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NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社の共同研究 円筒帆と航海最適化システムの相乗効果により、約28%のCO2排出量削減効果を検証

NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社は共同研究を実施し、風力推進装置と航海最適化システムを組み合わせることで、約 28% の CO2 排出量削減効果があるということが分かりました。

2023 5 30 日 –    船舶の設計・運航支援システムの開発および船舶の運航データ分析の専門家であるNAPA、世界有数の造船所である住友重機械マリンエンジニアリング、および風力推進装置のグローバルプロバイダーである Norsepower社は、風力推進装置を搭載した船舶に対して、NAPAの航路最適化システムを適用した場合の、燃料とCO2排出量の削減効果検証に関する共同研究プロジェクトの結果を発表しました。

共同研究の第 1 段階(2022年 12⽉〜2023年 3⽉)では、風力推進装置を搭載したタンカーの北⼤⻄洋航路のシミュレーションにおいて、Norsepower社製の円筒帆 Norsepower Rotor SailTM と航路最適化システム NAPA Voyage Optimization の相乗効果で CO2 排出量を最⼤限抑制することができ、年間平均で約 28% の削減効果が期待できることを確認しました。そのうち NAPA Voyage Optimization 単独によるCO2排出削減効果は、約 12% となりました。

以下の航路図は、ニューヨークからアムステルダムまでの航路と風向風速を示しており、NAPA Voyage Optimization と Norsepower社の円筒帆を搭載した航海シミュレーションでは、英国以北を航行することで最⼤の燃費削減効果が得られました。

Fuel-savings maximized with NAPA Voyage Optimization

航路図

 

以下のローズチャートは、ニューヨークからアムステルダムまでの年間全 24 航海を通して比較した相対風向・風速の傾向を示しており、Norsepower社の円筒帆と NAPA Voyage Optimization を組み合わせたシミュレーションでは、CO2 削減効果がより見込める横風を受ける航路をなるべく選択することで、より⼤きな節約効果を得ていることがわかりました。

Wind chart demonstrating savings when combining rotor sails with NAPA Voyage Optimization.

ローズチャート

 

今回の共同研究では、NAPAの船舶性能モデリングおよび航海シミュレーション解析技術の知見を活用し、住友重機械マリンエンジニアリングの持つ船舶情報および  Norsepower社から提供された円筒帆の設計情報と2022年の年間海気象データを用いて、対象船の主要6航路における風力推進装置搭載船の環境性能評価を設計段階で行いました。その結果、Norsepower社製の円筒帆を搭載しNAPA Voyage Optimization を使用した場合、対象全航路において年間平均で約 19% の CO2 排出量削減効果が期待でき、そのうち NAPA Voyage Optimization 単独による削減効果は年間平均で約 10% となりました。

本プロジェクトの第 2 段階(2023年 5⽉〜)は、第 1 段階をベースに、風力推進船の環境性能を更に向上させることを目的としています。本船運航パフォーマンスの最適化を図るための高度な性能解析手法を構築し、新たな円筒帆の制御ロジックのコンセプト検証に役立てます。このプロジェクトは、Norsepower社の円筒帆を搭載した船舶の概念実証開発を行う住友重機械工業技術研究所の開発プロジェクト、および国土交通省の補助事業として進めています。

海事産業が脱炭素化へ歩みを加速させつつある中で、本取組みは風力推進装置に関連する新技術開発および風力推進装置の導入支援に役立ちます。この共同研究は、NAPA の航海シミュレーション解析技術と Norsepower社および住友重機械マリンエンジニアリングの優れた技術的知見を活用し、省エネ推進装置に関する環境性と経済性の性能評価を設計初期段階に行うことで、導入の意思決定に役立つ重要な判断材料とすることができます。

 

各社代表者コメント

Pekka Pakkanen, Executive Vice President, NAPA Shipping Solutions:「本協業は、風力推進装置と航海最適化システムを組み合わせることで、地球にポジティブな影響を与えることができる⼤きな可能性を示しています。環境規制への対応が急がれる中、デジタルソリューションは、海事バリューチェーン全体のステークホルダーとの協働をより強化することを可能にします。今回の共同シミュレーション・プロジェクトも同様です。私たちの発見は有望であり、業界が持続可能な目標を達成するための一助となると確信しています。」

Jukka Kuuskoski氏, CSO, Norsepower:「NAPA、住友重機械マリンエンジニアリングとともに、海運の脱炭素化を支援するこの共同プロジェクトに取り組めることを⼤変うれしく思います。海運業界の環境負荷低減に対する国際的な規制や世論の圧力が高まっている今、クリーンな技術を採用することのメリットに関するこの性能データは、海運業界に脱炭素化への投資に必要な自信を与えるものであり、私たちはその意欲に応えるためにここにいます。」

新井  祐司氏,  主任技師, 住友重機械マリンエンジニアリング:「当社は、海運業界の脱炭素化のために革新的な最新鋭の船舶を提供するビジョンを掲げています。Norsepower社の円筒帆、NAPA のウェザールーティング、そして当社が培ってきた帆船設計技術は脱炭素社会に向けて貢献するというビジョンを実現するために不可欠なピースです。今回のプロジェクトにより、風力推進装置と航海最適化を組み合わせることによる相乗効果でお客様の期待を超えるCO2 排出量削減が図れることを示せたと思います。」


NAPA概要
NAPAは30年以上の歴史を持ち、安全で持続可能、かつ将来性のある海運を可能にする船舶設計と運航のためのソフトウェアおよびデータサービスのリーディングプロバイダーです。本社はフィンランドにあり、造船工学、海運、デジタルサービスの専門知識を兼ね備えた200名のエキスパートを擁しています。NAPAは、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドに拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。

新造船の90%以上がNAPAの顧客によって建造されており、NAPAの船舶設計ソフトウェアは、造船における世界的な業界標準となっています。さらに、NAPAは客船の復原性管理と安全データサービスのマーケットリーダーであり、船舶の性能監視と運航最適化のためのクラウドベースのソリューションは、海運の脱炭素化の航路をサポートしています。

 

Norsepower社概要
フィンランドのクリーンテクノロジーおよびエンジニアリング企業で、世界の海運業界向け風力推進装置のパイオニアです。Norsepower Rotor SailTM は、8 年以上にわたって顧客に使用されており、メンテナンスが少なく、使いやすく、信頼性の高い燃料節約技術として証明されており、海運業界の脱炭素化を支えています。2012 年の設立以来、Norsepower は 4000 万ユーロ以上の資金を生み出し、現在、CLdN RoRo社の MV Delphine への最新の設置を含め、8 隻の船舶に Rotor Sail を設置しています。

CLdN の MV Delphine への最新の搭載、Alcyone への今後の搭載、M/V Koryu、MOL 就航中のCapesize Bulk Carrier および Northern Lights JV の LNG 動力、風力アシストの新造 CO2 運搬船 2 隻への搭載を含み ます。各設備は、ABB、NAPA、Lloyd’s Register などの独立した第三者検証機関によって、燃料コストと排出量を⼤幅に削減したことが確認されています。他の船主、用船者、造船所も Norsepower Rotor SailTM の利点を認識し、Norsepower Rotor SailTM の技術的、経済的な実現可能性を利用するために、船団全体での活用促進などの措置をとっています。
ホームページリンク:www.norsepower.com

 

住友重機械マリンエンジニアリング概要
住友重機械マリンエンジニアリング株式会社は 1897 年創業の浦賀船渠株式会社に発祥する、住友重機械工業株式会社のグループ会社です。浦賀船渠から始まり住友重機械マリンエンジニアリングに至る約 120 年の間に日本丸(1984 年)、海王丸(1989 年)、あこがれ(1993 年)の 3 隻の近代⼤型帆船を含む 1,400 隻以上の船舶を建造しています。
ホームページリンク:www.shi.co.jp/me/

 

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