Category: 運航支援システム
Anthony Veder社 NAPA Logbook導入で船上のレポート業務を容易にし、船隊全体の効率性と持続可能性を強化
電子ログブックはレポート業務を合理化し、船員の作業負担軽減と同時に、安全性と効率性を高めるための業務最適化に役立ちます。 2023年11月28日 ヘルシンキ, フィンランド:海事ソフトウェアとデータサービスのプロバイダーであるNAPAは、世界有数のガス船会社である Anthony Veder社と、次世代の電子報告およびデータ統合システムである NAPA Logbook を同社の所有船全隻に導入する契約を締結しました。船上でのデジタル化を強化することで、このパートナーシップは船員の報告を効率化し、同時により高い安全性と持続可能性向上に貢献します。
Read Article11月 29, 2023
燃料削減の先にあるもの: 安全を重視した持続可能で効率的なフェリー運航
デジタル ツールとデータは、運航者がより効率的かつ持続的に安全航行するための予測、テスト、計画、さらには戦略的決定を行うのにどのように役立つのでしょうか。 第 47 回Interferry Conference 2023 の「運航と安全性の最適化」の中で、NAPAのフェリーおよび RoPax事業担当アカウントディレクターの Tuomas Häkkinen は、「燃料削減の先にあるもの:安全を重視した持続可能で効率的なフェリー運航」について講演しました。
Read Article11月 14, 2023
インタビュー掲載 Blue Visby計画、契約形態なども議論
日本・東京ー2023年11月10日 –海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)にて、NAPAのExecutive Vice PresidentのPekka Pakkanenのインタビューが掲載されました。ぜひご覧ください。 デジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化し、船舶の温室効果ガス(GHG)排出削減を目指す「ブルー・ヴィスビー(Blue Visby)コンソーシアム」。コーディネーター役を務めるペカ・パカネン氏(NAPAエクゼクティブ・バイス・プレジデント)がこのほど本紙インタビューに応え、プロジェクトについて説明した。技術面でのシステム確立にはほぼめどが立っており、現在は社会実装に向けて、新たな輸送契約の在り方を始めとした商業面での議論を本格的に進めているとし、来年から丸紅の化学品輸送など計3件が実際にシステムのプロトタイプを導入することを明らかにした。 ブルー・ヴィスビ−・コンソーシアムは、速く航走して目的地近辺で待機する「Sail Fast, then Wait」という海運業の慣習が、沖待ちと高速運航によって不必要な燃料消費とGHG排出につながっていることに着目し、船舶が共同で航海速度と到着時刻を調整するジャストインタイム運航の実現を目指している。船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを収集・分析し、同じ港を目指している船舶群にそれぞれ最適な到着時間を提案するプラットフォーム「Blue Visby」を開発することで、燃費削減とGHG排出削減を図る。運航支援システムを手掛けるNAPA社と国際弁護士事務所スティーブンソン・ハーウッドがコンソーシアムを運営しており、世界各地の資源大手や海運会社、船級協会、港湾、保険、国際海事団体など約30社・機関が加盟。日本の商船三井、丸紅、日本政策投資銀行、日本海事協会も参加している。 パカネン氏はコンセプトについて「単純化して言えば、あるターミナルで荷役作業を行えるのが1日当たり1隻とし、現在10隻が沖待ち中で、さらに10隻がこの港に向かっているとすれば、この次に港に向かう船が荷役作業を始められるのは20日以上先。このため、現在の到着予定が15日後だとすれば、5日送れても荷役に間に合うことを提案できる。これを船団全体に大規模に適応する」と説明する。 コンソーシアムではこれまでに、到着順序の定義などの議論を経て、既にAISデータや運航管理システムなどを活用したシステムのプロトタイプを完成している。来年から丸紅が化学品の海上輸送にシステムを導入する計画。また、穀物輸出と石炭輸出でも実際に行う計画だ。 一方で、もう1つのテーマは商業上の課題だ。「例えば船社が減速航海によって荷役スケジュールが遅れ収益機会を失うことがないよう補償をどうするか、燃料節約による利益を当事者間でどのように分配するかといった定義が必要で、用船契約や輸送契約など新しいタイプの契約構造が必要になる」(パカネン氏)。船舶の先端技術とともに、海運業界の「契約自由の原則」を活用するのがこのプロジェクトのポイントで、当事者間で取り決めるような契約の在り方を定める。コンソーシアムに参加するBIMCO(ボルチック国際海運協議会)らとともに、議論を深める。 到着時間最適化による効果が見込める航路や船型について、パカネン氏は「より大型船、より長い航路ほど燃費削減とGHG削減のポテンシャルは大きいが、小型船も含めてあらゆるセグメントで削減効果が見込める」とした。 NAPAが過去の25万航海を分析した結果、この方式を採用すると87%の船舶は当初より減速して航海しても良かったことが判明し、約15%の排出削減につながると試算。コンソーシアムに参加する丸紅も、運航中のタンカーで検証を行った結果、過去の68隻計625航海で、平均約15%のGHG排出削減が可能と確認している。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2023/11/179708/ PDF:Kaiji_Press_BVS 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/ 本件に関するお問い合わせ先:
Read Article11月 10, 2023
従来の日誌とは違う – Logbookの電子化により、簡単な報告と法令遵守の道が開ける
NAPA LogbookはDNVから型式承認の更新を受け、従来のLogbookをさらに進化させ、業界の法令遵守と報告の機会を広げました。この記事では、進化し続ける規制の中で、NAPA Logbookがお客様の業務にどのようなメリットをもたらすのかをご紹介します。
Read Article11月 7, 2023
EU ETSの既知と未知を航海する
あと100日足らずで、欧州発着または欧州域内を航行する商船にとって大きな変化が起こります。EU域内排出量取引制度(EU ETS)の海運への拡大により、海運業界は初めて温室効果ガス排出量の支払いを義務付けられることになります。この新時代に参入することは容易なことではありませんが、適切なデータがあれば、海運は先手を打つことができます。
Read Article10月 30, 2023
NAPA、BlueVisby コンソーシアムへの日本政策投資銀行の加盟を歓迎 ~金融機関としては初の加盟~
ヘルシンキ(フィンランド)-海事ソフトウェアとデータサービスの開発におけるプロバイダーであるNAPAは、日本政策投資銀行が、Blue Visby主催のコンソーシアムに加わったことを歓迎する、と発表いたしました。Blue Visbyは、早く航走して沖待ちするという「Sail Fast,then Wait」(SFTW)の是正に取り組むことで、海運の温室効果ガス排出量を削減することを目的とした業界横断プロジェクトです。 Blue Visbyは、革新的な契約上の枠組みと最先端かつ透明性の高いデジタル技術を組み合わせることで、同じ港に向かう船団の到着時間を最適化し、船舶ビジネス上の優位性を失うことなく、航海速度の適正化と排出量の削減を可能にします。日本政策投資銀行は当コンソーシアムに参加することで、資金調達のノウハウやアドバイスを提供し、当システムの開発支援にあたります。 NAPAのデジタル技術に裏打ちされたBlue Visbyプラットフォームは、世界の船隊への導入に向け、技術面で急成長を遂げています。2023年8月、丸紅とBlue Visby社は、68隻のガス・ケミカルタンカーを対象に625の航海を検証した結果、平均15%のCO2削減効果があることがわかり、実際のプロトタイプ開発に進む合意に至りました。 一方、Blue Visbyコンソーシアムのメンバー数は、2022年7月にプロジェクトが正式に発足して以来、当初の13名から現在では31名と、2倍以上に増加しています。NAPAと法律事務所Stephenson Harwoodがコーディネートを行う当プロジェクトは、BIMCO、Baltic Exchange、UK Hydrographic Office、商船三井および丸紅、穀物輸出会社のCBH、英国のP&I保険会社のThomas Miller、Newcastle港、 New South Wales港湾局がすでに参加しており、また船級協会としては、日本海事協会やBureau Veritas、さらに環境団体や学術機関など、海事産業の主要な利害関係者まで幅広く参加しています。 NAPAのShipping Solutionsを担当する、 EVPである Pekka Pakkanenは、次のように述べています。「Blue Visbyがこの数ヶ月で大きく成長したことを大変誇りに思います。この革新的なソリューションをより多くの海運部門に提供するため、より多くのプロトタイプを含む次なるステップを楽しみにしています。また、加えて、 Blue Visbyの成功は、海運業界のさまざまなステークホルダーが積極的に協力し、脱炭素化への移行に伴うリスクと利益の一部を共有することに合意した場合に、海運業にとって何を達成できるかを具体的に示しています。また、こうした革新的な枠組みを実現するために、デジタル技術がより主軸を担う役割を果たすことも示すものです。脱炭素化の進展を阻む最大の非効率のひとつである “Sail fast then wait”(速く航走して、沖待ち) “の防止に取り組むことで、今日の海運業界の温室効果ガス排出量に大きな変化をもたらすことができます。」 本件に関するお問い合わせ先 :
Read Article10月 17, 2023
「脱炭素にまずは運航最適化を」業界連携へツール提供
日本・東京ー2023年10月5日 –海事プレス(ニュース ー 造船・船用)にて掲載された通り、NAPAのCEOのMikko Kuosaは弊社 代表取締役 水谷直樹とともに脱炭素化への展望について、都内で会見を行いました。ぜひご覧ください。 船舶設計や運航最適化システムを手掛けるフィンランドのNAPA社が3日、都内で会見した。ミッコ・クオサCEO(写真右)は「誰もが将来の新燃料を待っていることが船舶脱炭素化の障害になっている」とし、まずは航海の最適化などを通じた燃費改善での排出削減に取り組むことが重要と指摘。これまで同社が日本の海運会社や造船所などと行った共同研究でも、帆走技術とウェザールーティングの組み合わせで温室効果ガス(GHG)を28%削減できることや、船舶到着時間最適化により15%の削減が見込めることが判明したと紹介した。NAPAは運航最適化ツールやシミュレーション技術を提供することで、業界連携による脱炭素化を促す考えを示した。 クオサCEOは海運脱炭素化について、カーボンニュートラル燃料は海事産業が必要とする量をすぐに確保できる状況にないことから、「新燃料も重要だが、直ちに取り組むべきは省エネ技術、運航最適化、ウェザールーティングなどの領域だ」とし、「海運脱炭素化の80%はエネルギー効率対策によってもたらされる」とのマッキンゼーの予測を引用した。こうした運航効率化や省エネの技術はすでに数多く存在するが、単一技術や単一企業では解決できないため「コラボレーションが重要」と指摘。そのうえで、NAPAとしては「透明性の高いデータ共有システムを提供し、船舶設計の初期段階から運航までのライフサイクルでの意思決定を支援できる。これにより業界のコラボレーションによるイノベーションを促す役割を担える」とした。 NAPAは船舶の初期設計や基本設計を行う設計システムの大手として知られるが、これに加えて近年は就航船の運航最適化用のデジタルツールとして「NAPA Voyage Optimization」や「Napa Fleet Intelligence」などを広く展開している。新造船の設計と就航船運航の両データを長年扱ってきた点が他の運航効率システムベンダーとの違いとなっており、「設計情報に基づいた船舶性能を正確にシミュレーションする技術に長けているうえに、世界中の船舶5万隻の情報を補足して気象海象情報と組み合わせて運航データを蓄積し、精度をさらに高めている」(水谷直樹NAPAジャパン社長)とした 運航効率化による排出削減の効果として、国内外の海事関連企業と実施している共同研究の試算なども紹介した 日本海事協会(NK)と丸紅と共同で実施した研究では、運航最適化ソリューションの活用により燃料消費量と二酸化炭素(CO2)排出量が最大7.3%削減でき、燃費実績格付け(CII)のスコアが5〜6%改善できることを明らかにした。「これによりCII格付けを2〜3年間長く維持でき、時間的猶予ができる」(クオサCEO)。 また、住友重機械マリンエンジニアリングとノースパワーとの共同研究では、円筒帆とウェザールーティングシステムを組み合わせることで、北大西洋航路では年平均約28%の削減効果が期待できることを確認した。 さらに、NAPAが共同創設者となって業界連携で進めている、船舶の目的地到着時間最適化プロジェクト「ブルー・ヴィスビー(Blue Visby)」も紹介した。現在まで海運業界では、速く航海して目的地近くで沖待ちをする「Sail Fast Then Wait」の慣習があり、これによって不必要なGHG排出がもたらされていることから、同プロジェクトでは特定の港を訪れる船舶が共同で航海速度と到着時刻を調整するジャストインタイム方式の実現を目指している。NAPAのシステムを活用して過去の25万航海を分析した結果、このうち87%がもっと遅く航海し得たことが判明。「排出量は約15%削減でき、全世界に適用すれば海運からのCO2排出量を、ノルウェー1国分の総排出量に匹敵する年間6000万トン以上削減できる」(クオサCEO)。プロジェクトには商船三井や日本政策投資銀行、丸紅、NKも参加しており、「取り組むべき価値のあるプロジェクト。力を入れていきたい」とした。 NAPAは1989年創業。現在の従業員は約200人で、10カ国に事務所を持ち、2500隻以上が同社のシステムを搭載している。昨年の売上高は2670万ユーロで、今年は3000万ユーロを超える見込み。また新造船の95%がNAPAのツールで設計されている。日本では2001年に同社初の海外拠点として神戸に事務所を構えてからの関係がある。2014年からはNKの子会社。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2023/10/178846/ PDF:「脱炭素にまずは運航最適化を」NAPAのクオサCEO、業界連携へツール提供| 造船・舶用 | ニュース | 海事プレスONLINE(Kaijipress.com) 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/ 本件に関するお問い合わせ先:
Read Article10月 6, 2023
客船カーニバル・クルーズ、データ主導による船舶運航の安全性・効率性確保に向けNAPAソリューションを導入
世界最大のクルーズ事業会社が、船上と陸上でクルーズの安全性と効率性を決定するためにNAPAのソリューションをどのように活用しているかご紹介します。 *based on passengers carried -NAPAのクルーズ船業界向けソリューションの詳細にご興味がある方はこちら– 今年初めに開催された NAPA Safety Summit 2023 で、 カーニバル・クルーズ社のFOCディレクターであるPiervalerio Vignola氏に、クルーズ業界で最大かつ最も技術的に進んだ運行管理センターが、NAPA の様々なソリューションから得られる運航データをどのように安全に活用し、運航業務最適化に向け取り組んでいるのか、インタビューを行いました。結果、一言で申し上げると「コラボレーション」でした。Vignola氏と彼のチームは、NAPAと協働し、最適なツールを構築、データを取得した上で、船陸間の意思決定の支援のための有意義で実用的な洞察力を取得できている、と話します。 以下は彼のコメントになります(編集抜粋): 適切なツール構築ためのコラボレーション 「当社にとって、最大の課題は、時に私たちがサイロ(縦割り組織)で仕事をしてしまうことでした。2014年にカーニバルに入社して以来、NAPAでは素晴らしい経験をさせてもらいました。船上で乗組員(オフィサー)をしていたとき、NAPAの製品を使い始め、また陸上復帰して以降、NAPAと直接取引をできる素晴らしい機会に恵まれました。そのため、船上での経験を生かして、どこを改善すべきかを見出すことができたのです。 そしてありがたいことに、私はNAPAのスタッフの方々と素晴らしい友好関係を築く機会を得たことで、協力関係を密にし、当社にとって有益なツールを構築できました。 実際には、企業の責任者のほとんどが、船上での業務経験がほとんどない陸上側の人間である事情があります。そのため、船上で何か新しいソリューションに遭遇しても、それが本当に運航業務精鋭化に寄与し、業務を楽にできるものかを陸上で示す機会がないのです。 ですので、経験を船陸間で共有できる能力がある当方を、NAPAにはいつも好意的に受け止めてもらっています。 そこには相互型の会話があります。NAPAは何かを作り、何かを売るだけのメーカーではなく、本当に問題を解決する良いものを作ろうという真の探究心が存在します。 データだけではない:意思決定と実用的な洞察力への支援 確かに私たちは毎日、テラバイト単位の大量のデータを収集しています。しかし、実際に利用しているデータの割合はごく僅かです。それは、こうした大量のデータ使用にあたり、一定の技術が必要にも拘らず、私たちは未だにデータをダウンロードし、古いスプレッドシートを使用する方法で、データの分析をすることに慣れてしまっているからです。 もちろん、TableauやPower BIを使ってデータを分析する専門家がいる部署もありますが、これからは、より多くの人工知能や機械学習を使って、すべてのデータを本当に有効に活用し、運航業者にフィードバックを提供していかなければならないと思います。実際に、航空業界の例を挙げれば、飛行機はパイロットによって操縦されているわけではなく、何かあったときのために待機しているにすぎません。クルーズ業界にとって、この例えは少し極端なかもしれませんが、今後の私たちの進むべき方向、あるべき姿なのかもしれません。船舶のケースでは、何か問題が起きたときに対応できる専門家を乗船させ、主要な仕事は機械により提案がなされるべきです。 私たちはより良い未来に向けて、環境配慮型の未来へ向けて正しい道を進んでいると実感していますので、今後やるべきことはたくさんあると思っています。」
Read Article9月 28, 2023
船舶到着時間の最適化で排出削減
日本・東京ー2023年9月1日 –海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)にて、デジタル技術活用で船舶CO2削減を目指す統合システム「Blue Visby Solution」の開発に取り組むブルー・ヴィスビーコンソーシアムに、日本政策投資銀行(DBJ)が参画したことについて掲載されました。ぜひご覧ください。 船舶到着時間の最適化で排出削減 政投銀、「ブルー・ヴィスビー」加盟、金融初 日本政策投資銀行(DBJ)はデジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化する統合プラットフォーム「Blue Visby Solution」の開発を目指すコンソーシアムに加盟した。8月31日に発表した。このコンソーシアムに金融機関が加盟するのは初。「海事クラスターの構成員と広く関わりがある金融機関のわれわれは結節点になり得る」(山口祐一郎・企業金融第4部課長)とし、関係者に広く参画を呼び掛けるとともに、ファイナンスに関するノウハウの提供・助言を通じてプラットフォームの開発を支援する。 昨年発足し、このほど政投銀が加盟した「ブルー・ヴィスビー・コンソーシアム(Blue Visby Consortium)」は、船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを統合し、同じ港を目指す船舶群の到着時間の最適化・分散を行うことで、船舶から排出される温室効果ガス(GHG)の削減を目指している。日本海事協会(NK)の子会社で船舶の設計・運航支援システムを提供するNAPA社と国際弁護士事務所のスティーブンソン・ハーウッドが共同で運営。世界各地から27の機関が加盟し、プラットフォーム開発に向けて活動している。 日本企業ではこれまでにNK、商船三井、丸紅が参加。このほか、資源メジャーのアングロアメリカン、海運会社からはCMB、タンカーズ・インターナショナル、ダイアナ・シッピング、トーム、ティーケイ、ウルトラバルク、船舶管理のシナジー・グループや、船級協会、港湾、BIMCO(ボルチック国際海運協議会)やボルチック・エクスチェンジなどが加盟している。 海運業界では、速く航海して目的地の近くで沖待ちをする船舶の運航方法「Sail Fast Then Wait」が慣習となっており、沖待ちと高速運航により、結果的に不必要なGHGの排出につながっているとされる。世界の船舶からの二酸化炭素(CO2)排出量のうち2割はこの「Sail Fast Then Wait」に起因するとの見方がある。その解決を目指してプラットフォーム開発を進めているのがこのコンソーシアムだ。 同コンソーシアムが検証した結果、構築するシステムを利用すると個船ベースでCO2を15〜20%削減できるといい、開発中のシステムを用いたシミュレーションでは、1航海当たり16%の排出削減効果が見込まれたという。 海運の低・脱炭素に向けて燃料転換は有効な手段となるが、新燃料船の建造に向けた技術開発のみならず、新燃料を海運業界向けに確保する供給網づくりが不可欠であるなど、取組課題は少なくない。これを進めていくとともに、政投銀は「(海運の低・脱炭素に向けて)船の世界の中でできることがまだまだある」(山口氏、以下同じ)との認識を示す。具体的には、船型開発や改造、省エネ付加物の設置など船そのものの燃費効率改善と、船舶の運航の工夫による効率改善を挙げる。このうち、運航効率改善について、「気象情報などを用いた運航改善など各社が単独でできることと、関係者が皆で取り組むことの2つがあり、コンソーシアムの取り組みはこのうち後者に当たる」。 同コンソーシアムのシステムは広く関係者が参集するほど全体として効果が高まることから、政投銀は他の金融機関への働きかけや、公的な立場を生かして港湾などへの働きかけもしていく考えだ。 コンソーシアムでは現在、各社が要素技術の開発を進めており、今年中にパイロットプロジェクトを立ち上げることを目標とする。その後に社会実装を目指す。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2023/09/178001/ PDF:船舶到着時間の最適化で排出削減政投銀、「ブルー・ヴィスビー」加盟、金融初 _ 海運<経営・全般> _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/ 関連リンク 日本政策投資銀行(DBJ) URL :https://www.dbj.jp/ 関連記事 NAPAのデジタル技術を活用し、”Sail Fast, then Wait”(速く航走して、沖待ち)を防ぎ、海運のCO2排出量を削減する新たな協業を推進 デジタル技術活用で船舶CO2削減 丸紅、NAPAらのコンソーシアム参画
Read Article9月 1, 2023
MEPC80開催後、環境対策の具体的立案が本格化する見通し
海運業界の脱炭素化に関するIMOの歴史的合意の全結果は、業界が次に何を決断するかによって決まります。多くの人々が期待していたほど断定的なものではありませんでしたが、新戦略の立案強化は早急な行動を求めており、すでに多くのことが施策可能です。 完全ではないかもしれませんが、IMOの温室効果ガス(GHG)排出に関する戦略の改訂は、海運業界が長い間求めていたもの、すなわち、この10年と次の10年にどのような脱炭素化の進展が期待されるかについて、より具体的な対策の立案を求めるものとなりました。2050年に向けたネットゼロの達成に加え、国際海運からの温室効果ガス総排出量を2008年比で「2030年までに20%、30%削減」、「2040年までに70%、80%削減」を目指すという指標は、今後ますます注目されることになるでしょう。 これらの目標は、私たちが期待したほど意欲的なものでしょうか?答えはノーです。多くのオブザーバー、環境保護団体、そして一部のIMO代表自身も、曖昧な表現と拘束力のない温室効果ガス削減目標に失望しました。UMASの分析によれば、最も重大なことは、今世紀末までに地球温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標に海運業界の指標を合わせることができなかったことです。 力強いメッセージ:変革はすぐそこまで来ている しかし、楽観的な見方もできます。MEPC80は一連の重要なシグナルを海運業界に送りました。まず、目標のレベルが大幅に強化されました。切望されていたネット・ゼロ・エミッションの目標が、「2050年頃までにGHG排出ゼロ」とIMOの175加盟国によって正式に採択されました。つまり、今世紀半ばまでに海運の完全な脱炭素化を実現しなければならないという方向性が示されたのです。 第二に、義務ではありませんが、2030年と2040年の中間目標の採択は、海運部門からの温室効果ガス排出を削減するために、この10年間に実行可能で具体的かつ測定可能な行動に重点を置く必要性明確に示しています。「新しい燃料が利用できるようになるのをじっと待つ」というアプローチは、もはや通用しません。結局のところ、2030年まであと6年半しかないのです。 目標が設定された以上、それを実際にどのように達成するかに焦点を当てなければなりません。この戦略では、どのように変化を促していくのか、まだ概要が示されていません。次回のMEPC会合では、提案されている燃料基準と炭素価格算定案についての議論が行われます。 しかし、これらを何もせずに待つ必要はありません。自らの排出量を管理し、船隊や事業にとって理にかなった方法でネット・ゼロへの道筋を描くために、海運業界としてできることはたくさんあります。海運業界全体では先駆者たちがすでに排出削減への移行を開始しており、その経験から、企業にとって移行計画を早く開始すればするほど有利になることが分かっています。 実践的な前進 しかし、何から始めるべきでしょうか?それは、海運業界がすでに手にしている3つの資産、すなわち代替推進力とエネルギー効率化技術、包括的な船舶と船隊の運航データ、そして共同プロジェクトを最大限に活用することです。 アクション1 温室効果ガス排出量を少なくとも20%削減し、この10年で30%削減するというIMOの目標を達成するためには、海運業界は、現在すでに二酸化炭素排出量を削減できる既存の技術を最大限に活用する必要があります。実際、ゼロ・カーボン燃料は、少なくともあと10年は意味のある規模では利用できません。代わりに、航路最適化や気象ルーティング・ソリューションなどの運航対策と並んで、風力補助推進や空気潤滑などの代替推進技術やエネルギー効率化技術によって進歩を達成することになるでしょう。コンサルティング会社のマッキンゼーによると、この10年間で海運の脱炭素化の進捗の約80%が効率化対策によって成し遂げられ、2050年までには約3分の1が効率化対策によって達成されるでしょう。 アクション2 船舶のデータを活用して効率を高める – 「If you can’t measure it you can’t manage it. 測定なくして管理なし」という言葉があるように、船舶のデータを活用しましょう。あらゆる船舶からのGHG排出量を削減するための重要な出発点は、データを測定することです。データは単に規制報告のために記録されるだけでなく、その結果をベンチマークし、改善する機会でもあります。船上で収集される豊富なデータは、新たな運航効率を引き出し、航海を最適化し、安全性を高め、GHG排出量とともに燃料消費量を削減するのに役立つ洞察の宝庫に変えることができます。しかし、このようなチャンスをつかむためには、企業はデータを収集、統合、分析する体系的な方法を導入する必要があります。例えば、電子航海日誌は簡単に導入できるターンキー・ソリューションであり、データを一箇所でアクセスできるようにし、そこで実用的な洞察を生み出すことができます。言い換えれば、船舶のデータを最大限に活用することで、企業は自社の船隊を十分に理解し、脱炭素化への移行を通じて最善の意思決定を行うための適切な基盤を築くことができるのです。 アクション3 協働プロジェクトから学び、経験する – この大変革の時代を迎えるにあたり、私たちは協働プロジェクトを最大限に活用し、互いの経験から学び、多様な専門知識を組み合わせて、企業にとって実際に有効な方法でイノベーションを起こすべきです。知識を構築・共有し、新たな契約の枠組みを作り、さらにはクリーン・テクノロジーを組み合わせて最大の効果を生み出すために、もっと多くのことができるはずです。例えば、 Norsepower社および住友商事社との最近のパートナーシップは、風力推進とウェザールーティングを組み合わせることで、どちらか一方の技術だけよりもはるかに大きな排出削減を達成できました。効果的な協力は、すべてのパートナーが成果を向上させ、明確性を獲得し、これからの重要な転換期に向けて資産を将来に備えることができるWin-Winの状況です。 ゼロへの複数の推進力 また、海運の脱炭素化はIMOだけが推進するものではないことを忘れてはなりません。規制面では、船主が短期・中期的に達成しなければならない排出削減目標は、この最新のGHG戦略の目標だけとは言い難いです。例えば、EU ETSやHELCOMも、近い将来、海運からの排出削減を課すことになるでしょう。 さらに、投資家、金融機関、保険会社、荷主など、海運業界の主要な利害関係者からも圧力がかかることが予想されます。社会の期待が変化するにつれて、資本注入の際に環境・社会・ガバナン ス(ESG)基準がますます厳しくなり、企業は資金を確保するために気候変動対策を実証する必要があります。要するに、良いビジネスをすることと良いことをすることは両立するのです。 しかし、大きな課題から目を逸らしてはなりません。大気中に放出されない炭素は1トン単位で重要であり、パリ協定の目標である1.5度に1度でも近づくことで、地球はより住みやすくなります。 MEPC80は、海運業界は変わる必要があること、それは今すぐ始めなければならないという明確なメッセージを送りました。私たちはすでに、どこから対策を始めるべきかを知っています。歴史が私たちを評価するのは、新たな目標に合意する能力だけでなく、これらの意欲を行動と結果に結びつけるために私たちが取る行動にかかっています。
Read Article8月 22, 2023