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インタビュー掲載 Blue Visby計画、契約形態なども議論

日本・東京ー2023年11月10日 –海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)にて、NAPAのExecutive Vice PresidentのPekka Pakkanenのインタビューが掲載されました。ぜひご覧ください。


Blue Visbyのイメージ図

 

 デジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化し、船舶の温室効果ガス(GHG)排出削減を目指す「ブルー・ヴィスビー(Blue Visby)コンソーシアム」。コーディネーター役を務めるペカ・パカネン氏(NAPAエクゼクティブ・バイス・プレジデント)がこのほど本紙インタビューに応え、プロジェクトについて説明した。技術面でのシステム確立にはほぼめどが立っており、現在は社会実装に向けて、新たな輸送契約の在り方を始めとした商業面での議論を本格的に進めているとし、来年から丸紅の化学品輸送など計3件が実際にシステムのプロトタイプを導入することを明らかにした。
ブルー・ヴィスビ−・コンソーシアムは、速く航走して目的地近辺で待機する「Sail Fast, then Wait」という海運業の慣習が、沖待ちと高速運航によって不必要な燃料消費とGHG排出につながっていることに着目し、船舶が共同で航海速度と到着時刻を調整するジャストインタイム運航の実現を目指している。船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを収集・分析し、同じ港を目指している船舶群にそれぞれ最適な到着時間を提案するプラットフォーム「Blue Visby」を開発することで、燃費削減とGHG排出削減を図る。運航支援システムを手掛けるNAPA社と国際弁護士事務所スティーブンソン・ハーウッドがコンソーシアムを運営しており、世界各地の資源大手や海運会社、船級協会、港湾、保険、国際海事団体など約30社・機関が加盟。日本の商船三井、丸紅、日本政策投資銀行、日本海事協会も参加している。
パカネン氏はコンセプトについて「単純化して言えば、あるターミナルで荷役作業を行えるのが1日当たり1隻とし、現在10隻が沖待ち中で、さらに10隻がこの港に向かっているとすれば、この次に港に向かう船が荷役作業を始められるのは20日以上先。このため、現在の到着予定が15日後だとすれば、5日送れても荷役に間に合うことを提案できる。これを船団全体に大規模に適応する」と説明する。
コンソーシアムではこれまでに、到着順序の定義などの議論を経て、既にAISデータや運航管理システムなどを活用したシステムのプロトタイプを完成している。来年から丸紅が化学品の海上輸送にシステムを導入する計画。また、穀物輸出と石炭輸出でも実際に行う計画だ。
一方で、もう1つのテーマは商業上の課題だ。「例えば船社が減速航海によって荷役スケジュールが遅れ収益機会を失うことがないよう補償をどうするか、燃料節約による利益を当事者間でどのように分配するかといった定義が必要で、用船契約や輸送契約など新しいタイプの契約構造が必要になる」(パカネン氏)。船舶の先端技術とともに、海運業界の「契約自由の原則」を活用するのがこのプロジェクトのポイントで、当事者間で取り決めるような契約の在り方を定める。コンソーシアムに参加するBIMCO(ボルチック国際海運協議会)らとともに、議論を深める。
到着時間最適化による効果が見込める航路や船型について、パカネン氏は「より大型船、より長い航路ほど燃費削減とGHG削減のポテンシャルは大きいが、小型船も含めてあらゆるセグメントで削減効果が見込める」とした。
NAPAが過去の25万航海を分析した結果、この方式を採用すると87%の船舶は当初より減速して航海しても良かったことが判明し、約15%の排出削減につながると試算。コンソーシアムに参加する丸紅も、運航中のタンカーで検証を行った結果、過去の68隻計625航海で、平均約15%のGHG排出削減が可能と確認している。

*海事プレスから転載の許可を得ています。
海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2023/11/179708/ 

PDF:Kaiji_Press_BVS

海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/

 

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