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「脱炭素にまずは運航最適化を」業界連携へツール提供

日本・東京ー2023年10月5日 –海事プレス(ニュース ー 造船・船用)にて掲載された通り、NAPAのCEOのMikko Kuosaは弊社 代表取締役 水谷直樹とともに脱炭素化への展望について、都内で会見を行いました。ぜひご覧ください。


Japan Press Meet NAPA 03 October 2023

NAPAのCEO Mikko Kuosa(右)とNAPA Japanの水谷 直樹

船舶設計や運航最適化システムを手掛けるフィンランドのNAPA社が3日、都内で会見した。ミッコ・クオサCEO(写真右)は「誰もが将来の新燃料を待っていることが船舶脱炭素化の障害になっている」とし、まずは航海の最適化などを通じた燃費改善での排出削減に取り組むことが重要と指摘。これまで同社が日本の海運会社や造船所などと行った共同研究でも、帆走技術とウェザールーティングの組み合わせで温室効果ガス(GHG)を28%削減できることや、船舶到着時間最適化により15%の削減が見込めることが判明したと紹介した。NAPAは運航最適化ツールやシミュレーション技術を提供することで、業界連携による脱炭素化を促す考えを示した。

クオサCEOは海運脱炭素化について、カーボンニュートラル燃料は海事産業が必要とする量をすぐに確保できる状況にないことから、「新燃料も重要だが、直ちに取り組むべきは省エネ技術、運航最適化、ウェザールーティングなどの領域だ」とし、「海運脱炭素化の80%はエネルギー効率対策によってもたらされる」とのマッキンゼーの予測を引用した。こうした運航効率化や省エネの技術はすでに数多く存在するが、単一技術や単一企業では解決できないため「コラボレーションが重要」と指摘。そのうえで、NAPAとしては「透明性の高いデータ共有システムを提供し、船舶設計の初期段階から運航までのライフサイクルでの意思決定を支援できる。これにより業界のコラボレーションによるイノベーションを促す役割を担える」とした。
NAPAは船舶の初期設計や基本設計を行う設計システムの大手として知られるが、これに加えて近年は就航船の運航最適化用のデジタルツールとして「NAPA Voyage Optimization」や「Napa Fleet Intelligence」などを広く展開している。新造船の設計と就航船運航の両データを長年扱ってきた点が他の運航効率システムベンダーとの違いとなっており、「設計情報に基づいた船舶性能を正確にシミュレーションする技術に長けているうえに、世界中の船舶5万隻の情報を補足して気象海象情報と組み合わせて運航データを蓄積し、精度をさらに高めている」(水谷直樹NAPAジャパン社長)とした
運航効率化による排出削減の効果として、国内外の海事関連企業と実施している共同研究の試算なども紹介した
日本海事協会(NK)と丸紅と共同で実施した研究では、運航最適化ソリューションの活用により燃料消費量と二酸化炭素(CO2)排出量が最大7.3%削減でき、燃費実績格付け(CII)のスコアが5〜6%改善できることを明らかにした。「これによりCII格付けを2〜3年間長く維持でき、時間的猶予ができる」(クオサCEO)。
また、住友重機械マリンエンジニアリングとノースパワーとの共同研究では、円筒帆とウェザールーティングシステムを組み合わせることで、北大西洋航路では年平均約28%の削減効果が期待できることを確認した。
さらに、NAPAが共同創設者となって業界連携で進めている、船舶の目的地到着時間最適化プロジェクト「ブルー・ヴィスビー(Blue Visby)」も紹介した。現在まで海運業界では、速く航海して目的地近くで沖待ちをする「Sail Fast Then Wait」の慣習があり、これによって不必要なGHG排出がもたらされていることから、同プロジェクトでは特定の港を訪れる船舶が共同で航海速度と到着時刻を調整するジャストインタイム方式の実現を目指している。NAPAのシステムを活用して過去の25万航海を分析した結果、このうち87%がもっと遅く航海し得たことが判明。「排出量は約15%削減でき、全世界に適用すれば海運からのCO2排出量を、ノルウェー1国分の総排出量に匹敵する年間6000万トン以上削減できる」(クオサCEO)。プロジェクトには商船三井や日本政策投資銀行、丸紅、NKも参加しており、「取り組むべき価値のあるプロジェクト。力を入れていきたい」とした。
NAPAは1989年創業。現在の従業員は約200人で、10カ国に事務所を持ち、2500隻以上が同社のシステムを搭載している。昨年の売上高は2670万ユーロで、今年は3000万ユーロを超える見込み。また新造船の95%がNAPAのツールで設計されている。日本では2001年に同社初の海外拠点として神戸に事務所を構えてからの関係がある。2014年からはNKの子会社。


 

*海事プレスから転載の許可を得ています。
海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2023/10/178846/

PDF:「脱炭素にまずは運航最適化を」NAPAのクオサCEO、業界連携へツール提供| 造船・舶用 | ニュース | 海事プレスONLINE(Kaijipress.com)

海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/

 

 

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