Tag: Sustainable shipping
船舶運航性能向上のための5つの行動
世界海洋フォーラムにおける最新の運航性能に関する目標宣言では、NAPAも署名者となり、海運業界が今すぐ行動を実施することで温室効果ガス(GHG)排出の実質的削減に向けた5つの主要な分野を明確に示しています。これは、私たちが考えを変え、すでに利用可能なテクノロジーを最大限に活用することで、脱炭素化において進展の多くが低リスクで高リターンと高インパクトで実現可能であることを強く示唆するものです。 この目標宣言の署名者たちから送られる最も強力なシグナルの一つは、海運の脱炭素化に対する即時行動の必要性であり、それはまさに手の届く範囲にあるということです。業界の規制当局、投資家、エンドユーザー、そして一般の社会も含め、すべてがこの十年に温室効果ガスの排出を大幅に削減することを求めています。重要な点は、削減のための解決策は「既に存在している」ということです。運航効率を最適化することで、年間の燃料コストを20%削減し、年間のCO2排出を200百万トン以上削減できる可能性があると、世界海洋フォーラム(GMF)が発表した一連の内部書簡で報告しています。 つまり、GHG排出量を削減することは、海運業界のみがすべきことではなく、船舶のビジネス上でも実行が可能でもあるということです。したがって効率性確保に向けた投資は当然の選択です。 しかし、まずどこから始めるべきか?という疑問が立ちはだかります。しかし、新たに出された目標宣言では、業界が今、運航性能を急速に向上させてGHG排出を削減するための5つの具体的焦点となる領域を示しています。今回の宣言に署名した30名は、これらの領域で一丸となって行動に移すことに合意しています。 ただ注視すべきことは、これらの行動の大部分は、新エンジンや代替燃料への高額な資本投資や複雑な規制変更などの努力が不要な、手間のかからないものだということです。GMFが示唆する行動とは、協力、より可視化されたリーダーシップの確立、そして新たな意識改革の必要性にスポットライトを当てています。また成功に向けて、新たな解決策、契約上の枠組み形成、そして働き方などを共同で受け入れる必要があります。 実際にどのように可視化するべきでしょうか?最新の運航性能に関する宣言で明らかにされた5つの行動の機会を、実際の例と共に詳しく見てみましょう。 1. データ収集と透明性 これらの宣言では、船舶と航海を最適化するためにデータをより多く活用し、革新的な技術の普及を支援するために必要とされる「透明性と信頼性」の確保を求めています。 具体的な例としては、Norsepowerと住友重機工業との最近の共同研究があります。この研究では、風力推進システムとNAPA Voyage Optimizationの相乗効果で、最大でGHG排出を28%削減出来るだけでなく、これらのソリューションへの投資ビジネスの機会を強化できることが明確になりました。 同じく、船上データの収集、統合、および分析を向上させる巨大な潜在能力がある別の分野があります。これにより、企業は燃料最適化の枠を超えて、日常業務とエネルギー使用の最適化へ向けて包括的に取り組み、業務を効率化することができます。NAPA Logbookを導入することで、規制の遵守とESG報告に向け、実際に船長が検証を行った信頼性できるデータソースを提供し、同時にGHG排出から廃棄物管理や海上安全などのあらゆる側面の最適化に、新たに取り組むことができるのです。(詳しくはこちらの英文記事をご覧ください。) 2. 契約変更 署名者たちは、「sail fast, then wait(速く航走し、沖待ちする)」の防止に取り組み、排出を指数関数的に増加させる「分割的インセンティブ」の問題に対処するための傭船契約をより近代化させようとしています。宣言は、運航性能における体系的な改善による利益を全てのステークホルダー、つまり船主、傭船者、また荷主、貨物受入業者が皆で共有できるように契約を再検討する重要な道筋となることを強調しています。 より顕著な例としては、NAPAがコーディネートするBlue Visbyソリューションがあります。このソリューションにより、革新的な契約上の枠組形成と最新のデジタル技術を組み合わせ、同じ港に向かう船団の到着を最適化し、(これまでに蓄積された)15万回の航海データを使用して、海運全体のCO2排出を約15%削減できると推定されています。NAPAの主要な優先課題は、この新しい枠組形成を実現するための技術プラットフォーム開発を支援し続けることなのです。 3. パイロットプロジェクト 宣言は、運航効率の施策の実用的な影響について業界が学ぶのを助けるパイロットプロジェクトの重要性を強調しています。パイロットプロジェクトは最善の方法を特定する機会であり、克服すべき障害も明らかにできるため、これらの実務的な知識は広く共有されるべきです。 業界全体では、バッテリー、風力推進、炭素捕捉システム、新しいエンジンや燃料など、さまざまな技術の実証が行われています。これらはかなり野心的な取り組みですが、決して飛躍的なものではないはずです。最新のデータ解析、デジタルツイン、モデリングツールを行える現代の業界の先駆けとなる取り組みにおいては、異なるオプションを仮想的にテストし、船舶の安全性、船舶性能、運航への影響をモデル化し、さらにパイロット運航による作業が始まる前に明確性と確実性を提供できます。 NAPAは、船舶の「デジタルツイン」を使用してこれを実現します。これは、船の設計に使用された3Dモデルで、その独自の構造と特性に関するデータを含んでいます。これにより、技術的実現可能性の側面、設計と復原性などを検証するだけでなく、燃料使用、航路選定、GHG排出などを含む運航への影響の完全な全体像を提供し、費用対効果のある方法で実行できます。 4. 港湾、ターミナル、バリューチェーン これは、サプライ・チェーン全体でより効率性を確保するために包括的なアプローチと協力が必要であることを強調しています。デジタル化、到着の順序付け、想定される到着と荷役完了通知の利用は、海上だけでなく船の旅の「最初と最後のマイル」での最適化を促進できます。 システム全体を最適化することは、船の燃料消費とGHG排出を減らす上で重要であり、最終的に供給チェーンをできるだけ効率的かつ環境に優しいものにすることができます。これは、脱炭素化の進展の基盤となるもう1つの分野です。 5. 文化とリーダーシップ これは、業務効率化のための行動において、大変重要な要素です。慣行と契約上の枠組みの変更を実施するためには、取締役会から船員まで、企業内のあらゆるレベルでの意識改革が必要です。宣言が強調するように、変革管理と教育は脱炭素化へ移行にとって必要不可欠です。実際に、海運業界における脱炭素化への取り組みの重要な促進要因は、包括的なトレーニングであり、技術だけでは不十分です。私たちは船員が新しいシステムを安全に操作するための正しい知識とスキルを持てるようにする必要があると考えます。NAPAは、海運業界向けの訓練機関と直接協力し、高度な技術開発に向け支援をしています。 例えば、私たちはRoyal Caribbean Group、CSMART、SIMWAVEと提携し、重要な安定性訓練をより身近で便利なものにしています。このトレーニングは、船上で講習とeラーニングコースで提供され、船員が今日の急速に進化する技術環境の中で必要な知識を得るための柔軟で便利な選択肢を提供します。 私たちは皆一緒です これらの行動分野はすべて、脱炭素化への道筋において海運業界でどれだけのことを達成できるかを示しており、海運業が自信を持って移行に乗り出すためのツールキットには多くの選択肢があることも示しています。しかし、その課題の多くは、創造的に思考し、既存の前提や枠組みを見直し、今ここでネット・ゼロを実際に事業として機能させるビジネスモデルを構築することです。 これはまた、持続可能性な航海における基本的な真理を思い起こさせるものでもあります。 業務効率化に関するGMF目標宣言の全文は、こちらをクリックしてください。
Read Article10月 30, 2023
NAPA、BlueVisby コンソーシアムへの日本政策投資銀行の加盟を歓迎 ~金融機関としては初の加盟~
ヘルシンキ(フィンランド)-海事ソフトウェアとデータサービスの開発におけるプロバイダーであるNAPAは、日本政策投資銀行が、Blue Visby主催のコンソーシアムに加わったことを歓迎する、と発表いたしました。Blue Visbyは、早く航走して沖待ちするという「Sail Fast,then Wait」(SFTW)の是正に取り組むことで、海運の温室効果ガス排出量を削減することを目的とした業界横断プロジェクトです。 Blue Visbyは、革新的な契約上の枠組みと最先端かつ透明性の高いデジタル技術を組み合わせることで、同じ港に向かう船団の到着時間を最適化し、船舶ビジネス上の優位性を失うことなく、航海速度の適正化と排出量の削減を可能にします。日本政策投資銀行は当コンソーシアムに参加することで、資金調達のノウハウやアドバイスを提供し、当システムの開発支援にあたります。 NAPAのデジタル技術に裏打ちされたBlue Visbyプラットフォームは、世界の船隊への導入に向け、技術面で急成長を遂げています。2023年8月、丸紅とBlue Visby社は、68隻のガス・ケミカルタンカーを対象に625の航海を検証した結果、平均15%のCO2削減効果があることがわかり、実際のプロトタイプ開発に進む合意に至りました。 一方、Blue Visbyコンソーシアムのメンバー数は、2022年7月にプロジェクトが正式に発足して以来、当初の13名から現在では31名と、2倍以上に増加しています。NAPAと法律事務所Stephenson Harwoodがコーディネートを行う当プロジェクトは、BIMCO、Baltic Exchange、UK Hydrographic Office、商船三井および丸紅、穀物輸出会社のCBH、英国のP&I保険会社のThomas Miller、Newcastle港、 New South Wales港湾局がすでに参加しており、また船級協会としては、日本海事協会やBureau Veritas、さらに環境団体や学術機関など、海事産業の主要な利害関係者まで幅広く参加しています。 NAPAのShipping Solutionsを担当する、 EVPである Pekka Pakkanenは、次のように述べています。「Blue Visbyがこの数ヶ月で大きく成長したことを大変誇りに思います。この革新的なソリューションをより多くの海運部門に提供するため、より多くのプロトタイプを含む次なるステップを楽しみにしています。また、加えて、 Blue Visbyの成功は、海運業界のさまざまなステークホルダーが積極的に協力し、脱炭素化への移行に伴うリスクと利益の一部を共有することに合意した場合に、海運業にとって何を達成できるかを具体的に示しています。また、こうした革新的な枠組みを実現するために、デジタル技術がより主軸を担う役割を果たすことも示すものです。脱炭素化の進展を阻む最大の非効率のひとつである “Sail fast then wait”(速く航走して、沖待ち) “の防止に取り組むことで、今日の海運業界の温室効果ガス排出量に大きな変化をもたらすことができます。」 本件に関するお問い合わせ先 :
Read Article10月 17, 2023
船舶到着時間の最適化で排出削減
日本・東京ー2023年9月1日 –海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)にて、デジタル技術活用で船舶CO2削減を目指す統合システム「Blue Visby Solution」の開発に取り組むブルー・ヴィスビーコンソーシアムに、日本政策投資銀行(DBJ)が参画したことについて掲載されました。ぜひご覧ください。 船舶到着時間の最適化で排出削減 政投銀、「ブルー・ヴィスビー」加盟、金融初 日本政策投資銀行(DBJ)はデジタル技術を活用して船舶の目的地到着時間を最適化する統合プラットフォーム「Blue Visby Solution」の開発を目指すコンソーシアムに加盟した。8月31日に発表した。このコンソーシアムに金融機関が加盟するのは初。「海事クラスターの構成員と広く関わりがある金融機関のわれわれは結節点になり得る」(山口祐一郎・企業金融第4部課長)とし、関係者に広く参画を呼び掛けるとともに、ファイナンスに関するノウハウの提供・助言を通じてプラットフォームの開発を支援する。 昨年発足し、このほど政投銀が加盟した「ブルー・ヴィスビー・コンソーシアム(Blue Visby Consortium)」は、船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを統合し、同じ港を目指す船舶群の到着時間の最適化・分散を行うことで、船舶から排出される温室効果ガス(GHG)の削減を目指している。日本海事協会(NK)の子会社で船舶の設計・運航支援システムを提供するNAPA社と国際弁護士事務所のスティーブンソン・ハーウッドが共同で運営。世界各地から27の機関が加盟し、プラットフォーム開発に向けて活動している。 日本企業ではこれまでにNK、商船三井、丸紅が参加。このほか、資源メジャーのアングロアメリカン、海運会社からはCMB、タンカーズ・インターナショナル、ダイアナ・シッピング、トーム、ティーケイ、ウルトラバルク、船舶管理のシナジー・グループや、船級協会、港湾、BIMCO(ボルチック国際海運協議会)やボルチック・エクスチェンジなどが加盟している。 海運業界では、速く航海して目的地の近くで沖待ちをする船舶の運航方法「Sail Fast Then Wait」が慣習となっており、沖待ちと高速運航により、結果的に不必要なGHGの排出につながっているとされる。世界の船舶からの二酸化炭素(CO2)排出量のうち2割はこの「Sail Fast Then Wait」に起因するとの見方がある。その解決を目指してプラットフォーム開発を進めているのがこのコンソーシアムだ。 同コンソーシアムが検証した結果、構築するシステムを利用すると個船ベースでCO2を15〜20%削減できるといい、開発中のシステムを用いたシミュレーションでは、1航海当たり16%の排出削減効果が見込まれたという。 海運の低・脱炭素に向けて燃料転換は有効な手段となるが、新燃料船の建造に向けた技術開発のみならず、新燃料を海運業界向けに確保する供給網づくりが不可欠であるなど、取組課題は少なくない。これを進めていくとともに、政投銀は「(海運の低・脱炭素に向けて)船の世界の中でできることがまだまだある」(山口氏、以下同じ)との認識を示す。具体的には、船型開発や改造、省エネ付加物の設置など船そのものの燃費効率改善と、船舶の運航の工夫による効率改善を挙げる。このうち、運航効率改善について、「気象情報などを用いた運航改善など各社が単独でできることと、関係者が皆で取り組むことの2つがあり、コンソーシアムの取り組みはこのうち後者に当たる」。 同コンソーシアムのシステムは広く関係者が参集するほど全体として効果が高まることから、政投銀は他の金融機関への働きかけや、公的な立場を生かして港湾などへの働きかけもしていく考えだ。 コンソーシアムでは現在、各社が要素技術の開発を進めており、今年中にパイロットプロジェクトを立ち上げることを目標とする。その後に社会実装を目指す。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2023/09/178001/ PDF:船舶到着時間の最適化で排出削減政投銀、「ブルー・ヴィスビー」加盟、金融初 _ 海運<経営・全般> _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/ 関連リンク 日本政策投資銀行(DBJ) URL :https://www.dbj.jp/ 関連記事 NAPAのデジタル技術を活用し、”Sail Fast, then Wait”(速く航走して、沖待ち)を防ぎ、海運のCO2排出量を削減する新たな協業を推進 デジタル技術活用で船舶CO2削減 丸紅、NAPAらのコンソーシアム参画
Read Article9月 1, 2023
MEPC80開催後、環境対策の具体的立案が本格化する見通し
海運業界の脱炭素化に関するIMOの歴史的合意の全結果は、業界が次に何を決断するかによって決まります。多くの人々が期待していたほど断定的なものではありませんでしたが、新戦略の立案強化は早急な行動を求めており、すでに多くのことが施策可能です。 完全ではないかもしれませんが、IMOの温室効果ガス(GHG)排出に関する戦略の改訂は、海運業界が長い間求めていたもの、すなわち、この10年と次の10年にどのような脱炭素化の進展が期待されるかについて、より具体的な対策の立案を求めるものとなりました。2050年に向けたネットゼロの達成に加え、国際海運からの温室効果ガス総排出量を2008年比で「2030年までに20%、30%削減」、「2040年までに70%、80%削減」を目指すという指標は、今後ますます注目されることになるでしょう。 これらの目標は、私たちが期待したほど意欲的なものでしょうか?答えはノーです。多くのオブザーバー、環境保護団体、そして一部のIMO代表自身も、曖昧な表現と拘束力のない温室効果ガス削減目標に失望しました。UMASの分析によれば、最も重大なことは、今世紀末までに地球温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標に海運業界の指標を合わせることができなかったことです。 力強いメッセージ:変革はすぐそこまで来ている しかし、楽観的な見方もできます。MEPC80は一連の重要なシグナルを海運業界に送りました。まず、目標のレベルが大幅に強化されました。切望されていたネット・ゼロ・エミッションの目標が、「2050年頃までにGHG排出ゼロ」とIMOの175加盟国によって正式に採択されました。つまり、今世紀半ばまでに海運の完全な脱炭素化を実現しなければならないという方向性が示されたのです。 第二に、義務ではありませんが、2030年と2040年の中間目標の採択は、海運部門からの温室効果ガス排出を削減するために、この10年間に実行可能で具体的かつ測定可能な行動に重点を置く必要性明確に示しています。「新しい燃料が利用できるようになるのをじっと待つ」というアプローチは、もはや通用しません。結局のところ、2030年まであと6年半しかないのです。 目標が設定された以上、それを実際にどのように達成するかに焦点を当てなければなりません。この戦略では、どのように変化を促していくのか、まだ概要が示されていません。次回のMEPC会合では、提案されている燃料基準と炭素価格算定案についての議論が行われます。 しかし、これらを何もせずに待つ必要はありません。自らの排出量を管理し、船隊や事業にとって理にかなった方法でネット・ゼロへの道筋を描くために、海運業界としてできることはたくさんあります。海運業界全体では先駆者たちがすでに排出削減への移行を開始しており、その経験から、企業にとって移行計画を早く開始すればするほど有利になることが分かっています。 実践的な前進 しかし、何から始めるべきでしょうか?それは、海運業界がすでに手にしている3つの資産、すなわち代替推進力とエネルギー効率化技術、包括的な船舶と船隊の運航データ、そして共同プロジェクトを最大限に活用することです。 アクション1 温室効果ガス排出量を少なくとも20%削減し、この10年で30%削減するというIMOの目標を達成するためには、海運業界は、現在すでに二酸化炭素排出量を削減できる既存の技術を最大限に活用する必要があります。実際、ゼロ・カーボン燃料は、少なくともあと10年は意味のある規模では利用できません。代わりに、航路最適化や気象ルーティング・ソリューションなどの運航対策と並んで、風力補助推進や空気潤滑などの代替推進技術やエネルギー効率化技術によって進歩を達成することになるでしょう。コンサルティング会社のマッキンゼーによると、この10年間で海運の脱炭素化の進捗の約80%が効率化対策によって成し遂げられ、2050年までには約3分の1が効率化対策によって達成されるでしょう。 アクション2 船舶のデータを活用して効率を高める – 「If you can’t measure it you can’t manage it. 測定なくして管理なし」という言葉があるように、船舶のデータを活用しましょう。あらゆる船舶からのGHG排出量を削減するための重要な出発点は、データを測定することです。データは単に規制報告のために記録されるだけでなく、その結果をベンチマークし、改善する機会でもあります。船上で収集される豊富なデータは、新たな運航効率を引き出し、航海を最適化し、安全性を高め、GHG排出量とともに燃料消費量を削減するのに役立つ洞察の宝庫に変えることができます。しかし、このようなチャンスをつかむためには、企業はデータを収集、統合、分析する体系的な方法を導入する必要があります。例えば、電子航海日誌は簡単に導入できるターンキー・ソリューションであり、データを一箇所でアクセスできるようにし、そこで実用的な洞察を生み出すことができます。言い換えれば、船舶のデータを最大限に活用することで、企業は自社の船隊を十分に理解し、脱炭素化への移行を通じて最善の意思決定を行うための適切な基盤を築くことができるのです。 アクション3 協働プロジェクトから学び、経験する – この大変革の時代を迎えるにあたり、私たちは協働プロジェクトを最大限に活用し、互いの経験から学び、多様な専門知識を組み合わせて、企業にとって実際に有効な方法でイノベーションを起こすべきです。知識を構築・共有し、新たな契約の枠組みを作り、さらにはクリーン・テクノロジーを組み合わせて最大の効果を生み出すために、もっと多くのことができるはずです。例えば、 Norsepower社および住友商事社との最近のパートナーシップは、風力推進とウェザールーティングを組み合わせることで、どちらか一方の技術だけよりもはるかに大きな排出削減を達成できました。効果的な協力は、すべてのパートナーが成果を向上させ、明確性を獲得し、これからの重要な転換期に向けて資産を将来に備えることができるWin-Winの状況です。 ゼロへの複数の推進力 また、海運の脱炭素化はIMOだけが推進するものではないことを忘れてはなりません。規制面では、船主が短期・中期的に達成しなければならない排出削減目標は、この最新のGHG戦略の目標だけとは言い難いです。例えば、EU ETSやHELCOMも、近い将来、海運からの排出削減を課すことになるでしょう。 さらに、投資家、金融機関、保険会社、荷主など、海運業界の主要な利害関係者からも圧力がかかることが予想されます。社会の期待が変化するにつれて、資本注入の際に環境・社会・ガバナン ス(ESG)基準がますます厳しくなり、企業は資金を確保するために気候変動対策を実証する必要があります。要するに、良いビジネスをすることと良いことをすることは両立するのです。 しかし、大きな課題から目を逸らしてはなりません。大気中に放出されない炭素は1トン単位で重要であり、パリ協定の目標である1.5度に1度でも近づくことで、地球はより住みやすくなります。 MEPC80は、海運業界は変わる必要があること、それは今すぐ始めなければならないという明確なメッセージを送りました。私たちはすでに、どこから対策を始めるべきかを知っています。歴史が私たちを評価するのは、新たな目標に合意する能力だけでなく、これらの意欲を行動と結果に結びつけるために私たちが取る行動にかかっています。
Read Article8月 22, 2023
航路最適化で風力推進を次のレベルへ
NAPA、Norsepower、住友重機械マリンエンジニアリングの共同シミュレーション・プロジェクトは、風力推進装置と航路最適化システムを組み合わせることでどれだけCO2が削減できるかといった効果検証を行いました。これまでの結果は非常に素晴らしく、この技術によって平均28%の排気ガス削減が可能であることが確認されました。プロジェクトのフェーズ2では、より精緻なシュミレーションが可能になるだけでなく、船舶設計プロセスにおける運航データの利活用を促進し、よりスマートで環境に優しい船舶の設計プロセスの構築を目指しています。 本取組は、昨今の海運業界の脱炭素化の流れにさまざまな良い影響をもたらします。規制が厳格化され、新たなソリューションが市場に投入される中、海運業界全体が協力することでこうした変化にスムーズに対応することができ、船の設計から運航までのライフサイクル全体において、重要な意思決定を行うための、より信頼性の高い判断材料を提供することができました。 こうした先進的な取り組みを推進する姿勢は、Norsepower社と住友重機械マリンエンジニアリング社(以下、SHI-ME社)との共同研究の基盤となっています。風力推進と航路最適化を組み合わせることで、どの程度排出削減が達成できるのでしょうか?プロジェクトのフェーズ1では貴重な答えが得られました。フェーズ2では、同様に重要なトピックに目を向けています。 第1段階:より明確にするための協力 2022年12月から2023年3月にかけて実施された共同シミュレーション・プロジェクトのフェーズ1では、SHI-ME社のタンカーを対象に、Norsepower Rotor SailTMとNAPA Voyage Optimizationの組み合わせによる燃料消費量削減とCO2量削減の可能性を検証しました。 NAPAが開発したデジタル・ツインにより、Norsepower社およびSHI-ME社から提供された本船とローターセイルのスペック情報と2022年の海気象データを用いて、特定の海域におけるタンカーの航海性能をシミュレーションしました。本船が航行する6航路の結果を見ると、NAPA Voyage OptimizationとNorsepower Rotor SailsTMを併用した場合、平均19%のCO2削減が認められ、NAPA Voyage Optimization単独では約10%のCO2排出量削減に貢献しました。 最も興味深い結果は、ニューヨークとアムステルダムを結ぶ大西洋航路で、Norsepower Rotor SailsTMとNAPAのVoyage Optimizationの組み合わせにより、平均28%のCO2排出量削減を実現しました。また、NAPA Voyage Optimizationの単独では12%のCO2削減に貢献しました。シンガポール-アンゴラ間の航路では、風力推進装置と航路最適化システムとの相乗効果では、排出量を17%削減し、航路最適化が11%貢献しました。 船主や運航会社にとって、この共同研究はとても意義のあるもので、海運業界が脱炭素化のプレッシャーにさらされている今、風力推進技術に投資するビジネスケースをより強化するものになります。風力推進と航路最適化が、今日の海運業界の脱炭素化に不可欠な柱であることはすでに分かっていました。しかし、この研究がもたらしたのは、特定の航路で2つの技術がどのような結果をもたらすかについての正確で詳細なデータです。海運業界にとって、これは自信を持って前進するために必要な重要な洞察と保証を提供するものです。 第2段階:設計と運営のリンク強化 シミュレーションから得られた知見をもとに、設計段階で船舶の性能を予測し、さまざまな海象や気象条件にどのように対応できるかを検証する方法も模索しています。フェーズ1の分析では、最も有利な風条件に遭遇するためには大幅な航路変更が必要であることが示され、プロジェクトのフェーズ2ではこの共同研究がさらに進められることになりました。2023年5月に開始されたこのフェーズ2では、より幅広い船舶の反応と気象条件のデータを開発することで、Norsepower Rotor SailsTMで設計された船舶の性能をさらに高める方法を探っています。 例えば、このプロジェクトでは、船体の横方向の力や動きについてのより高度な分析を行い、運航性能を向上させるための新たな最適化戦略を開発します。通常、船舶は「固定された」設計条件に基づいて設計され、穏やかな海況にシーマージン(天候による予想される平均的な性能損失)を加えたものとなっています。しかし、風力アシスト船の設計は、運航されることになるより強い風条件に適応させる必要があります。したがって、次のステップは、風、波、潮流などの「動的」条件を使用した仮想航海シミュレーションを組み込んで、実際の条件下で期待される船舶の性能を評価することです。さらに、SHI-ME社の船舶設計プロセスでは、すでに多くの船舶設計で使用されている従来の静的波浪計算に加えて、悪天候時の船舶の復原性をより考慮することになります。これには、NAPAから入手したビッグデータを船舶設計プロセスで扱う方法を開発することが含まれます。 NAPAにとって、このプロジェクトは設計プロセスの理解を広げ、航海最適化モデルの洗練度と精度を高めることになります。フェーズ1では、気象ルーティングが明らかに風力推進の画期的な変化になり得ることが明らかになりました。私たちのモデルが船舶設計プロセスに情報を提供するために使用されれば、その価値をさらに高める可能性があると考えています。 私たちのデジタル・ソリューションは、海事分野のあらゆるステークホルダーとの協力関係を強化することを可能にしています。フェーズ2は、船舶運航と船舶設計の間で継続的にフィードバックを行う事で、それをさらに実証することになります。船主にとって、これは単に燃料の節約や炭素原単位指標(CII)規制の格付け向上以上の意味を持ちます。また、新造船の運航性能が向上し、EEDI(エネルギー効率設計指数)などの規制への適合が容易になることも意味します。また、性能が向上すれば、港湾使用料の減免など、さまざまなインセンティブ制度が利用できるようになり、将来的に炭素税が施行された際には、大幅な節約をもたらすことになります。 NAPAの運航シミュレーション技術と、Norsepower社およびSHI-ME社の技術的専門知識を活用したこの共同研究は、すでに設計段階の早い段階で、商業上および運航上の意思決定に重要な知見と確信を与えています。私たちは、このプロジェクトのフェーズ2が、脱炭素化をさらに大きく前進させ、既存の技術を最大限に活用するための船舶の設計・運航方法を業界が改革し、そのビジネスにとって理にかなった方法で、地球にとって必要な変化を実現する手助けになると確信しています。 この共同研究は、私たちが力を合わせ、多様な専門知識を結集することで、関係者全員に良い結果をもたらし、業界全体に付加価値を生み出すことができることを実証するものです。SHI-ME社とNorsepower社とのパートナーシップにおいて、私たちは船舶の設計と運航、ローターセイル技術、ソフトウェアとデータサイエンスにおけるそれぞれの経験を組み合わせました。これは、コラボレーションによって実現できることのほんの一例にすぎません。NAPAでは、船舶の設計、安全、運航の間の点と点を結ぶユニークな立場にあり、同時にITとデータサイエンスの専門知識も持ち合わせています。NAPAは、その専門知識をフルに活用することで、持続可能な海運を支援するこのようなプロジェクトをさらに実現し、人、アイデア、技術を結びつけることでパートナーとともに革新していきます。 本件に関するお問合せ先:
Read Article8月 4, 2023
CIIの実際:積極的に行動することの価値
船舶の運航における脱炭素取組みが、競争力と事業の見通しに影響を与えるCII時代になりました。CIIにおいてはまだ多くの不確定要素が残っていますが、船主や用船者がCIIを適切に管理するために、シミュレーションやデータ分析ツールの形ですでに存在しているという朗報もあります。船主と用船者は、対応が早ければ早いほど、より良い結果に繋がります。 さあ、今から始めましょう。 海運業界の脱炭素化に関する議論の中で、船舶の二酸化炭素排出量削減のメリットは、しばしば新燃料に関する議論に入れ替わってきました。しかし、UMASが発表した最近の報告書 “How can international shipping align with 1.5°C? “で結論づけているように、この10年間に必要とされる排出削減量のほとんどは、エネルギー効率の向上によって実現可能です。言い換えれば、現在および長期的に海運業界の脱炭素化を達成するためには、省エネソリューションと航路最適化が必要不可欠なのです。 近い将来、IMOの燃費実績の格付け制度(CII)が施行されます。環境性能の高い船舶を優遇することを目的とした評価システムに基づき、1年間の航海距離と炭素排出量が、その年の船舶のCII値に加味されます。 船主や用船者にとっては、すでにいくつかの基本的な疑問があることでしょう: 年末にCIIの要件に準拠するよう、船は正しい方向に進んでいるのでしょうか? 本船のCIIに実質的な良い影響を与えるためには、いつ、どのような対策を講じるべきでしょうか? これらの質問に対しての回答を今日見ることで、企業はCIIを管理し、年間を通じて賢明な選択を行い、自社のビジネスに適した方法でコンプライアンスを確保できるようになります。これにより、例えば船舶の競争力に大きな影響を与えるような、年末の数カ月で極端な減速を行うのではなく、長期間にわたって微調整を行うことが可能になります。 CII に対する積極的な取り組みの必要性は明らかです。NAPAでは、シミュレーションツールやデータ解析ツールを使うことで、脱炭素化を実現するための技術的基盤がすでに構築されています。 CIIを実際に機能させるには? CIIの時代は、海運業界の最も永続的なパラダイムのいくつかを変えつつあります。前例のないレベルでの協力関係が求められることで、船主と用船者の関係が再定義されつつあります。 CIIをうまく機能させるためには、船主と用船者がより緊密に協力して、船舶の排出量を削減し、コンプライアンスを確保する必要があります。船主は、CII評価の良し悪しを受ける側になりますが、船舶運航からCIIに良い影響を与えるには間接的な手段しか持たないため、船主からはほとんどコントロールできません。一方、用船者は、BIMCO条項やその他の協定に基づき、船舶をエネルギー効率よく運航する契約上の義務を初めて負う可能性があります。 このコラボレーションを実現するためには、船主と用船者の信頼関係が必要であり、この信頼関係の基盤となるのがデジタルの力です!要するに、両当事者は、船舶のCIIが年間を通じてどのように変化し、それを向上または維持するために何ができるかについて共通の理解を深めることができる、中立的で客観的なプラットフォームを必要としています。そこで、NAPAのシミュレーションツールとデータ解析ツールの出番です。 NAPAはどのように海運業界をサポートしていますか? 船主および用船者と協力し、CIIをプロアクティブに管理するソリューションに対する要望に応えるため、当社はNAPA Fleet Intelligence・プラットフォームの一部であるNAPA CII Simulatorを開発しました。その目的は、船主と用船者が共に最適な運航上の決定を下せるよう、船舶の性能を向上させ、CIIを向上または維持できるよう、信頼性の高い解析と予測を提供することです。 NAPA CII Simulatorは、船舶のデジタル・ツインと、過去および現在の航路や本船性能に関するデータを使用して、航路毎、または年末や所定の用船期間後など、年間の任意の日付におけるCII評価を予測します。重要なのは、このツールは、天候による航路変更、減速航行、船体洗浄、省エネ装置の設置など、さまざまなエネルギー効率対策や運航プロファイルが、船舶の将来の格付けに与える影響をシミュレートできることです。これにより、船主や用船者は、合意されたCIIの達成に向けて順調に進んでいるかどうかをより明確に把握することができ、また、特定の船舶に対してどのような対策が最も大きな効果をもたらすかについて、極めて重要な洞察を得ることができます。 実際には、船主や用船者は、悪天候に遭遇し非効率な航海をした場合においても、当初のターゲットCII値を達成するためにどのようにリカバリーするのが最適かを検討することができます。また、このツールは、CII改善の伸びしろがどれだけあるかを船毎に解析し、CII値を底上げしたり、的確な船速コントロールを行うことで、船舶運航のビジネスチャンスを最大化することができます。十分な改善の余地がある場合を特定し、CIIの最適化で打撃を受けた効率性の低い、あるいはより高速な航海を伴うビジネスチャンスをつかむのにも役立ちます。 重要なことは、NAPA CII Simulatorを中立的かつ客観的なプラットフォームとして活用することで、傭船契約上のトラブル防止や解決に役立てることができることです。 なぜ今始めるのでしょうか? CIIの制度はまだ始まったばかりですが、CIIの格付けは船舶の競争力評価に影響を与えると予想され、環境性能が高ければ資産価値にもプラスに働く可能性があるといわれています。こうしたニーズは物流チェーンの両サイドからかかることが予想され、荷主、消費者、ESG*1意識の高い企業が持続可能な海運への実現を要望したり、もう一方では、CIIトップクラスの船舶は、運賃、融資条件、金利の改善、保険料の引き下げといったメリットを享受する可能性があります。 その結果、CII格付けの低い船舶はビジネスや融資の確保に苦戦する可能性があり、一方、CII格付けの高い船舶は競争上優位に立つ可能性が高いです。このことは、特に2023年のデータに基づく船舶に最初のCII格付けが割り当てられる2024年から明らかになるでしょう。そして、サプライチェーンの脱炭素化への圧力が高まるにつれて、その影響は今後数十年にわたって増大することでしょう。 さらに、これからの10年間に船舶運航効率を向上させることの価値は、現在の規制要件を超えて拡大することが予測されます。なぜなら、2020年代に効率を向上させれば、後に新しい燃料を採用するための貴重な意思決定に時間を稼ぐことができ、より効率の良い船舶は、高価な燃料を使用する必要性がより少なくなるからです。 すなわち、効率向上を取り入れるために今、積極的かつ協力的な行動をとる船主や用船者は、自らの短期的・長期的な脱炭素戦略をよりコントロールしやすくなるということです。 先陣を切る企業は、この避けられない変化の最前線に立つことになります。IMOが今年7月のMEPC80でGHG削減戦略の改訂を行い、より厳しい措置を採用するかどうか、海運業界は現在様子見をしていますが、先送りにする理由はありません。どのような結果になろうとも、効率化に積極的に取り組むことは船主や用船者にとって有益です。NAPAでは、業界の目標であるネット・ゼロ・エミッションの達成を加速させることに尽力しており、その道筋は純粋に規制によって定められる必要はないと考えています。 NAPA CIIシミュレーターの発売を発表したプレスリリースの続きを読む。 このブログ記事は、2023年6月5日にオッシ・メッタラによってLinkedInに掲載されたものです。 *1 ESG:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス(企業統治))を考慮した投資活動や経営・事業活動
Read Article6月 30, 2023
NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社の共同研究 円筒帆と航海最適化システムの相乗効果により、約28%のCO2排出量削減効果を検証
NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社は共同研究を実施し、風力推進装置と航海最適化システムを組み合わせることで、約 28% の CO2 排出量削減効果があるということが分かりました。 2023 年 5 月 30 日 – 船舶の設計・運航支援システムの開発および船舶の運航データ分析の専門家であるNAPA、世界有数の造船所である住友重機械マリンエンジニアリング、および風力推進装置のグローバルプロバイダーである Norsepower社は、風力推進装置を搭載した船舶に対して、NAPAの航路最適化システムを適用した場合の、燃料とCO2排出量の削減効果検証に関する共同研究プロジェクトの結果を発表しました。 共同研究の第 1 段階(2022年 12⽉〜2023年 3⽉)では、風力推進装置を搭載したタンカーの北⼤⻄洋航路のシミュレーションにおいて、Norsepower社製の円筒帆 Norsepower Rotor SailTM と航路最適化システム NAPA Voyage Optimization の相乗効果で CO2 排出量を最⼤限抑制することができ、年間平均で約 28% の削減効果が期待できることを確認しました。そのうち NAPA Voyage Optimization 単独によるCO2排出削減効果は、約 12% となりました。 以下の航路図は、ニューヨークからアムステルダムまでの航路と風向風速を示しており、NAPA Voyage Optimization と Norsepower社の円筒帆を搭載した航海シミュレーションでは、英国以北を航行することで最⼤の燃費削減効果が得られました。 以下のローズチャートは、ニューヨークからアムステルダムまでの年間全 24 航海を通して比較した相対風向・風速の傾向を示しており、Norsepower社の円筒帆と NAPA Voyage Optimization を組み合わせたシミュレーションでは、CO2 削減効果がより見込める横風を受ける航路をなるべく選択することで、より⼤きな節約効果を得ていることがわかりました。 今回の共同研究では、NAPAの船舶性能モデリングおよび航海シミュレーション解析技術の知見を活用し、住友重機械マリンエンジニアリングの持つ船舶情報および Norsepower社から提供された円筒帆の設計情報と2022年の年間海気象データを用いて、対象船の主要6航路における風力推進装置搭載船の環境性能評価を設計段階で行いました。その結果、Norsepower社製の円筒帆を搭載しNAPA Voyage […]
Read Article5月 30, 2023
NAPA、CIIシミュレーターツールの提供開始で、CIIに積極的なアプローチを呼びかけ
NAPAの新しいシミュレーションツールはCII値を予測し、潜在的な効率対策の影響をモデル化することで、チャーターパーティー関係者間の協働と温室効果ガス排出量削減を可能にします。 フィンランド、ヘルシンキ – 2023年3月21日: 世界的な海事ソフトウェアおよびデータサービスプロバイダーであるNAPAは、海運業界に対し、IMOの燃費実績の格付け制度(Carbon Intensity Indicator: CII)に積極的に取り組み、用船者と船主がコンプライアンスに向けて協力して温室効果ガス排出量を削減できるようにするデジタルプラットフォームを最大限に活用するよう促しています。 NAPAは米国スタンフォードで開催されたCMA Shippingにおいて、NAPA Fleet Intelligence プラットフォームの機能である CII Simulator を発表しました。この新しいツールは、船舶のデジタルツインを、過去および現在の航路および性能に関するデータとともに使用して、年度末や特定の用船期間後など、あらゆる航路または年間の任意の日付のCII評価を予測します。 NAPA CII Simulatorは、天候に左右される航路や減速航行など、さまざまなエネルギー効率対策や運航プロファイルが船舶のCII等級に与える影響をシミュレートできることが大きな特徴です。また、省エネ装置の設置や船体洗浄の効果もモデル化できるため、特定の船舶に対してどのような対策が最も効果的であるかをより明確にすることができます。 NAPA Shipping Solutions Executive Vice President, Pekka Pakkanenは、海運業界が協働してCIIの新しい枠組みを進める上で、このデジタルツールが重要な役割を果たすと主張しました。新しい規制は新しい働き方を求め、デジタルソリューションはすべての関係者を同じ方向に導くのに必要な客観的洞察を提供します。CIIを成功させるには、特に船主と用船者の間の協力が必要です。 この協働を実際に実現するには、船舶のCII値が年間を通じてどのように変化し、それに対して何ができるかについての相互理解を深めることができる共通のプラットフォームが必要です。そこで、当社のNAPA CII Simulatorを用いて信頼性の高い分析と予測を提供し、船舶の性能を向上させ、CII値を向上または維持するために可能な限り最適な運用上の意思決定を支援します。 NAPAが船主および用船者と共同で開発した新しいCII Simulatorは、傭船契約におけるCII条項の対応を支援する重要なツールとなります。このツールは、船舶の性能の背景にある原因について信頼性の高い分析を提供することで、係争を回避し、契約上の義務を確実に満たすのに役立ちます。NAPA CII Simulatorは、船主と用船者の双方から歓迎されており、プロジェクトの初期のパートナーはすでに積極的に活用しています。 NAPA Shipping Solutions Sales Manager, Ossi Mettäläは、この新開発について次のようにコメントしています。 この新しい機能は、CIIの遵守に向けた明確な道筋を示し、すべての船舶のパフォーマンスについて、必要な事実に基づいた情報を提供するものです。NAPA CII Simulatorは、船主と用船者の間で新たに発見されたCII対策の共有責任を認識し、関係者がより自信を持って持続可能性、商業、効率に焦点を当てた意思決定を行うことができる中立的なプラットフォームとして機能します。これにより、CIIの遵守だけでなく、より広範な脱炭素化に向けて、積極的かつ迅速なアプローチを取ることができます。 CIIはまだ始まったばかりですが、地球にとって本当に良い影響を与えるためには、海運業界がその働き方を大きく変えなければならないことは明らかです。NAPAでは、NAPA CII Simulatorの機能の提供開始により、業界が商業的に実行可能な意思決定を継続しながら排出量を削減できるよう支援しています。 *** NAPAについて 30年以上の歴史を持つ、船舶設計と運航のためのソフトウェアおよびデータサービスのリーディングプロバイダーであり、安全で持続可能、かつ将来性のある海運を可能にします。フィンランドに本社を置くNAPAは、造船工学、海運、デジタルサービスの専門知識を兼ね備えた200名のエキスパートを擁しています。NAPAは、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドに拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。 新造船の90%以上がNAPAの顧客によって建造されており、NAPAの船舶設計ソフトウェアは、造船における世界的な業界標準となっています。さらに、NAPAは客船の復原性管理と安全データサービスのマーケットリーダーであり、船舶の性能監視と航海の最適化のためのクラウドベースのソリューションは、海運の脱炭素化の旅をサポートしています。
Read Article3月 23, 2023
NAPAウェビナー : CII対応策に関する動画配信のお知らせ
先日開催されたCII – Carbon Intensity Indicator の対応策に関する ウェビナーの動画を公開しました。 船舶のCII評価をどのようにフォローアップし、管理すればよいのでしょうか。 ウェビナーでは、NAPAの専門家が以下の点について解説しています。 CII格付けに有効とされる各対策がどういった影響を及ぼすかに関するNAPAの検証結果 NAPA Fleet Intelligenceで船舶のCII評価をフォローアップし管理するための実践的なヒント NAPA Voyage Optimizationを活用し、安全運航と燃費向上を両立するための航路の選択方法 詳細にご興味のある方は、下記フォームに必要事項ご記入・お申込いただければ簡単にご視聴いただけます。ぜひご活用下さい。 By submitting the form, I consent my information to be used according to NAPA’s privacy policy. NAPA Webinar: Practical tips for managing CII
Read Article1月 20, 2023