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MEPC 82: 航路最適化の重要性が高まる
2024年10月、第82回IMO海洋環境保護委員会(“IMO MEPC 82”)が開催され、主に世界的な炭素課税と目標に基づく国際的な船舶燃料基準について議論されました。また、新たな大気汚染物質放出規制海域(“ECAs”)に関する具体的な決定や、CII の改善についてもある程度の評価が行われました。 経済対策が中心課題に 最終決定ではないものの、世界的な炭素課税は船舶のCO2排出量に明確な価格を設定することになります。このような排出量取引制度は、船舶運航者が自分たちの燃料消費とそれに伴う温室効果ガス排出を最小限に抑えるためのビジネス的な動機付けを促します。 このような規制環境下において、気象及び海況に関するリアルタイムのデータを使用して船舶の航路を評価し、適応させる航路最適化プラットフォームは、燃料費や排出量を大幅に削減させるだけでなく、規制遵守のコストも削減します。 より技術的な観点では、IMOの立法議案に、目標に基づく国際的な船舶燃料基準が含まれています。この規制と炭素税を組み合わせることで、船舶燃料の温室効果ガス排出度を段階的に削減する取り組みを推進できるでしょう。例えば、明確かつ実質的な再生可能な船舶燃料の基準は、e-メタノール、e-メタン、e-アンモニアなどの再生可能燃料の普及をより大きく後押しする可能性があります。 そのうえ、これらの燃料は従来の燃料よりもはるかに高いため、効率性を高めることの正当性が更に高まります。代替燃料の価格は依然として不透明ですが、業界アナリストの間では、生産コストや需要に対する初期供給不足のため、現在の燃料よりも2倍から10倍は高くなるだろうという見方が一般的です。燃料費が更に高騰した場合、航路最適化によるコスト面での競争優位性は、船舶運航者にとってますます魅力的なものとなります。 最も安価でクリーンな燃料とは、そもそも使わなくていい燃料のことです! MEPC 82で炭素税と燃料基準について具体的な決定がなされることが望ましいものの、今回の協議では、業界の環境規制と「方向性」について一定の見通しが示されました。しかし、大気汚染物質放出規制海域(“ECAs” )のような重要な課題については、具体的な決定がなされました。 新たな大気汚染物質放出規制海域の発表 ECAsとは、窒素酸化物(“NOx” )や硫黄酸化物(“SOx”)等の人類の健康や環境に悪影響を与える特定の物質の排出が規制される特別海域のことを指します。MEPC 82に従い、ノルウェー海およびカナダ北極海がECAsに指定されました。条件付きNOx排出規制は2026年3月1日より、Sox排出規制は2027年3月1 日より発効します。 これらの新しいECAsは、2025年5月1日から実効予定の地中海のECAs同様に、バルト海、北海、北米西岸及び東岸、ハワイ、カリブ海の既存のECAsに追加されます。現在のECAsは全て、Fleet IntelligenceのプラットフォームのNAPA Voyage Optimization module に含まれています。新たなECAsは、実装が完了次第、プラットフォーム上で利用可能になります。つまり、航海計画を立てる際には、関連するECAsを考慮し、ECAsを含むルートと含まないルートを比較し、総コストが最も低いルートを選択することができます。 効果を直接見たい方は、NAPA Voyage Optimizationのデモをお試しください: CII の更新計画は進行中 MEPC 82では、IMOの二酸化炭素放出実績指標(”CII IMO”)について、参加者がCIIに加え、船舶エネルギー効率管理計画書(”SEEMP”)と既存船エネルギー効率指標(”EEXI”)の「見直しを開始」したという、ごく僅かな進展がありました。IMOでは、これらは短期的な温室効果ガス対策とみなされているため、参加者は早急にこれらの対策を繰り返し、改善する必要があります。 MEPC 82では、CIIとSEEMPに関連するギャップと課題について、2段階の方法で検討することが合意されました。今年の会議では、EEXIに関してのギャップは指摘されませんでした。残りのギャップと課題は、2026年1月1日以前の第一段階で対処される可能性があります。検討が残っているものには、2027年から2030年のCII削減(Z)係数、寄港効率、DCSデータのアクセス性など、優先度の高いものがいくつか挙げられます。 未来のCII評価を予測し、様々なエネルギー効率策を評価するため、船舶のデジタルツインと履歴データを使用するNAPA CII Simulator をご検討ください。 デジタル技術で規制に対応 規制状況が変化し続けるなか、ニーズに適応し、更新されるデジタル技術へのアクセスが不可欠であり、様々な法令の影響を考慮することが重要です。また、環境パフォーマンスと規制コストの全体像を把握するためには、温室効果ガス排出規制が船舶の運航にどのような影響を与えるかをモデル化することも必要不可欠です。これはNAPAの FuelEU MaritimeとEU ETS モジュール、又はCII Simulator からの情報は、NAPA’s Fleet Intelligence プラットフォームに引き込むことができます。 規制と同様に、航路最適化のような技術も、単独で捉えるべきではありません。この技術は、効率化(クリーン)技術の導入の基盤となります。例えばNAPA Voyage Optimization は、船舶がローターセイルなどの風力補助推進技術を利用する際に極めて重要な役割を果たしています。なぜなら、船舶が好条件の風を最大限に活用できるようにすると同時に、安全性と復原性の維持にも貢献しているためです。これらの画期的な技術の組み合わせは、規制遵守と排出量削減目標の達成を大きく支えています。 . 要約すると、MEPC 82で協議された世界規模の燃料基準と炭素課税は成功が期待できます。しかしながら、参加者が最終的な法案に合意するためには、まだかなりの進展が必要です。心強いことに、参加者は2025年2月に追加の会合を行うことに合意しており、4月に開催されるMEPC 83で対策が承認される予定です。新たなECAs及びCIIの見直しは歓迎すべき進展であり、今後数年間でこれらの動きがどのように展開していくかを見守ることが重要です。 私たちは今後も規制に関する全ての議論を注意深く監視していきますが、最終的な詳細にかかわらず、IMO提案の経済的措置とより技術的な規制は、海運業界が実質ゼロの温室効果ガス排出量を目指す上で、大きな転換点となる可能性があります。この明確な「方向性」を踏まえると、持続可能性と競争力を向上させるために運航効率の改善を講じる必要性は、これまで以上に大きくなっています。 […]
Read Article11月 19, 2024
風力アシスト船の効率を最大限に高める方法とは?
海運業界が二酸化炭素排出量の削減や厳格化する環境規制の遵守に努めているなか、風力推進は船の燃料消費量と排出量を大幅に削減する見込みが高い解決策として、台頭しています。 しかし、風力を利用することはただ単に帆やウイング、凧を設置することではありません―それはまた、風力推進に内在する課題を解決することでもあります。複雑かつ急速に変化する気候パターンから乗組員のトレーニングまで、高度なデジタル技術を統合することで、オペレーターは航路を最適化しながら安全性と復原性を確保し、船の全体効率を高めることができます。 課題1. 複雑な風の扱い 予測不可能な風の中を航行するという複雑な仕事には、事前の緻密な計画と航海を通しての調整の両方が必要です。目まぐるしく変化する風速や風向き、波や潮流を見極め、航海中も常に見直し、最適な航路を決めなければなりません。これはウイング、ローター、帆を最大限に活用するため、適切な速度と角度で風を捉える必要がある風力アシスト船にとって、特に重要なことです。 解決策-NAPA Voyage Optimization 昔ながらの手法や手作業だけに頼るのは、多くの機会損失のリスクがあります。そこで風の変化を理解し、これを船の利益となるように利用するためには高度なデジタル・ツールが必要不可欠です。NAPA Voyage Optimization は、リアルタイムで可能性のある航路や速度プロファイルのバリエーションのシミュレーションと評価をし、これにより、意思決定者は燃料消費と排出ガスを最大限に抑えるための最適な航路を選ぶことができます。 課題2. 不安定な海況 不安定な海況に対処するため、安全性と効率性の両方を確保するためにも、予測不可能な海洋環境に対し、継続的な監視・適応が必要です。 解決策-ウェザールーティング 非常に正確かつ詳細に数時間先の天気を予測できるNAPAのウェザールーティングは、船のオペレーターが急速に変化する風速や風向き、波、潮流に対応する助けとなり、正確な計算結果をリアルタイムで提供します。これにより、予測困難な天候下でも最適な航海が可能になります。 課題3. 高い復原性への要求 高い復原性を求める声に応えるためには、転覆を防止し、乗組員と貨物の両方の安全を確保するためにも、様々な条件下で船が最適なバランスとコントロールを維持しているという保証が必要となります。 風力推進システムは船の重心に影響を与える船上部に重量を増やす傾向があるため、船の安全性や復原性を管理することは、より一層重要なこととなります。そこで、高度なデジタルシステムが重要な役割を果たします。 解決策-NAPA StabilityとNAPA Loading Computer NAPA Stability と NAPA Loading Computer はこれらの要因を考慮し、風力アシスト船について、運航中の復原性に関するあらゆる基準を個々に検証することができます。これは、例えば、航海中の風速を考慮し、帆と横風から船の最大傾斜の動きなども含みます。 課題4. 排出ガス削減量の最大化 次の課題は、排出ガスの削減量を最大化することです。これは、例えば、最高のCII スコアを取得したり、EU ETS と FuelEU 下でのコストを最小限に抑えたりすることがカギとなります。そのためには、運航全体を通して風力推進システムを最大限に活用するための戦略と技術を導入する必要があります。 解決策-風力推進とNAPA Voyage Optimizationの組み合わせ 風力推進システムを、船が最適な風を捉えることができる航路最適化システムと組み合わせれば、容易に解決できます。 実際、モデリング研究では、風力推進による排出削減の潜在能力を最大限に引き出すためにはウェザールーティングが不可欠であることを裏付けるデータに基づく証拠が示されています。例えば、NAPA・住友・Norsepowerの共同研究では、ローターセイルとNAPA Voyage Optimization を組み合わせることで、平均で最大28%の排出削減が可能となり、そのうち12%がウェザールーティングによるものであることが示されています。 マンチェスター大学による2023年の研究では、航路の最適化により、風速と風向きが特に良好な「理想的な」航路では、二酸化炭素排出量を30%以上削減できると示しています。また、同研究ですべての航路を平均し、ローターセイルのみを使用した場合の平均排出削減率は10.8%だったのに対し、NAPA Voyage Optimizationを併用した場合は17.7%に増加したことが分りました。 […]
Read Article10月 3, 2024
バルカーで17%のCO2削減確認 到着時間最適化のBlue Visby
日本・東京-2024年5月21日-海事プレス(ニュース-海運<経営・全般>)にて、デジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化することで、船舶の温室効果ガス(GHG)排出削減を目指すブルー・ヴィスビー・コンソーシアムが3月から4月にかけてバルカー2隻で実施したトライアル航海で、平均17.3%の二酸化炭素(CO2)削減効果が確認されたことが掲載されました。ぜひご覧ください。 デジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化することで、船舶の温室効果ガス(GHG)排出削減を目指すブルー・ヴィスビー・コンソーシアムは3月から4月にかけてトライアル航海をバルカー2隻で実施した。14ノットの船速を前提とすると、1隻は28.2%、もう1隻は12.9%、平均17.3%の二酸化炭素(CO2)削減効果が確認された。 昨年のパイロット・プログラムに続いて今回、プロトタイプ・トライアルが行われ、その結果が17日に公表された。今回トライアルで用いられたのは“Gerdt Oldendorff”と“Begonia”のバルカー2隻で、コンソーシアムに参加する穀物生産者協同組合CBHグループの用船の下、同グループの豪州のクウィナナ・グレーン・ターミナルへバラスト航海を実施した。“Gerdt Oldendorff”はトライアルでは12ノットの船速に対して7.9%のCO2削減となったため、船速14ノットとすると28.2%の削減が可能という。ブルー・ヴィスビーのソフトウェア、技術や運航のシステム、利益分配メカニズムなどもテストされた。 今後数カ月のうちにより広範な参加者によるプロトタイプ・トライアルを実施することも計画している。 2022年に発足したブルー・ヴィスビー・コンソーシアムは、船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを統合し、同じ港を目指す船舶群の到着時間の最適化・分散を行うことで、船舶から排出されるGHGの削減を目指している。そのための統合プラットフォーム「Blue Visby Solution」の開発を進めている。コンソーシアムには日本から丸紅、商船三井、日本海事協会(NK)、日本政策投資銀行が参加。NK子会社のNAPAと国際弁護士事務所のスティーブンソン・ハーウッドが共同で運営している。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2024/05/184240/ PDF:バルカーで17%のCO2削減確認到着時間最適化のブルー・ヴィスビー _ 海運<経営・全般> _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL:https://www.kaijipress.com/ Blue Visbyについて、詳しくは下記の関連記事もご覧ください。 Blue VisbyがNKのInnovation Endorsement (IE)を取得 NAPAのデジタル技術を活用し、”Sail Fast, then Wait”(速く航走して、沖待ち)を防ぎ、海運のCO2排出量を削減する新たな協業を推進 デジタル技術活用で船舶CO2削減 丸紅、NAPAらのコンソーシアム参画 データを活用した公正なソリューションで”Sail Fast, then Wait”(速く航走して、沖待ち)を解決し、排出量を削減 NAPA、BlueVisby コンソーシアムへの日本政策投資銀行の加盟を歓迎 ~金融機関としては初の加盟~ インタビュー掲載 Blue Visby計画、契約形態なども議論
Read Article5月 23, 2024
飯野海運、NAPA Voyage Optimization(航路最適化システム)の導入を決定
風力推進補助装置(ローターセイル)との組み合わせで更なるコスト削減を実現 日本・東京ー 2024年4月11日ー飯野海運株式会社 (以下、飯野海運)はこの度、海事ソフトウェアとデータサービスのエキスパートであるNAPAと、Norsepower社製の風力推進補助装置(以下、ローターセイル)を搭載した2隻の飯野海運保有の船舶にNAPA Voyage Optimization(以下、本ツール)を導入することで合意しました。本ツールのウェザー・ルーティング(*¹)機能を活用することで、ローターセイルによる燃料消費削減の効果を最大化し、温室効果ガス(Green House Gas:GHG)の排出を最小限に抑えることができます。 本ツールは、飯野海運保有のVLGC(Very Large Gas Carrier)1隻と石炭専用船1隻に導入を予定しています。ローターセイルによる運航効率の向上およびGHG排出削減の効果を最大限発揮するため、本ツールは今年の第2四半期から高度なシミュレーション、評価、および航路・運航速度の最適化ツールとして活用され、様々な気象・海象条件の下であらゆる航路におけるパフォーマンスを包括的に比較できるようになります。 ローターセイルの搭載だけでも両船はそれぞれ約3~4%の燃料消費量とCO₂排出量の削減が見込まれていますが、NAPAとのコラボレーションにより、運航上の意思決定に役立てるために航海の最適化支援を活用し、また、高度なウェザー・ルーティング機能とローターセイルを組み合わせることで、CO₂排出量の削減率をさらに3〜10%引き上げることを目指しています。 飯野海運は、2023年5月に発表した中期経営計画 “The Adventure to Our Sustainable Future “においてテーマに掲げるカーボンニュートラルへの挑戦に取り組んでいます。具体的なコスト削減を図り、デジタル技術を駆使して航路を最適化することで投資利益率を最大化し、さらなる脱炭素化への取組みや設計・運航の革新を推進していきます。 <飯野海運 取締役 専務執行役員 小薗江隆一 コメント> 「NAPA社のデータに関する洞察力と専門知識は、当社の脱炭素化戦略を推進し、投資利益率を最大化する上で非常に貴重なものです。当社の船舶がどのような性能を発揮するか、どれだけの燃料を必要とするか、どれほどの排出量となるかなど、航海が開始する前の段階でシミュレーションできることは、市場のボラティリティが高まり、規制が強化されている今、極めて重要な知見です」 <NAPA Pekka Pakkanen, Executive Vice President for Shipping Solutions コメント> 「脱炭素化に向けて、海運業界全体が協力し、新たな道を開いています。当社が飯野海運の風力推進の可能性を最大限に引き出すための役割を果たせることを誇りに思います。このパートナーシップは、飯野海運の環境に対する意欲的な取組みを推進し、より多くの船主やオペレーターに海運のエネルギー転換加速のための投資を促す上で重要な役割を果たすことになります」 「航海の最適化と風力推進を組み合わせることで、燃料削減を大幅に達成することができます。潜在能力を引き出し、相互連携を強化し、より効率的で環境に優しく、安全な航海海運を実現すべく、データを活用するのです」 (*¹)ウェザー・ルーティング 船舶が航海中に遭遇する気象や海象を予測し、船舶の状態や性能・到着時間などを考慮して、安全性・快適性・燃料消費量・最短航海時間などの項目一つあるいはそれらの組み合わされた評価基準により最適な航路を設定すること。 ***** NAPAについて NAPAは、グローバルな海運業界向けのソフトウェアとデジタルサービスのリーディングプロバイダーであり、データサイエンスを活用して、より安全で、より持続可能で、将来にわたって有効な船舶運航を実現しています。 船舶設計のためのスマートソリューションを提供するために1989年に設立され、現在では同社の顧客が建造する新造船の90%以上に採用されるなど、船舶建造において世界的な基準となっています。現在、同社の専門知識は船舶のライフサイクル全体に及び、船舶設計から船舶の運航安全性と効率に至るまで網羅しています。世界中の商船約3,000隻が同社の安全性と効率性向上のためのソリューションを搭載しており、これには海上での安全管理に積極的に取り組むデジタル船舶復原性システム、新たな運航効率を導き出すための知見を提供するクラウドベースのパフォーマンスモニタリング、そして航海最適化ソリューションが含まれています。 フィンランドに本社を置く同社は、200人の専門家を擁し、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドの拠点を通じ、世界中で事業を展開しています。 詳細は、NAPAウェブサイト(www.napa.fi)をご覧ください。 飯野海運について 飯野海運は 1899 年創業の東京に本社を置く海運会社です。飯野海運グループは、原油、LNG、LPG、石油化学製品、乾貨物などのエネルギー資源およびその関連製品の輸送に特化した船主およびオペレーターとして、全世界で輸送サービスを展開しており、2023年 12 月現在、大型原油タンカー4 […]
Read Article4月 11, 2024
船舶到着時間の最適化で排出削減
日本・東京ー2023年9月1日 –海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)にて、デジタル技術活用で船舶CO2削減を目指す統合システム「Blue Visby Solution」の開発に取り組むブルー・ヴィスビーコンソーシアムに、日本政策投資銀行(DBJ)が参画したことについて掲載されました。ぜひご覧ください。 船舶到着時間の最適化で排出削減 政投銀、「ブルー・ヴィスビー」加盟、金融初 日本政策投資銀行(DBJ)はデジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化する統合プラットフォーム「Blue Visby Solution」の開発を目指すコンソーシアムに加盟した。8月31日に発表した。このコンソーシアムに金融機関が加盟するのは初。「海事クラスターの構成員と広く関わりがある金融機関のわれわれは結節点になり得る」(山口祐一郎・企業金融第4部課長)とし、関係者に広く参画を呼び掛けるとともに、ファイナンスに関するノウハウの提供・助言を通じてプラットフォームの開発を支援する。 昨年発足し、このほど政投銀が加盟した「ブルー・ヴィスビー・コンソーシアム(Blue Visby Consortium)」は、船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを統合し、同じ港を目指す船舶群の到着時間の最適化・分散を行うことで、船舶から排出される温室効果ガス(GHG)の削減を目指している。日本海事協会(NK)の子会社で船舶の設計・運航支援システムを提供するNAPA社と国際弁護士事務所のスティーブンソン・ハーウッドが共同で運営。世界各地から27の機関が加盟し、プラットフォーム開発に向けて活動している。 日本企業ではこれまでにNK、商船三井、丸紅が参加。このほか、資源メジャーのアングロアメリカン、海運会社からはCMB、タンカーズ・インターナショナル、ダイアナ・シッピング、トーム、ティーケイ、ウルトラバルク、船舶管理のシナジー・グループや、船級協会、港湾、BIMCO(ボルチック国際海運協議会)やボルチック・エクスチェンジなどが加盟している。 海運業界では、速く航海して目的地の近くで沖待ちをする船舶の運航方法「Sail Fast Then Wait」が慣習となっており、沖待ちと高速運航により、結果的に不必要なGHGの排出につながっているとされる。世界の船舶からの二酸化炭素(CO2)排出量のうち2割はこの「Sail Fast Then Wait」に起因するとの見方がある。その解決を目指してプラットフォーム開発を進めているのがこのコンソーシアムだ。 同コンソーシアムが検証した結果、構築するシステムを利用すると個船ベースでCO2を15〜20%削減できるといい、開発中のシステムを用いたシミュレーションでは、1航海当たり16%の排出削減効果が見込まれたという。 海運の低・脱炭素に向けて燃料転換は有効な手段となるが、新燃料船の建造に向けた技術開発のみならず、新燃料を海運業界向けに確保する供給網づくりが不可欠であるなど、取組課題は少なくない。これを進めていくとともに、政投銀は「(海運の低・脱炭素に向けて)船の世界の中でできることがまだまだある」(山口氏、以下同じ)との認識を示す。具体的には、船型開発や改造、省エネ付加物の設置など船そのものの燃費効率改善と、船舶の運航の工夫による効率改善を挙げる。このうち、運航効率改善について、「気象情報などを用いた運航改善など各社が単独でできることと、関係者が皆で取り組むことの2つがあり、コンソーシアムの取り組みはこのうち後者に当たる」。 同コンソーシアムのシステムは広く関係者が参集するほど全体として効果が高まることから、政投銀は他の金融機関への働きかけや、公的な立場を生かして港湾などへの働きかけもしていく考えだ。 コンソーシアムでは現在、各社が要素技術の開発を進めており、今年中にパイロットプロジェクトを立ち上げることを目標とする。その後に社会実装を目指す。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2023/09/178001/ PDF:船舶到着時間の最適化で排出削減政投銀、「ブルー・ヴィスビー」加盟、金融初 _ 海運<経営・全般> _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/ 関連リンク 日本政策投資銀行(DBJ) URL :https://www.dbj.jp/ 関連記事 NAPAのデジタル技術を活用し、”Sail Fast, then Wait”(速く航走して、沖待ち)を防ぎ、海運のCO2排出量を削減する新たな協業を推進 デジタル技術活用で船舶CO2削減 丸紅、NAPAらのコンソーシアム参画
Read Article9月 1, 2023
NAPA、Ship Technology Excellence Awards 2023の4部門で受賞!
NAPAは、Ship Technology Excellence Awards 2023の4部門で受賞しました! Ship Technology Excellence Awardsは、海運業界における最も優れた功績と革新的な技術に焦点を当てた授賞式です。本年の授賞式では、より知的で持続可能な海運世界を目指し、積極的な変革を推進するNAPAの絶え間ない努力を多く評価いただきました。 NAPA CII Simulator 「製品発表–燃費実績の格付け制度(CII)」の部門で優勝し、続けて「環境–脱炭素」、「研究開発–脱炭素」、「トレーニング」の各部門でも受賞しました。また、これだけでなく、フィンランドと日本での国別の事業部門でも受賞しました。 船舶設計から運航支援、船上・陸上、そして最先端のデジタル・ソリューションの開発から、それを日常業務で使用する船員のトレーニングに至るまで、あらゆる面で海運業界と協力できることを誇りに思います。 NAPAチーム全員の努力に、そして継続的なご支援をいただいているすべてのお客様に深く感謝いたします! 詳しくは、Ship Technology Excellence Awards 2023受賞者発表の受賞レポートをご覧ください。
Read Article7月 24, 2023
NAPA、CIIシミュレーターツールの提供開始で、CIIに積極的なアプローチを呼びかけ
NAPAの新しいシミュレーションツールはCII値を予測し、潜在的な効率対策の影響をモデル化することで、チャーターパーティー関係者間の協働と温室効果ガス排出量削減を可能にします。 フィンランド、ヘルシンキ – 2023年3月21日: 世界的な海事ソフトウェアおよびデータサービスプロバイダーであるNAPAは、海運業界に対し、IMOの燃費実績の格付け制度(Carbon Intensity Indicator: CII)に積極的に取り組み、用船者と船主がコンプライアンスに向けて協力して温室効果ガス排出量を削減できるようにするデジタルプラットフォームを最大限に活用するよう促しています。 NAPAは米国スタンフォードで開催されたCMA Shippingにおいて、NAPA Fleet Intelligence プラットフォームの機能である CII Simulator を発表しました。この新しいツールは、船舶のデジタルツインを、過去および現在の航路および性能に関するデータとともに使用して、年度末や特定の用船期間後など、あらゆる航路または年間の任意の日付のCII評価を予測します。 NAPA CII Simulatorは、天候に左右される航路や減速航行など、さまざまなエネルギー効率対策や運航プロファイルが船舶のCII等級に与える影響をシミュレートできることが大きな特徴です。また、省エネ装置の設置や船体洗浄の効果もモデル化できるため、特定の船舶に対してどのような対策が最も効果的であるかをより明確にすることができます。 NAPA Shipping Solutions Executive Vice President, Pekka Pakkanenは、海運業界が協働してCIIの新しい枠組みを進める上で、このデジタルツールが重要な役割を果たすと主張しました。新しい規制は新しい働き方を求め、デジタルソリューションはすべての関係者を同じ方向に導くのに必要な客観的洞察を提供します。CIIを成功させるには、特に船主と用船者の間の協力が必要です。 この協働を実際に実現するには、船舶のCII値が年間を通じてどのように変化し、それに対して何ができるかについての相互理解を深めることができる共通のプラットフォームが必要です。そこで、当社のNAPA CII Simulatorを用いて信頼性の高い分析と予測を提供し、船舶の性能を向上させ、CII値を向上または維持するために可能な限り最適な運用上の意思決定を支援します。 NAPAが船主および用船者と共同で開発した新しいCII Simulatorは、傭船契約におけるCII条項の対応を支援する重要なツールとなります。このツールは、船舶の性能の背景にある原因について信頼性の高い分析を提供することで、係争を回避し、契約上の義務を確実に満たすのに役立ちます。NAPA CII Simulatorは、船主と用船者の双方から歓迎されており、プロジェクトの初期のパートナーはすでに積極的に活用しています。 NAPA Shipping Solutions Sales Manager, Ossi Mettäläは、この新開発について次のようにコメントしています。 この新しい機能は、CIIの遵守に向けた明確な道筋を示し、すべての船舶のパフォーマンスについて、必要な事実に基づいた情報を提供するものです。NAPA CII Simulatorは、船主と用船者の間で新たに発見されたCII対策の共有責任を認識し、関係者がより自信を持って持続可能性、商業、効率に焦点を当てた意思決定を行うことができる中立的なプラットフォームとして機能します。これにより、CIIの遵守だけでなく、より広範な脱炭素化に向けて、積極的かつ迅速なアプローチを取ることができます。 CIIはまだ始まったばかりですが、地球にとって本当に良い影響を与えるためには、海運業界がその働き方を大きく変えなければならないことは明らかです。NAPAでは、NAPA CII Simulatorの機能の提供開始により、業界が商業的に実行可能な意思決定を継続しながら排出量を削減できるよう支援しています。 *** NAPAについて 30年以上の歴史を持つ、船舶設計と運航のためのソフトウェアおよびデータサービスのリーディングプロバイダーであり、安全で持続可能、かつ将来性のある海運を可能にします。フィンランドに本社を置くNAPAは、造船工学、海運、デジタルサービスの専門知識を兼ね備えた200名のエキスパートを擁しています。NAPAは、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドに拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。 新造船の90%以上がNAPAの顧客によって建造されており、NAPAの船舶設計ソフトウェアは、造船における世界的な業界標準となっています。さらに、NAPAは客船の復原性管理と安全データサービスのマーケットリーダーであり、船舶の性能監視と航海の最適化のためのクラウドベースのソリューションは、海運の脱炭素化の旅をサポートしています。
Read Article3月 23, 2023
NAPA、ClassNK、丸紅の共同研究 船舶のCO2 排出量削減と燃費実績格付CII 向上について ~NAPA 航海最適化ソリューション活⽤~
NAPA Ltd.(以下「NAPA」)、⼀般財団法⼈⽇本海事協会(以下「ClassNK」)は、丸紅株式会社(以下「丸紅」)と共に共同研究を実施し、航海最適化ソリューションの活⽤により燃料消費量とCO2 排出量が最⼤で7.3%削減、CII 格付けを2〜3 年間⻑く維持しうることが分かりました。 本共同研究では、海事産業におけるソフトウェア・データ解析会社であるNAPA が提供するFleet Intelligence の船舶実海域性能モデルを利⽤した⾼精度の航海シミュレーション機能により、丸紅が保有運航するばら積船の2021 年の全航海データ、気象海象データから、航海最適化アプローチによる燃料消費量、CO2 排出量、燃費実績格付CII の改善効果を算出いたしました。また、丸紅が保有するばら積船4 隻に搭載し、実海域での改善効果を実証研究いたしました。ClassNK はシミュレーションにおける助⾔、算出値の検証・確認を⾏い、丸紅は実証実験の船舶の提供、運⽤⾯の評価・助⾔を提供しました。 CII 規制は、船舶の燃費実績を毎年評価・格付ける制度で、継続的な省エネ運航を促進させるため、CO2 排出量削減基準が毎年厳しくなるように設定されており、⼀定の評価を下回った船に改善計画の提出が必要となります。 NAPA 航海最適化ソリューション活⽤によるCII 値の改善効果が5~6%で、これによりCII 格付けの1 ランク上昇、或いは2〜3 年⻑く同⼀のCII 格付けを維持できることが期待できます。 NAPA 航海最適化ソリューションの導⼊には追加設置⼯事を必要しないため、CII 格付の維持・改善に向けた導⼊が容易な選択肢の⼀つとなり、今後の海運業界のCO2排出量削減に寄与することが期待できます。 燃費実績格付CII 改善推移イメージ図 点線:NAPA 運航最適化ソリューション採⽤時 実線:⾮採⽤時 CII 格付けはA〜E の5 段階で分類され、A が最も良い格付け。 本共同研究により、運航最適化アプローチにより、燃料消費量・CO2 排出量削減、CII 格付け改善が期待できることが分かりましたが、今後三社は運航最適化アプローチの普及に伴う海運業界の脱炭素・低炭素への寄与を⽬指します。 NAPA 概要 船舶の設計と運航の両⽅において、安全性・効率性・⽣産性に関するデータ主導のソリューションを提供する30 年の経験と実績を持つIT ソフトウェアプロバイダー。本社はフィンランドにあり、ヨーロッパ・アジア・アメリカに拠点をもつグローバル企業で、約 190 名が働いている。NAPA のソフトウェアは現在、全世界で420 以上の機関に採⽤、3,000 隻以上の船に搭載されており、海事産業におけるソフトウェア、サービス、データ解析のグローバルリーダーへと成⻑を続けている。 […]
Read Article2月 14, 2023
個船毎に代替燃料切替における安全性を予測するには?
代替燃料への切替準備には、新たなシステムの導入やエネルギー供給ラインの確保だけでなく、これらの新しいシステムが船舶設計や運航安全性、航海計画など他の側面にどのような影響を及ぼすかを理解することも必要です。NAPAのソリューションは、これらの複合的な要素をシミュレーションすることで不確実性を取り除き、お客様の本船管理をサポートし、代替燃料に対応したスムーズな体制構築を支援します。 本件に関するお問い合わせ先:
Read Article1月 25, 2023
NAPAウェビナー : CII対応策に関する動画配信のお知らせ
先日開催されたCII – Carbon Intensity Indicator の対応策に関する ウェビナーの動画を公開しました。 船舶のCII評価をどのようにフォローアップし、管理すればよいのでしょうか。 ウェビナーでは、NAPAの専門家が以下の点について解説しています。 CII格付けに有効とされる各対策がどういった影響を及ぼすかに関するNAPAの検証結果 NAPA Fleet Intelligenceで船舶のCII評価をフォローアップし管理するための実践的なヒント NAPA Voyage Optimizationを活用し、安全運航と燃費向上を両立するための航路の選択方法 詳細にご興味のある方は、下記フォームに必要事項ご記入・お申込いただければ簡単にご視聴いただけます。ぜひご活用下さい。 By submitting the form, I consent my information to be used according to NAPA’s privacy policy. NAPA Webinar: Practical tips for managing CII
Read Article1月 20, 2023
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