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Tag: Simulation

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Norsepower社とNAPAの提携により、高度な性能解析でローターセイルの効率性が向上

NAPAの風力補助推進システム(WAPS)への取り組みは、2015年にNorsepower社と提携して最初の評価プロジェクトを実施した時まで遡ります。それ以降、私たちは風力推進技術の限界に挑み続け、絶えず技術の革新と改良を行い、ソリューションを提供してきました。船舶設計と性能最適化ソリューションの提供において35年以上の実績を持つNAPAは、海運業界が風力補助船の潜在能力を最大限に活用するための支援を行う、リーダー的存在であり続けています。 2022年、NAPA・Norsepower社・住友重機械マリンエンジニアリング (SHI-ME)は、様々な海況や気象条件下で最高の効率を発揮できるよう、ローターセイルを最適化するという共通の目標を掲げ、海運業界の発展に向けて力を合わせています。この提携により、NAPA Voyage Optimizationと船舶性能最適化ツールが Norsepower Rotor Sails™ 技術と統合され、船主の持続可能性への取り組みを支援する、包括的なソリューションが提供されています。 横力と船の動きに関する高度な解析による、ローターセイルの性能向上 しかし私たちはそこで止まりませんでした!この提携による最近のフェーズ2の結果では、より幅広い船舶の反応と気象条件に関するデータを組み込むことで、Norsepower Rotor Sails™ を搭載した船舶の運航性能が大幅に改善されました。これには横方向の力と船の動きに関する高度な解析を伴いますが、それは風、波、潮流などの動的条件における船舶設計の最適化と性能の向上に非常に重要なものです。 このプロジェクトの成功は、海事部門において脱炭素化を加速させるデジタル風力推進の可能性を明らかにし、規制遵守と運航性能の向上の両方を実現することを示しています。 データ駆動型のウェザールーティングにより、更なる風力の効率化 天候パターンを分析し、リアルタイムで航路を最適化することにより、NAPAは船舶が風力をより効率的に活用し、大幅に燃料消費量と排出量を削減できるようにします。NAPAの高いモデリング精度とウェザールーティングにより実現されるこの正確な最適化は、環境への影響を最小化しつつ、大幅なコスト節減をもたらします。NAPAの3D船体設計、ビッグデータ、流体力学計算における35年の経験を活かし、私たちは船舶運航者に風力補助船の効率性を高めるための比類なき知識を提供します。 将来を見据えて:性能精度の向上による、ローターセイルの性能向上 有数な風力推進技術のプロバイダーのひとつであるNorsepower社との提携により、NAPAはローターセイルに特化したソリューションを提供し、高度なウェザールーティングと性能分析を通じて、その効率性を最大限に高めることを可能にしています。NAPAが風、帆、船体性能間の複雑な相互作用をモデル化できることは、大きな強みです。 次の段階では、Norsepower Rotor Sails™ を搭載した船舶の実際のデータを分析し、シミュレーション結果と比較する予定です。これにより、性能モデルの正確性に更に正しい知見をもたらし、風力補助船向けのウェザールーティングソリューションの一流プロバイダーとしてのNAPAのリーダーシップは、さらに強まるでしょう。 本件に関するお問い合わせ先:

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より良く、そして環境に優しい船舶設計を目指しますか?運航データがその力になります。

シミュレーションツールは、航海最適化や、運航の安全性と持続可能性を高める高度な復原性ソフトウェアの基盤としてよく知られています。そして今、このデジタルツールに新たな役割が生まれつつあります。それは、設計段階で仮想的に新しい船舶のコンセプトを試すことで、船舶設計におけるイノベーションを推進することです。  海運業界は今、様々な燃料やエネルギーを必要とする時代を迎えようとしており、それはますます個々のニーズに合わせた設計と同義語になっていくでしょう。燃料や技術の選択肢は、船舶の種類や用途によって最適なものが異なります。また、最も適切なソリューションは、船舶の運航状況や航行ルートによっても異なります。 例えば、最近、タグボートやフェリーにバッテリー技術が採用されたことは、これらのシステムが、特定の近海航路を航行する小型船舶に特に適していることを示しています。一方、風力推進システムは、強力で安定した風が吹く外洋航路の船舶に最も効果的です。寄港地で燃料補給ができるかどうかも、LNG、メタノール、アンモニアなどの代替燃料に関する決定に影響を与えるでしょう。 しかし、これは、こうした斬新なコンセプトの開発を担当するエンジニアや船舶設計者が、設計段階で下さなければならない多くの決定事項の内のほんの一部にすぎません。課題は、新しいエンジン、タンク、技術を統合することだけでなく、安全性、効率性、収益性の観点から、これらの設計が海上で有効であることを保証するために、適切な構成、寸法、積載量、強度、船体形状を選択することにあります。 最終的な目標は、船舶設計者が設計の初期段階から、新しい船舶コンセプトが就航後にどのような性能を発揮するかをモデル化できるようにすることです。迅速かつ簡単にこれを行えるようになるのが理想的です。そうすれば、様々な検証を繰り返し行い、コンセプトを確実に最適化することができます。 従来、設計者は類似船のデータに基づいてこれらの評価を下してきましたが、このデータは不完全であることが多く、また、過去において平均的にうまく機能してきた簡略化された規則に基づいて作成されている場合があります。このアプローチは、船舶設計にとってもはや最適な方法ではなく、技術革新を阻害する恐れもあります。さらに、過去のデータが存在しない全く新しい設計の場合はどうでしょうか?その答えは、すでに船舶の運航で広く使用されているツールにあり、それを船舶設計のための新たな見識を引き出すために再利用することです。 未来のパフォーマンスをシミュレーションする3つのステップ  実際の業務ではどのように行われるのでしょうか?類似船舶のデータが入手できない場合でも、以下の3つのステップに従うことで、未来の船舶性能をモデル化することができます。 ステップ1:流力性能モデルの作成 船舶の設計に使用された3Dモデルに基づいて、流力性能モデルは、特定の船舶がさまざまな速度や海象条件下でどのように機能するかを把握する。 流力性能モデルをゼロから構築することは、多大な時間と労力を要する作業になる可能性がありますが、その必要はありません。NAPA性能モデルは、世界中のすべての既存の船種とサイズに対応する基準モデルを提供し、この分析のための最適な枠組みとなります。その後、新しい設計の独自の特性を反映したデータによって調整されます。 ステップ2:運航計画の決定  これは、本船が運航される地域や寄港地だけでなく、想定される速度の範囲や本船が受ける積付条件についても概要を示すものです。 これは、すでに船舶の運航状況を詳細に把握している修繕計画においては容易なことですが、新造船の場合は、AISデータから多くの情報を得ることができます。NAPAのデータベースは、数年にわたる6万隻の船舶のAISデータで構成され、このデータの意味を理解し、船舶タイプや サイズごとにフィルタリングするなどのアルゴリズムによってサポートされています。実際、このデータベースは、どの地域で、どのようなタイプの船舶が、どのように運航されているかという貴重な情報を提供しています。 ステップ3:現実的な運航のシミュレーション 流力性能モデルと運航計画を一緒にすることで、特定の航路における未来の船の性能をモデル化することができます。 NAPA Voyage Optimizationはまさにそれを実行するように設定されています。このツールは天候に左右される航海のために作られたもので、複数の航路バリエーションにおける船の挙動をシミュレートすることで、世界のどこでも2つの港を結ぶ最適な航路と速度分布を決定します。 その第一の目的は運航ですが、まだ図面にしか描かれていない船舶のコンセプトに対して、理論的な航海をモデル化する目的にも利用できます。 過去の気象データと、関連する海域や時期の統計的気候データを使って、船舶が運航する海域の気象条件や海況を再現します。そうすることで、未来の船舶の速度範囲、エンジン負荷、燃料消費量、運航中の温室効果ガス排出量をモデル化することができます。 よりエネルギー効率の高い船舶の設計に加え、NAPAの運航シミュレーションツールは、より安全で耐久性の高い船舶の開発にも利用できます。船舶設計者は、未来の船舶の耐航性能を評価し、船舶がその耐用期間中に航行する現実的な条件や航海に必要な構造荷重を評価することができます。 船舶設計者にとっての最大の利点は、さまざまな設計の繰り返しにおいてこの分析をすべて繰り返し、船主独自の運航ニーズを満たすにはどのオプションが最適かを判断できることです。  ケーススタディ – 繰り返し設計の検証 これが実際にどのようなものかを説明するために、バルト海のストックホルム、マリエハムン、ヘルシンキ間の航路に就航する新造RoPax船を例にとってみましょう。 私たちはまず、全長197メートル、幅31メートル、設計喫水7.1メートルの基本船型から始めました。その後、排水量(または重量)を一定に保ちながら、それぞれ寸法と構造を変えた3つのバリエーションを作成しました。 船体バリエーション 次のステップは、3港間の航路、スウェーデン群島での速度制限、入港時の低速などを考慮した運航計画を立てることです。これをもとに、2023年全体をカバーする26航海(2週間に1航海)のシミュレーションを行いました。 その結果、設計改善のための豊富な情報が得られ、未来の船は航行時間の約50%を全速力で、25%を港で過ごし、残りを低速で運航することが明らかになりました。これは、必要な推進力レベルを理解し、エネルギー効率を最大化するための適切なエンジン出力と構成の選択に役立つため、設計の観点からは貴重な知見です。 新燃料とエネルギー源のシミュレーション これをさらに一歩進めれば、将来の燃料消費量のシミュレーションを行い、特定の船舶のさまざまな燃料オプションのコストと排出削減効果を比較することができます。今後のEU ETSと FuelEU罰則を計算に含めることで、この10年間と将来における燃料コストを包括的に把握することができます。このようなシミュレーションは、新たな運航コストを考慮した場合、設計のバリエーションによる大きな違いを明らかにすることができ、最終的には船主の大幅な経費削減につながります。このような分析の不確実性は、予測される燃料価格と規制コストの精度に左右されますが、規制の状況や価格予測が明らかになるにつれて、運航シミュレーションツールはさらに強力になるでしょう。 将来を見据えた船舶設計のために、従来と異なる思考を なぜこのようなビジョンが重要なのでしょうか?なぜなら、海運業界が脱炭素の未来に向けて自信を持って前進するためには、船舶設計の選択と同じくらい重要な決定が、データと証拠に基づいて行われなければならないからです。 このシミュレーションは、既成概念にとらわれず、すでに自由に使えるシミュレーションツールを最大限に活用することで、今後先駆者となる船主が直面する最も重要な疑問の1つである、「新造船が安全で効率的、コンプライアンスに適合し、経営上のニーズに応えることができるか」、という問いに明確な答えを提供できることを示しています。 EUETS、FuelEU、IMOのGHG戦略など、新たな環境規制が導入され、エネルギー効率の高い設計や、最終的には新燃料への移行が求められる中、船舶設計の革新はもはや「あればいい」ものではなく、不可欠なものとなりつつあります。 今日、環境対応型船舶がより良い傭船料を獲得していることがすでに確認されており、特定の船種では割増料が1日あたり1万米ドル、あるいはそれ以上に達しています。しかし、より多くの船主に決断を促すためには、彼らの投資がいかに健全で、多くの場合20年以上に及ぶその耐用年数を通じて、彼らの資産がいかに将来性を保ち、コンプライアンスを遵守できるかを、確かなデータ分析によって証明する必要があります。 より広い意味で、これは船舶設計の革新を支える運航データの力を証明するものでもあります。海上に革新的な船舶の数が増えるにつれ、設計データと運航データの間に新たな架け橋を作る機会が私達にはあります。これは、実際の運航から得られる知見を設計プロセスに反映させ、将来の船隊の性能を向上させるためには非常に重要なことです。船主と造船会社が匿名化された安全なデータ共有に協力する必要がありますが、それだけの価値があるはずです。海事業会、人々、そして地球、すべてが恩恵を受けることになるのです。        

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造船会社の多面的な効率性の課題へのデジタル対応

競争市場、人口構成の変化、エネルギー転換に共通するものは何でしょうか。それは、船舶の設計・建造プロセスにおける効率化の必要性を推進する強力な力であり、それがこの分野のデジタル・トランスフォーメーションを加速させているという点です。 市場の地殻変動が起きています。中国、韓国、日本といった世界の造船大国間の競争は、個々の造船会社やエンジニアリング企業間の熾烈な競争のうち、最も目に見えるものの一部分に過ぎません。 造船会社は新造船の受注を競うだけでなく、新しい燃料や技術を推進力とする革新的な船舶を求める新興市場において自らの地位を確立し、その技術を開発しようとしています。このような状況において、納期を短縮し、より優れた設計を生み出し、かつ財務的に健全な事業を維持できる造船会社は、競争優位に立つことができるでしょう。 生産性の向上は、もはや「できればいいもの」 ではなく、企業の事業戦略の中核をなすものでなければなりません。これは、企業活動の将来を見据えた必須の戦いです。 労働力不足  競争が熾烈になる一方で、多くの造船会社やエンジニアリング会社、特に中小規模の会社は、労働者や技術者不足のために片手を後ろ手に縛られているような状態で戦っています。日本と韓国の急速な人口減少の中で、造船業界に新たな人材を惹きつけることはますます難しくなっています。韓国では、COVID-19規制が解除されて以来、熟練労働者の不足がここ2、3年で特に深刻になっていますが、問題の根源は10年前の大規模な市場低迷に伴う解雇にまで遡ります。 造船会社によっては2027年まで受注が満杯という新造船への需要が高まり、エネルギー転換のニーズに後押しされて技術革新が進んでいる最中に、このような採用難が発生しています。一部の造船会社では、人員不足とエンジニアリング業務増加の直接的な結果として、すでに納期遅れに直面しています。設計と建造の両チームで、既存の労働力の生産性を最大化するための対策を講じなければ、活況を呈する市場のチャンスを掴むことはできず、競合他社にシェアを奪われる可能性があります。 デジタル技術は、若い世代にとってこの業界がより魅力的なものになることと、生産性を高めるために設計プロセスを合理化することの2点において、人材確保の問題改善に役立ちます。   データはいかに効率化を促進し、より良い船舶設計をサポートするか 根本的な(そしてデジタル的な)変化はすでに進行しています。世界中のあらゆる規模の造船会社やエンジニアリング会社が、効率向上のための解決策を模索しています。その結果、造船会社によってデジタル化のレベルや規模は異なるものの、3Dモデルの使用はより広まり、設計プロセスに不可欠なものとなりつつあります。 初期のコンセプト段階から詳細設計、船級承認、そして建造に至るまで、設計プロセス全体で一貫した3Dモデルの使用を可能にすることで、部門間のサイロ化を解消し、効率的なフィードバックループの実現が可能です。また、データ入力や変換に費やす時間を削減し、エラーのリスクを抑えることもできます。最終的には、下流の生産設計で3Dモデルを再利用することで、重要な意思決定をサポートする正確な情報を提供するとともに、生産計画から調達までの時間を節約することができます。   NAPA Designerによるクイック3Dデザイン エネルギー転換に必要な技術革新のペースの速さを考慮すると、プロセスの合理化を支援するデジタルツールは、新しい燃料や技術の複雑さと工学的な課題を解決するための、より効率的で協力的な業務フローを構築するための基盤となっています。 デジタルの時代は、設計初期段階から将来の船舶性能をモデル化できる3Dシミュレーションツールの活用に扉を開いています。仮想航海シミュレーション、代替燃料の比較、風力推進装置シミュレーション、積付条件シミュレーションなどの評価分析はすべて、船舶設計者やエンジニアがさまざまな選択肢を検討し、これまでの経験だけに頼ることができないこの時代において、最善の意思決定をしていく上で既に役立っています。     適切なツールとともに、効率的な業務フローは、手作業によるデータ入力を減らし、重複作業を削減することで、船舶設計者やエンジニアが作業量の増加と複雑さを上手く管理できるようにし、各人が本来の設計作業に集中できるようにします。これらの改善により、迅速な設計の反復と柔軟な変更管理が可能になり、生産性の向上とすべての関係者にとってより良い設計の意思決定に貢献します。つまり、これらの迅速な設計プロセスは、競争力を維持し、革新的であり続けるために不可欠なのです。   船舶設計の未来 この機会を利用してデジタルツールを活用しプロセスを改善する企業は、今日、時間を短縮し、設計に付加価値を与えるだけでなく、効率性と革新性が重要な差別化要因となる今後の市場において、競争力を維持するための適切な基盤を構築することになります。つまり、今デジタルトランスフォーメーションを取り入れることで、造船会社が進化し続ける業界において成功するための準備を整えることができるのです。 長期的には、現在進行中の情報・技術革命は、デジタル建造からデジタルツインに至るまで、造船会社が新たな価値を生み出す世界を切り開くでしょう。例えば、造船会社が製造設備の模型をデジタルで作成し、業務フローや建造工程、建造アウトプットをシミュレーションし、最適化が可能になります。 これからの道のりは、挑戦的であると同時にワクワクするものでもあります。現在進行中の技術とエネルギーの変革は、造船会社の新たなビジネスモデルを確立していき、これにより市場の地殻変動はさらに進み、新たな専門分野が形成されるとともに、よりスマートな造船を実現するための技術活用の機会が開かれることになります。   本記事に関するお問い合わせ先:  

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飯野海運、NAPA Voyage Optimization(航路最適化システム)の導入を決定

風力推進補助装置(ローターセイル)との組み合わせで更なるコスト削減を実現 日本・東京ー 2024年4月11日ー飯野海運株式会社 (以下、飯野海運)はこの度、海事ソフトウェアとデータサービスのエキスパートであるNAPAと、Norsepower社製の風力推進補助装置(以下、ローターセイル)を搭載した2隻の飯野海運保有の船舶にNAPA Voyage Optimization(以下、本ツール)を導入することで合意しました。本ツールのウェザー・ルーティング(*¹)機能を活用することで、ローターセイルによる燃料消費削減の効果を最大化し、温室効果ガス(Green House Gas:GHG)の排出を最小限に抑えることができます。   本ツールは、飯野海運保有のVLGC(Very Large Gas Carrier)1隻と石炭専用船1隻に導入を予定しています。ローターセイルによる運航効率の向上およびGHG排出削減の効果を最大限発揮するため、本ツールは今年の第2四半期から高度なシミュレーション、評価、および航路・運航速度の最適化ツールとして活用され、様々な気象・海象条件の下であらゆる航路におけるパフォーマンスを包括的に比較できるようになります。   ローターセイルの搭載だけでも両船はそれぞれ約3~4%の燃料消費量とCO₂排出量の削減が見込まれていますが、NAPAとのコラボレーションにより、運航上の意思決定に役立てるために航海の最適化支援を活用し、また、高度なウェザー・ルーティング機能とローターセイルを組み合わせることで、CO₂排出量の削減率をさらに3〜10%引き上げることを目指しています。   飯野海運は、2023年5月に発表した中期経営計画 “The Adventure to Our Sustainable Future “においてテーマに掲げるカーボンニュートラルへの挑戦に取り組んでいます。具体的なコスト削減を図り、デジタル技術を駆使して航路を最適化することで投資利益率を最大化し、さらなる脱炭素化への取組みや設計・運航の革新を推進していきます。   <飯野海運 取締役 専務執行役員 小薗江隆一 コメント> 「NAPA社のデータに関する洞察力と専門知識は、当社の脱炭素化戦略を推進し、投資利益率を最大化する上で非常に貴重なものです。当社の船舶がどのような性能を発揮するか、どれだけの燃料を必要とするか、どれほどの排出量となるかなど、航海が開始する前の段階でシミュレーションできることは、市場のボラティリティが高まり、規制が強化されている今、極めて重要な知見です」   <NAPA Pekka Pakkanen, Executive Vice President for Shipping Solutions コメント> 「脱炭素化に向けて、海運業界全体が協力し、新たな道を開いています。当社が飯野海運の風力推進の可能性を最大限に引き出すための役割を果たせることを誇りに思います。このパートナーシップは、飯野海運の環境に対する意欲的な取組みを推進し、より多くの船主やオペレーターに海運のエネルギー転換加速のための投資を促す上で重要な役割を果たすことになります」 「航海の最適化と風力推進を組み合わせることで、燃料削減を大幅に達成することができます。潜在能力を引き出し、相互連携を強化し、より効率的で環境に優しく、安全な航海海運を実現すべく、データを活用するのです」   (*¹)ウェザー・ルーティング 船舶が航海中に遭遇する気象や海象を予測し、船舶の状態や性能・到着時間などを考慮して、安全性・快適性・燃料消費量・最短航海時間などの項目一つあるいはそれらの組み合わされた評価基準により最適な航路を設定すること。 *****   NAPAについて NAPAは、グローバルな海運業界向けのソフトウェアとデジタルサービスのリーディングプロバイダーであり、データサイエンスを活用して、より安全で、より持続可能で、将来にわたって有効な船舶運航を実現しています。 船舶設計のためのスマートソリューションを提供するために1989年に設立され、現在では同社の顧客が建造する新造船の90%以上に採用されるなど、船舶建造において世界的な基準となっています。現在、同社の専門知識は船舶のライフサイクル全体に及び、船舶設計から船舶の運航安全性と効率に至るまで網羅しています。世界中の商船約3,000隻が同社の安全性と効率性向上のためのソリューションを搭載しており、これには海上での安全管理に積極的に取り組むデジタル船舶復原性システム、新たな運航効率を導き出すための知見を提供するクラウドベースのパフォーマンスモニタリング、そして航海最適化ソリューションが含まれています。 フィンランドに本社を置く同社は、200人の専門家を擁し、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドの拠点を通じ、世界中で事業を展開しています。 詳細は、NAPAウェブサイト(www.napa.fi)をご覧ください。   飯野海運について 飯野海運は 1899 年創業の東京に本社を置く海運会社です。飯野海運グループは、原油、LNG、LPG、石油化学製品、乾貨物などのエネルギー資源およびその関連製品の輸送に特化した船主およびオペレーターとして、全世界で輸送サービスを展開しており、2023年 12 月現在、大型原油タンカー4 […]

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航路最適化で風力推進を次のレベルへ

NAPA、Norsepower、住友重機械マリンエンジニアリングの共同シミュレーション・プロジェクトは、風力推進装置と航路最適化システムを組み合わせることでどれだけCO2が削減できるかといった効果検証を行いました。これまでの結果は非常に素晴らしく、この技術によって平均28%の排気ガス削減が可能であることが確認されました。プロジェクトのフェーズ2では、より精緻なシュミレーションが可能になるだけでなく、船舶設計プロセスにおける運航データの利活用を促進し、よりスマートで環境に優しい船舶の設計プロセスの構築を目指しています。 本取組は、昨今の海運業界の脱炭素化の流れにさまざまな良い影響をもたらします。規制が厳格化され、新たなソリューションが市場に投入される中、海運業界全体が協力することでこうした変化にスムーズに対応することができ、船の設計から運航までのライフサイクル全体において、重要な意思決定を行うための、より信頼性の高い判断材料を提供することができました。 こうした先進的な取り組みを推進する姿勢は、Norsepower社と住友重機械マリンエンジニアリング社(以下、SHI-ME社)との共同研究の基盤となっています。風力推進と航路最適化を組み合わせることで、どの程度排出削減が達成できるのでしょうか?プロジェクトのフェーズ1では貴重な答えが得られました。フェーズ2では、同様に重要なトピックに目を向けています。   第1段階:より明確にするための協力 2022年12月から2023年3月にかけて実施された共同シミュレーション・プロジェクトのフェーズ1では、SHI-ME社のタンカーを対象に、Norsepower Rotor SailTMとNAPA Voyage Optimizationの組み合わせによる燃料消費量削減とCO2量削減の可能性を検証しました。 NAPAが開発したデジタル・ツインにより、Norsepower社およびSHI-ME社から提供された本船とローターセイルのスペック情報と2022年の海気象データを用いて、特定の海域におけるタンカーの航海性能をシミュレーションしました。本船が航行する6航路の結果を見ると、NAPA Voyage OptimizationとNorsepower Rotor SailsTMを併用した場合、平均19%のCO2削減が認められ、NAPA Voyage Optimization単独では約10%のCO2排出量削減に貢献しました。 最も興味深い結果は、ニューヨークとアムステルダムを結ぶ大西洋航路で、Norsepower Rotor SailsTMとNAPAのVoyage Optimizationの組み合わせにより、平均28%のCO2排出量削減を実現しました。また、NAPA Voyage Optimizationの単独では12%のCO2削減に貢献しました。シンガポール-アンゴラ間の航路では、風力推進装置と航路最適化システムとの相乗効果では、排出量を17%削減し、航路最適化が11%貢献しました。 船主や運航会社にとって、この共同研究はとても意義のあるもので、海運業界が脱炭素化のプレッシャーにさらされている今、風力推進技術に投資するビジネスケースをより強化するものになります。風力推進と航路最適化が、今日の海運業界の脱炭素化に不可欠な柱であることはすでに分かっていました。しかし、この研究がもたらしたのは、特定の航路で2つの技術がどのような結果をもたらすかについての正確で詳細なデータです。海運業界にとって、これは自信を持って前進するために必要な重要な洞察と保証を提供するものです。   第2段階:設計と運営のリンク強化 シミュレーションから得られた知見をもとに、設計段階で船舶の性能を予測し、さまざまな海象や気象条件にどのように対応できるかを検証する方法も模索しています。フェーズ1の分析では、最も有利な風条件に遭遇するためには大幅な航路変更が必要であることが示され、プロジェクトのフェーズ2ではこの共同研究がさらに進められることになりました。2023年5月に開始されたこのフェーズ2では、より幅広い船舶の反応と気象条件のデータを開発することで、Norsepower Rotor SailsTMで設計された船舶の性能をさらに高める方法を探っています。 例えば、このプロジェクトでは、船体の横方向の力や動きについてのより高度な分析を行い、運航性能を向上させるための新たな最適化戦略を開発します。通常、船舶は「固定された」設計条件に基づいて設計され、穏やかな海況にシーマージン(天候による予想される平均的な性能損失)を加えたものとなっています。しかし、風力アシスト船の設計は、運航されることになるより強い風条件に適応させる必要があります。したがって、次のステップは、風、波、潮流などの「動的」条件を使用した仮想航海シミュレーションを組み込んで、実際の条件下で期待される船舶の性能を評価することです。さらに、SHI-ME社の船舶設計プロセスでは、すでに多くの船舶設計で使用されている従来の静的波浪計算に加えて、悪天候時の船舶の復原性をより考慮することになります。これには、NAPAから入手したビッグデータを船舶設計プロセスで扱う方法を開発することが含まれます。 NAPAにとって、このプロジェクトは設計プロセスの理解を広げ、航海最適化モデルの洗練度と精度を高めることになります。フェーズ1では、気象ルーティングが明らかに風力推進の画期的な変化になり得ることが明らかになりました。私たちのモデルが船舶設計プロセスに情報を提供するために使用されれば、その価値をさらに高める可能性があると考えています。 私たちのデジタル・ソリューションは、海事分野のあらゆるステークホルダーとの協力関係を強化することを可能にしています。フェーズ2は、船舶運航と船舶設計の間で継続的にフィードバックを行う事で、それをさらに実証することになります。船主にとって、これは単に燃料の節約や炭素原単位指標(CII)規制の格付け向上以上の意味を持ちます。また、新造船の運航性能が向上し、EEDI(エネルギー効率設計指数)などの規制への適合が容易になることも意味します。また、性能が向上すれば、港湾使用料の減免など、さまざまなインセンティブ制度が利用できるようになり、将来的に炭素税が施行された際には、大幅な節約をもたらすことになります。 NAPAの運航シミュレーション技術と、Norsepower社およびSHI-ME社の技術的専門知識を活用したこの共同研究は、すでに設計段階の早い段階で、商業上および運航上の意思決定に重要な知見と確信を与えています。私たちは、このプロジェクトのフェーズ2が、脱炭素化をさらに大きく前進させ、既存の技術を最大限に活用するための船舶の設計・運航方法を業界が改革し、そのビジネスにとって理にかなった方法で、地球にとって必要な変化を実現する手助けになると確信しています。 この共同研究は、私たちが力を合わせ、多様な専門知識を結集することで、関係者全員に良い結果をもたらし、業界全体に付加価値を生み出すことができることを実証するものです。SHI-ME社とNorsepower社とのパートナーシップにおいて、私たちは船舶の設計と運航、ローターセイル技術、ソフトウェアとデータサイエンスにおけるそれぞれの経験を組み合わせました。これは、コラボレーションによって実現できることのほんの一例にすぎません。NAPAでは、船舶の設計、安全、運航の間の点と点を結ぶユニークな立場にあり、同時にITとデータサイエンスの専門知識も持ち合わせています。NAPAは、その専門知識をフルに活用することで、持続可能な海運を支援するこのようなプロジェクトをさらに実現し、人、アイデア、技術を結びつけることでパートナーとともに革新していきます。   本件に関するお問合せ先:

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CIIの実際:積極的に行動することの価値

船舶の運航における脱炭素取組みが、競争力と事業の見通しに影響を与えるCII時代になりました。CIIにおいてはまだ多くの不確定要素が残っていますが、船主や用船者がCIIを適切に管理するために、シミュレーションやデータ分析ツールの形ですでに存在しているという朗報もあります。船主と用船者は、対応が早ければ早いほど、より良い結果に繋がります。 さあ、今から始めましょう。 海運業界の脱炭素化に関する議論の中で、船舶の二酸化炭素排出量削減のメリットは、しばしば新燃料に関する議論に入れ替わってきました。しかし、UMASが発表した最近の報告書 “How can international shipping align with 1.5°C? “で結論づけているように、この10年間に必要とされる排出削減量のほとんどは、エネルギー効率の向上によって実現可能です。言い換えれば、現在および長期的に海運業界の脱炭素化を達成するためには、省エネソリューションと航路最適化が必要不可欠なのです。 近い将来、IMOの燃費実績の格付け制度(CII)が施行されます。環境性能の高い船舶を優遇することを目的とした評価システムに基づき、1年間の航海距離と炭素排出量が、その年の船舶のCII値に加味されます。 船主や用船者にとっては、すでにいくつかの基本的な疑問があることでしょう: 年末にCIIの要件に準拠するよう、船は正しい方向に進んでいるのでしょうか? 本船のCIIに実質的な良い影響を与えるためには、いつ、どのような対策を講じるべきでしょうか? これらの質問に対しての回答を今日見ることで、企業はCIIを管理し、年間を通じて賢明な選択を行い、自社のビジネスに適した方法でコンプライアンスを確保できるようになります。これにより、例えば船舶の競争力に大きな影響を与えるような、年末の数カ月で極端な減速を行うのではなく、長期間にわたって微調整を行うことが可能になります。 CII に対する積極的な取り組みの必要性は明らかです。NAPAでは、シミュレーションツールやデータ解析ツールを使うことで、脱炭素化を実現するための技術的基盤がすでに構築されています。 CIIを実際に機能させるには? CIIの時代は、海運業界の最も永続的なパラダイムのいくつかを変えつつあります。前例のないレベルでの協力関係が求められることで、船主と用船者の関係が再定義されつつあります。 CIIをうまく機能させるためには、船主と用船者がより緊密に協力して、船舶の排出量を削減し、コンプライアンスを確保する必要があります。船主は、CII評価の良し悪しを受ける側になりますが、船舶運航からCIIに良い影響を与えるには間接的な手段しか持たないため、船主からはほとんどコントロールできません。一方、用船者は、BIMCO条項やその他の協定に基づき、船舶をエネルギー効率よく運航する契約上の義務を初めて負う可能性があります。 このコラボレーションを実現するためには、船主と用船者の信頼関係が必要であり、この信頼関係の基盤となるのがデジタルの力です!要するに、両当事者は、船舶のCIIが年間を通じてどのように変化し、それを向上または維持するために何ができるかについて共通の理解を深めることができる、中立的で客観的なプラットフォームを必要としています。そこで、NAPAのシミュレーションツールとデータ解析ツールの出番です。 NAPAはどのように海運業界をサポートしていますか? 船主および用船者と協力し、CIIをプロアクティブに管理するソリューションに対する要望に応えるため、当社はNAPA Fleet Intelligence・プラットフォームの一部であるNAPA CII Simulatorを開発しました。その目的は、船主と用船者が共に最適な運航上の決定を下せるよう、船舶の性能を向上させ、CIIを向上または維持できるよう、信頼性の高い解析と予測を提供することです。 NAPA CII  Simulatorは、船舶のデジタル・ツインと、過去および現在の航路や本船性能に関するデータを使用して、航路毎、または年末や所定の用船期間後など、年間の任意の日付におけるCII評価を予測します。重要なのは、このツールは、天候による航路変更、減速航行、船体洗浄、省エネ装置の設置など、さまざまなエネルギー効率対策や運航プロファイルが、船舶の将来の格付けに与える影響をシミュレートできることです。これにより、船主や用船者は、合意されたCIIの達成に向けて順調に進んでいるかどうかをより明確に把握することができ、また、特定の船舶に対してどのような対策が最も大きな効果をもたらすかについて、極めて重要な洞察を得ることができます。 実際には、船主や用船者は、悪天候に遭遇し非効率な航海をした場合においても、当初のターゲットCII値を達成するためにどのようにリカバリーするのが最適かを検討することができます。また、このツールは、CII改善の伸びしろがどれだけあるかを船毎に解析し、CII値を底上げしたり、的確な船速コントロールを行うことで、船舶運航のビジネスチャンスを最大化することができます。十分な改善の余地がある場合を特定し、CIIの最適化で打撃を受けた効率性の低い、あるいはより高速な航海を伴うビジネスチャンスをつかむのにも役立ちます。 重要なことは、NAPA CII  Simulatorを中立的かつ客観的なプラットフォームとして活用することで、傭船契約上のトラブル防止や解決に役立てることができることです。 なぜ今始めるのでしょうか? CIIの制度はまだ始まったばかりですが、CIIの格付けは船舶の競争力評価に影響を与えると予想され、環境性能が高ければ資産価値にもプラスに働く可能性があるといわれています。こうしたニーズは物流チェーンの両サイドからかかることが予想され、荷主、消費者、ESG*1意識の高い企業が持続可能な海運への実現を要望したり、もう一方では、CIIトップクラスの船舶は、運賃、融資条件、金利の改善、保険料の引き下げといったメリットを享受する可能性があります。 その結果、CII格付けの低い船舶はビジネスや融資の確保に苦戦する可能性があり、一方、CII格付けの高い船舶は競争上優位に立つ可能性が高いです。このことは、特に2023年のデータに基づく船舶に最初のCII格付けが割り当てられる2024年から明らかになるでしょう。そして、サプライチェーンの脱炭素化への圧力が高まるにつれて、その影響は今後数十年にわたって増大することでしょう。 さらに、これからの10年間に船舶運航効率を向上させることの価値は、現在の規制要件を超えて拡大することが予測されます。なぜなら、2020年代に効率を向上させれば、後に新しい燃料を採用するための貴重な意思決定に時間を稼ぐことができ、より効率の良い船舶は、高価な燃料を使用する必要性がより少なくなるからです。 すなわち、効率向上を取り入れるために今、積極的かつ協力的な行動をとる船主や用船者は、自らの短期的・長期的な脱炭素戦略をよりコントロールしやすくなるということです。 先陣を切る企業は、この避けられない変化の最前線に立つことになります。IMOが今年7月のMEPC80でGHG削減戦略の改訂を行い、より厳しい措置を採用するかどうか、海運業界は現在様子見をしていますが、先送りにする理由はありません。どのような結果になろうとも、効率化に積極的に取り組むことは船主や用船者にとって有益です。NAPAでは、業界の目標であるネット・ゼロ・エミッションの達成を加速させることに尽力しており、その道筋は純粋に規制によって定められる必要はないと考えています。 NAPA CIIシミュレーターの発売を発表したプレスリリースの続きを読む。   このブログ記事は、2023年6月5日にオッシ・メッタラによってLinkedInに掲載されたものです。   *1 ESG:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス(企業統治))を考慮した投資活動や経営・事業活動

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NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社の共同研究 円筒帆と航海最適化システムの相乗効果により、約28%のCO2排出量削減効果を検証

NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社は共同研究を実施し、風力推進装置と航海最適化システムを組み合わせることで、約 28% の CO2 排出量削減効果があるということが分かりました。 2023 年 5 月 30 日 –    船舶の設計・運航支援システムの開発および船舶の運航データ分析の専門家であるNAPA、世界有数の造船所である住友重機械マリンエンジニアリング、および風力推進装置のグローバルプロバイダーである Norsepower社は、風力推進装置を搭載した船舶に対して、NAPAの航路最適化システムを適用した場合の、燃料とCO2排出量の削減効果検証に関する共同研究プロジェクトの結果を発表しました。 共同研究の第 1 段階(2022年 12⽉〜2023年 3⽉)では、風力推進装置を搭載したタンカーの北⼤⻄洋航路のシミュレーションにおいて、Norsepower社製の円筒帆 Norsepower Rotor SailTM と航路最適化システム NAPA Voyage Optimization の相乗効果で CO2 排出量を最⼤限抑制することができ、年間平均で約 28% の削減効果が期待できることを確認しました。そのうち NAPA Voyage Optimization 単独によるCO2排出削減効果は、約 12% となりました。 以下の航路図は、ニューヨークからアムステルダムまでの航路と風向風速を示しており、NAPA Voyage Optimization と Norsepower社の円筒帆を搭載した航海シミュレーションでは、英国以北を航行することで最⼤の燃費削減効果が得られました。   以下のローズチャートは、ニューヨークからアムステルダムまでの年間全 24 航海を通して比較した相対風向・風速の傾向を示しており、Norsepower社の円筒帆と NAPA Voyage Optimization を組み合わせたシミュレーションでは、CO2 削減効果がより見込める横風を受ける航路をなるべく選択することで、より⼤きな節約効果を得ていることがわかりました。   今回の共同研究では、NAPAの船舶性能モデリングおよび航海シミュレーション解析技術の知見を活用し、住友重機械マリンエンジニアリングの持つ船舶情報および  Norsepower社から提供された円筒帆の設計情報と2022年の年間海気象データを用いて、対象船の主要6航路における風力推進装置搭載船の環境性能評価を設計段階で行いました。その結果、Norsepower社製の円筒帆を搭載しNAPA Voyage […]

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NAPA、CIIシミュレーターツールの提供開始で、CIIに積極的なアプローチを呼びかけ

NAPAの新しいシミュレーションツールはCII値を予測し、潜在的な効率対策の影響をモデル化することで、チャーターパーティー関係者間の協働と温室効果ガス排出量削減を可能にします。 フィンランド、ヘルシンキ – 2023年3月21日: 世界的な海事ソフトウェアおよびデータサービスプロバイダーであるNAPAは、海運業界に対し、IMOの燃費実績の格付け制度(Carbon Intensity Indicator: CII)に積極的に取り組み、用船者と船主がコンプライアンスに向けて協力して温室効果ガス排出量を削減できるようにするデジタルプラットフォームを最大限に活用するよう促しています。 NAPAは米国スタンフォードで開催されたCMA Shippingにおいて、NAPA Fleet Intelligence プラットフォームの機能である CII Simulator を発表しました。この新しいツールは、船舶のデジタルツインを、過去および現在の航路および性能に関するデータとともに使用して、年度末や特定の用船期間後など、あらゆる航路または年間の任意の日付のCII評価を予測します。 NAPA CII Simulatorは、天候に左右される航路や減速航行など、さまざまなエネルギー効率対策や運航プロファイルが船舶のCII等級に与える影響をシミュレートできることが大きな特徴です。また、省エネ装置の設置や船体洗浄の効果もモデル化できるため、特定の船舶に対してどのような対策が最も効果的であるかをより明確にすることができます。 NAPA Shipping Solutions Executive Vice President, Pekka Pakkanenは、海運業界が協働してCIIの新しい枠組みを進める上で、このデジタルツールが重要な役割を果たすと主張しました。新しい規制は新しい働き方を求め、デジタルソリューションはすべての関係者を同じ方向に導くのに必要な客観的洞察を提供します。CIIを成功させるには、特に船主と用船者の間の協力が必要です。 この協働を実際に実現するには、船舶のCII値が年間を通じてどのように変化し、それに対して何ができるかについての相互理解を深めることができる共通のプラットフォームが必要です。そこで、当社のNAPA CII Simulatorを用いて信頼性の高い分析と予測を提供し、船舶の性能を向上させ、CII値を向上または維持するために可能な限り最適な運用上の意思決定を支援します。 NAPAが船主および用船者と共同で開発した新しいCII Simulatorは、傭船契約におけるCII条項の対応を支援する重要なツールとなります。このツールは、船舶の性能の背景にある原因について信頼性の高い分析を提供することで、係争を回避し、契約上の義務を確実に満たすのに役立ちます。NAPA CII Simulatorは、船主と用船者の双方から歓迎されており、プロジェクトの初期のパートナーはすでに積極的に活用しています。 NAPA Shipping Solutions Sales Manager, Ossi Mettäläは、この新開発について次のようにコメントしています。 この新しい機能は、CIIの遵守に向けた明確な道筋を示し、すべての船舶のパフォーマンスについて、必要な事実に基づいた情報を提供するものです。NAPA CII Simulatorは、船主と用船者の間で新たに発見されたCII対策の共有責任を認識し、関係者がより自信を持って持続可能性、商業、効率に焦点を当てた意思決定を行うことができる中立的なプラットフォームとして機能します。これにより、CIIの遵守だけでなく、より広範な脱炭素化に向けて、積極的かつ迅速なアプローチを取ることができます。 CIIはまだ始まったばかりですが、地球にとって本当に良い影響を与えるためには、海運業界がその働き方を大きく変えなければならないことは明らかです。NAPAでは、NAPA CII Simulatorの機能の提供開始により、業界が商業的に実行可能な意思決定を継続しながら排出量を削減できるよう支援しています。 *** NAPAについて 30年以上の歴史を持つ、船舶設計と運航のためのソフトウェアおよびデータサービスのリーディングプロバイダーであり、安全で持続可能、かつ将来性のある海運を可能にします。フィンランドに本社を置くNAPAは、造船工学、海運、デジタルサービスの専門知識を兼ね備えた200名のエキスパートを擁しています。NAPAは、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドに拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。 新造船の90%以上がNAPAの顧客によって建造されており、NAPAの船舶設計ソフトウェアは、造船における世界的な業界標準となっています。さらに、NAPAは客船の復原性管理と安全データサービスのマーケットリーダーであり、船舶の性能監視と航海の最適化のためのクラウドベースのソリューションは、海運の脱炭素化の旅をサポートしています。

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