆動型の天候と海洋状況の画像は、特定の船舶に対して風力推進システムが実際に達成可能な排出削減をシミュレートするためにも使用できます。これにより、船舶所有者は、これらのシステムへの投資を行う前に、より確実性を得ることができます。 多燃料時代に入るにつれて、運航シミュレーションは、未来の船舶が航行する速度の範囲や未来の燃料消費量についての貴重な洞察をもたらすこともできます。これにより、必要なエンジンの最適な出力を決定するだけでなく、船舶に必要な燃料タンクのサイズ決定にも役立ちます。アンモニア、水素、メタノールなどの未来の燃料は、化石燃料に比べてエネルギー密度が低いため、この評価を正しく行うことは、貨物スペースの損失を最小限に抑えるために重要です。 最善の決定を下すためのオプションの比較 運航シミュレーションから得られた洞察とデジタルツインを組み合わせることで、様々な設計バリエーションをテストし、それらが現実の世界でどのように動作するかのモデル化が可能になります。例えば、3Dモデルを使用して、代替燃料を使用する船舶の色々な構成を比較し、船舶の未来の性能、燃料消費、GHG排出、復原性パラメータ、および流体力学的プロファイルに及ぼす影響を計算することができます。 このような形状やプロファイルを簡単にテストする能力は、船舶設計者や技術者が、新しいシステム(例えばバッテリーや追加のタンク)を船舶のどこに設置すべきかを評価することに役立ちます。これには、必要な総容量だけでなく、安全を確保するためにそれらを設置する必要がある場所も考慮に入れます。 これらのシミュレーションは、初期設計段階から行うことができ、設計が進行し詳細が確定するにつれて結果の精度は向上します。具体的には、チームはプロセス全体で異なるオプションを試すことができ、設計が初期段階から構造的で詳細な段階に進むにつれて行わなければならない複数の決定をサポートします。言い換えれば、シミュレーションツールは「推測作業」を排除し、データと証拠に基づいた決定を後押しします。 排出量とコストの見積もり – 数百万ドルの問題 船舶所有者にとって、これは重要です。なぜなら、彼らは初期設計段階から、LNGやメタノールなどの異なる燃料オプションが現実の世界でどのように見えるか、またそれらが貨物容量と予測される燃料消費にどのような影響を及ぼすかについて、より良い理解を得ることができるからです。船舶の設計が形になるにつれて、シミュレーションツールはその未来のGHG排出量をモデル化し、これが環境規制の遵守にどのように影響するかを示すことができます。 最終的には、これらの推定排出量を使用して、燃料自体の購入と異なる燃料オプションの排出許可の関連コストを予測することが目指されます。シミュレーションは、例えばEU ETSの下で設計がコスト競争力を持つようになるタイミングを示すことができ、これは大きな商業的価値をもたらし、新しい燃料と船舶設計の選択を最初から助けることになります。 私たちは未来を予測することはできませんが、データに基づいてそれをモデル化することはできます – 革新的な船舶設計のために、それはすでに大きな変化をもたらしています。
Read Article1月 26, 2024
HD現代重工業、NAPA、CADMATICがデジタル・シップヤードの開発に向け協働
世界最大級の造船所と海事業界を牽引するソフトウェア・プロバイダーの協働により、船舶の設計・建造のプロセスのデジタル化・合理化が進み、海運の脱炭素化への移行支援に必要とされる技術革新が、今後より迅速に実施できるようになります。 2024年1月17日、ウルサン、ヘルシンキ、トゥルク – 世界最大の造船所であるHD現代重工業は、造船業界のデジタル化に向けた変革を加速させるため、機能性の高い3D海事設計・エンジニアリング・情報管理ソリューションで業界を牽引するプロバイダーであるNAPAおよびCADMATIC社との共同開発プロジェクト(JDP)を発表いたしました。 当共同プロジェクトは、次世代の船舶設計の開発を促進するもので、製品ライフサイクル管理(PLM)システムも組み込まれています。また当パートナーシップにより、高度な3Dモデルと最新の情報管理技術を活用し、より機能性の高い船舶設計ソリューションを実現することができます。 これは、HD現代重工業の企業ビジョンでもある「デジタル・シップヤード」の実現を支援するもので、高性能なデータとデジタル・ツインの双方向で、設計の初期段階から建造・生産に至るまでの一連のプロセスの最適化を支援するとともに、さらに海上で運航する船舶の生涯を通じ、貴重な情報源を提供するものです。 今回の新たなパートナーシップでは、デジタル化とシームレスに統合されたソリューションの相乗効果により、大規模かつ複雑な造船プロジェクトにおいても、納期の短縮や、コスト削減、また品質向上など、造船所にとってより高い作業効率の実現を目的としています。当プラットフォームでは、造船所のさまざまな部門での協働をより強化し、船舶の設計・建造プロセスに関わる数百人(もしくは数千人)間の情報アクセシビリティの大幅な向上に役立てられることになります。その目的は、建造プロセスを最適化することで、生産性向上と安全運航を実現し、人的ミスを回避し(より正確な)設計を可能にすることにあります。 また、船舶の設計・建造プロセスをデジタル化・最適化することで、HD現代重工業は、脱炭素化を支える革新的なエネルギー効率設計に対する船主の高い要望に応えるべく、代替燃料や電気推進、風力推進などの新技術を搭載した船舶を含む次世代船舶を提供する能力を強化しています。 今回の合意に基づき、NAPAとCADMATIC社は、造船に係る、初期設計、詳細設計、生産設計、さらに最新の3Dベースの建造コラボレーションや製品ライフサイクル管理(PLM)を含む情報管理など、両社の造船に関する幅広い専門知識を結集していきます。両社のソフトウェア・プロバイダーが持つ技術的強みと、創立51年で300社以上の船主に2,300隻以上の船舶を納入してきた世界最大級の造船所としてのHD現代重工業の事業経験が融合されることになります。 HD現代重工業のSeung-Ho Jeon CTOは、以下のようにコメントしています。 「HD現代重工業は、FOS(Future of Shipyard)ビジョンを通じて、現在、デジタル・シップヤードの構築を推進しています。船舶の設計・建造プロセスにおけるデジタル化の実現は、造船所のデジタル化の重要な分野と見ています。今回の共同プロジェクトを通じて、デジタル・シップヤードの実現に向け、次世代型のより効率的かつ高性能な設計システム開発に大きな期待を寄せています。また次世代型のインテリジェント設計システムの導入は、設計とデジタルツインの情報提供プロセス全体の効率を高め、顧客が求める革新的な設計の提供に役立てられていると見ています。」 また、Jukka Rantala,CADMATIC最高経営責任者(CEO)は以下のように述べています: 「当共同プロジェクトは、デジタル化への時代に突入した造船業にとって重要な指標となります。それぞれの強みと専門分野を組み合わせることで、当協働が、造船業における設計や情報管理ツール等、それぞれの役割を強化でき、高度なデジタル化にシフトすることにより業界の業績を支える大きな機会となります。高機能な統合型設計で船舶のライフサイクルの管理を実施することにより、私たちは造船のプロセスを合理化し、大規模で複雑なプロジェクトにおけるコラボレーションと情報アクセシビリティを強化でき、またビジネスの成功に向けた支援が実行できます。」 また、Mikko Kuosa,NAPA CEOは以下のように締め括っています。: 「新燃料と新技術が船舶設計プロセスにおいて、かつてない複雑さをもたらす中、海運の脱炭素化は造船所にとって多大な変化をもたらしています。こうした状況下、情報共有と関係者間での協働をより促進し、より合理化された作業プロセスを整備することで、より迅速な変革が実現可能となります。その結果として、海上輸送における“NET ZERO”の指標に見合う、次世代船舶を創出することが不可欠となりますが、これを達成するために、造船所、造船に携わる技師やエンジニアに適切なツールを提供することが重要であり、デジタル機能を活用することで、チームがより効率的に作業を行い、新たな技術的領域を共に探求しながらシームレスに協働できる仕組みを構築していかなければなりません。」 – ENDS – 追記 現代重工業(HD現代)について 1972年3月23日、故Chung Juyoung会長によって設立されたHD現代重工業(HHI)は、1974年6月に26万DWT級のVLCC2隻を完成させ、世界最大の造船所として、造船史上に大きな功績を残しました。以後、設立から10年で瞬く間に世界トップの造船所に上り詰め、 その後も世界の造船市場でトップの座に君臨しています。また同社では、造船事業で培った技術力を基盤に、海洋プラント事業やエンジン機械事業への進出など、多角化を進め、50年以上にわたり世界的な総合重工業へと変貌を遂げてまいりました。HD現代重工業は、高効率で環境に配慮した船舶とデジタルソリューションの開発を通じ、日々刻々と変化を遂げる海事市場を牽引し、海事・海洋産業における無限の可能性を解き放しつつ、今後も世界人類の未来を切り拓いてまいります。 CADMATIC社について CADMATIC社は、海洋、電力、プロセス、建設業界向けの高いデジタ技術で高性能な3D設計および情報を管理するソフトウェアソリューションのリーディングデベロッパーです。船舶、産業用プラント、建物の設計、エンジニアリング、建設、運用をより良く、より速く、より簡単にすることで、エンジニアに明るい未来とより良い世界を築く力を与えます。CADMATIC社は、世界60カ国に6000以上の顧客ネットワークを持っています。 www.cadmatic.com NAPAについて NAPAは30年以上の歴史があり、船舶の設計と運航のためのソフトウェアとデータ・サービスを提供するリーディング・カンパニーです。フィンランドに本社を置くNAPAは、造船、船舶の運航、デジタル・サービスの専門知識を兼ね備えた200名のエキスパートを擁しています。NAPAは日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドに拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。 新造船の90%以上がNAPAの顧客によって建造されており、NAPAの船舶設計ソフトウェアは造船における世界的なデファクトスタンダードとなっています。さらに、NAPAは客船の復原性管理と安全データサービスのマーケットリーダーであり、船舶性能解析と運航最適化のためのクラウドベースのソリューションは、海運の脱炭素化に向けた取り組みを支援しています。 詳しくはこちらのページをご参照ください: www.napa.fi
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