Tag: Wind propulsion
Norsepower社とNAPAの提携により、高度な性能解析でローターセイルの効率性が向上
NAPAの風力補助推進システム(WAPS)への取り組みは、2015年にNorsepower社と提携して最初の評価プロジェクトを実施した時まで遡ります。それ以降、私たちは風力推進技術の限界に挑み続け、絶えず技術の革新と改良を行い、ソリューションを提供してきました。船舶設計と性能最適化ソリューションの提供において35年以上の実績を持つNAPAは、海運業界が風力補助船の潜在能力を最大限に活用するための支援を行う、リーダー的存在であり続けています。 2022年、NAPA・Norsepower社・住友重機械マリンエンジニアリング (SHI-ME)は、様々な海況や気象条件下で最高の効率を発揮できるよう、ローターセイルを最適化するという共通の目標を掲げ、海運業界の発展に向けて力を合わせています。この提携により、NAPA Voyage Optimizationと船舶性能最適化ツールが Norsepower Rotor Sails™ 技術と統合され、船主の持続可能性への取り組みを支援する、包括的なソリューションが提供されています。 横力と船の動きに関する高度な解析による、ローターセイルの性能向上 しかし私たちはそこで止まりませんでした!この提携による最近のフェーズ2の結果では、より幅広い船舶の反応と気象条件に関するデータを組み込むことで、Norsepower Rotor Sails™ を搭載した船舶の運航性能が大幅に改善されました。これには横方向の力と船の動きに関する高度な解析を伴いますが、それは風、波、潮流などの動的条件における船舶設計の最適化と性能の向上に非常に重要なものです。 このプロジェクトの成功は、海事部門において脱炭素化を加速させるデジタル風力推進の可能性を明らかにし、規制遵守と運航性能の向上の両方を実現することを示しています。 データ駆動型のウェザールーティングにより、更なる風力の効率化 天候パターンを分析し、リアルタイムで航路を最適化することにより、NAPAは船舶が風力をより効率的に活用し、大幅に燃料消費量と排出量を削減できるようにします。NAPAの高いモデリング精度とウェザールーティングにより実現されるこの正確な最適化は、環境への影響を最小化しつつ、大幅なコスト節減をもたらします。NAPAの3D船体設計、ビッグデータ、流体力学計算における35年の経験を活かし、私たちは船舶運航者に風力補助船の効率性を高めるための比類なき知識を提供します。 将来を見据えて:性能精度の向上による、ローターセイルの性能向上 有数な風力推進技術のプロバイダーのひとつであるNorsepower社との提携により、NAPAはローターセイルに特化したソリューションを提供し、高度なウェザールーティングと性能分析を通じて、その効率性を最大限に高めることを可能にしています。NAPAが風、帆、船体性能間の複雑な相互作用をモデル化できることは、大きな強みです。 次の段階では、Norsepower Rotor Sails™ を搭載した船舶の実際のデータを分析し、シミュレーション結果と比較する予定です。これにより、性能モデルの正確性に更に正しい知見をもたらし、風力補助船向けのウェザールーティングソリューションの一流プロバイダーとしてのNAPAのリーダーシップは、さらに強まるでしょう。 本件に関するお問い合わせ先:
Read Article11月 4, 2024
風力アシスト船の効率を最大限に高める方法とは?
海運業界が二酸化炭素排出量の削減や厳格化する環境規制の遵守に努めているなか、風力推進は船の燃料消費量と排出量を大幅に削減する見込みが高い解決策として、台頭しています。 しかし、風力を利用することはただ単に帆やウイング、凧を設置することではありません―それはまた、風力推進に内在する課題を解決することでもあります。複雑かつ急速に変化する気候パターンから乗組員のトレーニングまで、高度なデジタル技術を統合することで、オペレーターは航路を最適化しながら安全性と復原性を確保し、船の全体効率を高めることができます。 課題1. 複雑な風の扱い 予測不可能な風の中を航行するという複雑な仕事には、事前の緻密な計画と航海を通しての調整の両方が必要です。目まぐるしく変化する風速や風向き、波や潮流を見極め、航海中も常に見直し、最適な航路を決めなければなりません。これはウイング、ローター、帆を最大限に活用するため、適切な速度と角度で風を捉える必要がある風力アシスト船にとって、特に重要なことです。 解決策-NAPA Voyage Optimization 昔ながらの手法や手作業だけに頼るのは、多くの機会損失のリスクがあります。そこで風の変化を理解し、これを船の利益となるように利用するためには高度なデジタル・ツールが必要不可欠です。NAPA Voyage Optimization は、リアルタイムで可能性のある航路や速度プロファイルのバリエーションのシミュレーションと評価をし、これにより、意思決定者は燃料消費と排出ガスを最大限に抑えるための最適な航路を選ぶことができます。 課題2. 不安定な海況 不安定な海況に対処するため、安全性と効率性の両方を確保するためにも、予測不可能な海洋環境に対し、継続的な監視・適応が必要です。 解決策-ウェザールーティング 非常に正確かつ詳細に数時間先の天気を予測できるNAPAのウェザールーティングは、船のオペレーターが急速に変化する風速や風向き、波、潮流に対応する助けとなり、正確な計算結果をリアルタイムで提供します。これにより、予測困難な天候下でも最適な航海が可能になります。 課題3. 高い復原性への要求 高い復原性を求める声に応えるためには、転覆を防止し、乗組員と貨物の両方の安全を確保するためにも、様々な条件下で船が最適なバランスとコントロールを維持しているという保証が必要となります。 風力推進システムは船の重心に影響を与える船上部に重量を増やす傾向があるため、船の安全性や復原性を管理することは、より一層重要なこととなります。そこで、高度なデジタルシステムが重要な役割を果たします。 解決策-NAPA StabilityとNAPA Loading Computer NAPA Stability と NAPA Loading Computer はこれらの要因を考慮し、風力アシスト船について、運航中の復原性に関するあらゆる基準を個々に検証することができます。これは、例えば、航海中の風速を考慮し、帆と横風から船の最大傾斜の動きなども含みます。 課題4. 排出ガス削減量の最大化 次の課題は、排出ガスの削減量を最大化することです。これは、例えば、最高のCII スコアを取得したり、EU ETS と FuelEU 下でのコストを最小限に抑えたりすることがカギとなります。そのためには、運航全体を通して風力推進システムを最大限に活用するための戦略と技術を導入する必要があります。 解決策-風力推進とNAPA Voyage Optimizationの組み合わせ 風力推進システムを、船が最適な風を捉えることができる航路最適化システムと組み合わせれば、容易に解決できます。 実際、モデリング研究では、風力推進による排出削減の潜在能力を最大限に引き出すためにはウェザールーティングが不可欠であることを裏付けるデータに基づく証拠が示されています。例えば、NAPA・住友・Norsepowerの共同研究では、ローターセイルとNAPA Voyage Optimization を組み合わせることで、平均で最大28%の排出削減が可能となり、そのうち12%がウェザールーティングによるものであることが示されています。 マンチェスター大学による2023年の研究では、航路の最適化により、風速と風向きが特に良好な「理想的な」航路では、二酸化炭素排出量を30%以上削減できると示しています。また、同研究ですべての航路を平均し、ローターセイルのみを使用した場合の平均排出削減率は10.8%だったのに対し、NAPA Voyage Optimizationを併用した場合は17.7%に増加したことが分りました。 […]
Read Article10月 3, 2024
風を味方にする―どうすれば航路の最適化で船の「スピードリザーブ」を引き出せるのか
海運業界は変化しており、貨物を移動し、排出ガスを削減する必要があるということ以外に、不変なものはあまりありません。風力推進は船主がその両方を実現するのに役立ちますが、航路最適化システムの助けなしには行えません。風力推進は海運業界を変革する可能性を秘めていますが、多くの新技術と同様に、十分な検討とそれに見合った運用方法が求められます。 NAPA Voyage Optimization は、天候状況や無数にあるその他の制約条件に応じて、A地点からB地点までの最適な航路を見つけ出すシステムです。そのため、シミュレーションツールとしても利用でき、風力推進を利用した航海や船隊の最適化について深い見識を得ることができます。また、航路での帆の実用性をより明確にすることができる方法で、帆を張った船と海上をシミュレートします 要するに、航路最適化は帆へのの恩恵を最大限に享受するために不可欠なのです。 帆走がうまくいかない場合はどうすべきか? 場合によっては、ローターセイルの実用性が疑問視されることもあります。そこで難しい状況下では帆がどのように機能するか、シミュレーションをしてみましょう。最も分かりやすい例が、継続的に向かい風に遭遇したときです。仮に全長230メートルの石油タンカーに高さ約30メートルのローターセイルを3基つけた(あるいはつけない)として、スリランカとバングラデシュ間でシミュレーションを行います。NAPA Voyage Optimizationを使えば、船速12.4ノットの船での2港間の航海をモデル化することができます。帆を装備、又は装備していないモデル船でこの航海を行えば、省エネ装置を搭載することが実はあまり有益ではないことが分かるでしょう。 シミュレーションでは、帆を装備していない船の場合、燃料消費量は118.7トンであるのに対し、帆を装備している船の消費量はその3.5%多いという結果でした。風力推進は様々な角度で推力を発生させることができますが、向かい風、又はそれに近い風の時は発生させることはできません。そのような状況では、帆はかえって船全体の抵抗を増加させることになります。 航路を可能な限り最適化し、それによって帆の効率が向上するかを見てみましょう。ただし、到着時間だけは変えません。 このような天候下では、まだ帆が燃費節約につながらないことが分りました。依然として帆がない船のほうが安く運航できるものの、最適化されていない航路に比べ、最適化された航路はどちらの場合でも燃料の節約をもたらすことに留意することが重要です。 私たちにできることとは? では、私たちはこの状況に我慢して耐えるしかないのでしょうか?難局を切り抜け、好市況を待つしかないのでしょうか? 帆はあまり役に立たないため、別の方法で燃料を節約できるのでしょうか? 船の速度を2ノット下げたらどうなるでしょうか? そうすると、面白いことが起きます。NAPA Voyage Optimizationがあれば、風力推進装置が搭載されていない船よりも、帆を張った船のほうが燃料消費量を抑えることができるのです。船が最短航路から外れることが許されるのであれば、このようなことが起こりえます。 帆を張った船にとって最適な航路では、速度範囲は8.2ノットから12.3ノットと、それぞれ8.3から11.1ノットより大きくなります。さらに、最適な航路も異なり、風を利用する船はより西に向かって航行します。 帆がついている場合、天候の影響はより顕著に表れます。有利な風を受けに行く(あるいは不利な風を避ける)ことができるポテンシャルがここでの鍵なのである、と信憑性のある仮説を立てることができます。減速航行により、船が航路と速度プロファイルを変えることができるため、このポテンシャルを引き出せます。私たちはこれを船の「スピードリザーブ」と呼んでおり、好天をとらえ、悪天候から逃れるために速度や航路に柔軟に対応できる能力のことを指しています。 シナリオを逆にするとどうなるか? シミュレーションが悪天候の中で行われたことを確認するため、チャートを反転させてみましょう(例:航行方向の変更)。ルーティングや減速することなく、なお風力推進の実用性を確認することができるのでしょうか?きっとできるはずです、なぜなら反対方向に進もうとしているのだから。 結果、この特定のケースでは、帆がついているだけで性能が4%向上することが判明しました。従来の方法で航路最適化を行うと、どの程度の節約になるかをシミュレートすることもできました。もちろん減速航行することで、船のスピードに大幅な余裕をもたせ、航路を大きく逸脱し、帆を最大限に活用することもできます。 最終判断:風力推進のポテンシャルを最大限に引き出すためには、速度と航路の逸脱に対する柔軟性が必須である これらのシミュレーションは、風力推進が予期せぬ利益をもたらすことを証明しています。船が帆を張っている場合、船はより天候に影響を受けやすくなります。そのため、より速度と航路の逸脱に柔軟に対応できるようになれば、風力推進装置によってもたらされる価値が高まります。シミュレーションでは、正しい方法、つまり風力推進装置と航路最適化の組み合わせにより、船がコストのかかる強い向かい風を回避し、大幅な排出削減とコスト節減が可能であることを示しています。 ※こちらの投稿はLinkedInに投稿されたものです(英文)。
Read Article7月 17, 2024
飯野海運、NAPA Voyage Optimization(航路最適化システム)の導入を決定
風力推進補助装置(ローターセイル)との組み合わせで更なるコスト削減を実現 日本・東京ー 2024年4月11日ー飯野海運株式会社 (以下、飯野海運)はこの度、海事ソフトウェアとデータサービスのエキスパートであるNAPAと、Norsepower社製の風力推進補助装置(以下、ローターセイル)を搭載した2隻の飯野海運保有の船舶にNAPA Voyage Optimization(以下、本ツール)を導入することで合意しました。本ツールのウェザー・ルーティング(*¹)機能を活用することで、ローターセイルによる燃料消費削減の効果を最大化し、温室効果ガス(Green House Gas:GHG)の排出を最小限に抑えることができます。 本ツールは、飯野海運保有のVLGC(Very Large Gas Carrier)1隻と石炭専用船1隻に導入を予定しています。ローターセイルによる運航効率の向上およびGHG排出削減の効果を最大限発揮するため、本ツールは今年の第2四半期から高度なシミュレーション、評価、および航路・運航速度の最適化ツールとして活用され、様々な気象・海象条件の下であらゆる航路におけるパフォーマンスを包括的に比較できるようになります。 ローターセイルの搭載だけでも両船はそれぞれ約3~4%の燃料消費量とCO₂排出量の削減が見込まれていますが、NAPAとのコラボレーションにより、運航上の意思決定に役立てるために航海の最適化支援を活用し、また、高度なウェザー・ルーティング機能とローターセイルを組み合わせることで、CO₂排出量の削減率をさらに3〜10%引き上げることを目指しています。 飯野海運は、2023年5月に発表した中期経営計画 “The Adventure to Our Sustainable Future “においてテーマに掲げるカーボンニュートラルへの挑戦に取り組んでいます。具体的なコスト削減を図り、デジタル技術を駆使して航路を最適化することで投資利益率を最大化し、さらなる脱炭素化への取組みや設計・運航の革新を推進していきます。 <飯野海運 取締役 専務執行役員 小薗江隆一 コメント> 「NAPA社のデータに関する洞察力と専門知識は、当社の脱炭素化戦略を推進し、投資利益率を最大化する上で非常に貴重なものです。当社の船舶がどのような性能を発揮するか、どれだけの燃料を必要とするか、どれほどの排出量となるかなど、航海が開始する前の段階でシミュレーションできることは、市場のボラティリティが高まり、規制が強化されている今、極めて重要な知見です」 <NAPA Pekka Pakkanen, Executive Vice President for Shipping Solutions コメント> 「脱炭素化に向けて、海運業界全体が協力し、新たな道を開いています。当社が飯野海運の風力推進の可能性を最大限に引き出すための役割を果たせることを誇りに思います。このパートナーシップは、飯野海運の環境に対する意欲的な取組みを推進し、より多くの船主やオペレーターに海運のエネルギー転換加速のための投資を促す上で重要な役割を果たすことになります」 「航海の最適化と風力推進を組み合わせることで、燃料削減を大幅に達成することができます。潜在能力を引き出し、相互連携を強化し、より効率的で環境に優しく、安全な航海海運を実現すべく、データを活用するのです」 (*¹)ウェザー・ルーティング 船舶が航海中に遭遇する気象や海象を予測し、船舶の状態や性能・到着時間などを考慮して、安全性・快適性・燃料消費量・最短航海時間などの項目一つあるいはそれらの組み合わされた評価基準により最適な航路を設定すること。 ***** NAPAについて NAPAは、グローバルな海運業界向けのソフトウェアとデジタルサービスのリーディングプロバイダーであり、データサイエンスを活用して、より安全で、より持続可能で、将来にわたって有効な船舶運航を実現しています。 船舶設計のためのスマートソリューションを提供するために1989年に設立され、現在では同社の顧客が建造する新造船の90%以上に採用されるなど、船舶建造において世界的な基準となっています。現在、同社の専門知識は船舶のライフサイクル全体に及び、船舶設計から船舶の運航安全性と効率に至るまで網羅しています。世界中の商船約3,000隻が同社の安全性と効率性向上のためのソリューションを搭載しており、これには海上での安全管理に積極的に取り組むデジタル船舶復原性システム、新たな運航効率を導き出すための知見を提供するクラウドベースのパフォーマンスモニタリング、そして航海最適化ソリューションが含まれています。 フィンランドに本社を置く同社は、200人の専門家を擁し、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドの拠点を通じ、世界中で事業を展開しています。 詳細は、NAPAウェブサイト(www.napa.fi)をご覧ください。 飯野海運について 飯野海運は 1899 年創業の東京に本社を置く海運会社です。飯野海運グループは、原油、LNG、LPG、石油化学製品、乾貨物などのエネルギー資源およびその関連製品の輸送に特化した船主およびオペレーターとして、全世界で輸送サービスを展開しており、2023年 12 月現在、大型原油タンカー4 […]
Read Article4月 11, 2024
NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社の共同研究 円筒帆と航海最適化システムの相乗効果により、約28%のCO2排出量削減効果を検証
NAPA、住友重機械マリンエンジニアリング、Norsepower社は共同研究を実施し、風力推進装置と航海最適化システムを組み合わせることで、約 28% の CO2 排出量削減効果があるということが分かりました。 2023 年 5 月 30 日 – 船舶の設計・運航支援システムの開発および船舶の運航データ分析の専門家であるNAPA、世界有数の造船所である住友重機械マリンエンジニアリング、および風力推進装置のグローバルプロバイダーである Norsepower社は、風力推進装置を搭載した船舶に対して、NAPAの航路最適化システムを適用した場合の、燃料とCO2排出量の削減効果検証に関する共同研究プロジェクトの結果を発表しました。 共同研究の第 1 段階(2022年 12⽉〜2023年 3⽉)では、風力推進装置を搭載したタンカーの北⼤⻄洋航路のシミュレーションにおいて、Norsepower社製の円筒帆 Norsepower Rotor SailTM と航路最適化システム NAPA Voyage Optimization の相乗効果で CO2 排出量を最⼤限抑制することができ、年間平均で約 28% の削減効果が期待できることを確認しました。そのうち NAPA Voyage Optimization 単独によるCO2排出削減効果は、約 12% となりました。 以下の航路図は、ニューヨークからアムステルダムまでの航路と風向風速を示しており、NAPA Voyage Optimization と Norsepower社の円筒帆を搭載した航海シミュレーションでは、英国以北を航行することで最⼤の燃費削減効果が得られました。 以下のローズチャートは、ニューヨークからアムステルダムまでの年間全 24 航海を通して比較した相対風向・風速の傾向を示しており、Norsepower社の円筒帆と NAPA Voyage Optimization を組み合わせたシミュレーションでは、CO2 削減効果がより見込める横風を受ける航路をなるべく選択することで、より⼤きな節約効果を得ていることがわかりました。 今回の共同研究では、NAPAの船舶性能モデリングおよび航海シミュレーション解析技術の知見を活用し、住友重機械マリンエンジニアリングの持つ船舶情報および Norsepower社から提供された円筒帆の設計情報と2022年の年間海気象データを用いて、対象船の主要6航路における風力推進装置搭載船の環境性能評価を設計段階で行いました。その結果、Norsepower社製の円筒帆を搭載しNAPA Voyage […]
Read Article5月 30, 2023
NAPA、国際ウィンドシップ協会(IWSA)に加盟
NAPAは国際ウインドシップ協会(IWSA)の準会員となりました。これからも海運の脱炭素化を支援する取り組みを推進していきます。 IWSAの使命は、商船における風力推進装置の搭載を促進し、燃料消費量の削減と気候変動に関連するCO2排出量の低下を図ることです。NAPAは準会員として、船主の脱炭素取組に積極的に協力する本団体に加わることになりました。 国際ウィンドシップ協会の事務局長であるGavin Allwright氏は、以下のように述べています。「今回NAPA社をIWSAのメンバーとして迎えることができ、大変うれしく思います。NAPA社が行っている活動は、この分野の発展に重要な貢献をしており、今後さらに発展するものと期待しています。NAPA のチームがもたらす知識と経験は、当協会にとって非常に貴重なものとなるでしょう。風力推進が、業界をリードする脱炭素・ゼロエミッションのソリューションとして、その可能性を最大限に発揮できるよう、共に取り組んでいきたいと思います。」 航海の最適化で風力発電の効果を最大化 NAPAはすでに、風力推進装置のプロバイダーであるNorsepower 社(IWSA会員企業)との間で、風力推進装置の効果を最大限に活かすための協業を行っています。昨年締結した契約により、NAPA 運航最適化システムVoyage Optimizationが、Norsepower社のローターセイル・ソリューションの全販売にオプションとして選択することができます。 NAPA Voyage Optimizationは、燃料消費量とCO2排出量を最小限に抑える最適な航路を選択するための気象航路作成ソフトウェアです。気象、海流、風力発電などの船舶の設計を考慮し、船舶固有の本船パフォーマンスモデルを構築します。これらのモデルを用いて、様々な条件下での船の性能を評価・予測し、最適な航路を選択することができます。 NAPAのShipping Solutions担当Executive Vice PresidentであるPekka Pakkanenは以下のように述べています。 「航海最適化と風力推進の組み合わせは、どちらか一方の技術だけと比較して、性能向上の大きな可能性をもたらします。風力推進技術とNAPA Voyage Optimizationの組み合わせにより、燃料消費量とCO2排出量を最大で24%削減できることが調査で明らかになっています。」 モデリングとシミュレーションの機能 NAPA は、船主が風力推進装置の導入を検討する際の意思決定も支援しています。風力推進装置の導入はは、船舶の復原性、構造強度、積荷管理などに影響を与える可能性があります。NAPAの高精度なデータ解析技術とモデリング機能により、風力推進装置における各ファクターへの影響を事前にシミュレーションすることができます。 「最近、ノルウェー・パワー社と共同で、ローターセイルを本船に導入した場合の影響を船主がモデル化できるようサポートしました。当社の設計ツールを使えば、船の安全性や安定性に与える影響をモデル化し、そのシステムが船に適しているかどうかを確認することができます。そして、NAPA Stabilityによって、安全性を確保するための日々の運航計画をサポートすることができるのです。」とPakkanenは述べています。 NAPA Fleet Intelligenceのようなプラットフォームは、本船固有のパフォーマンスモデルを元に、航海ごとの燃料消費量などさまざまな運航要因のベンチマーク、本船性能分析、進捗管理を支援します。これにより、船隊管理者は、エネルギー効率化対策の真の効果をより明確に把握することができます。 IWSAの目標は、船主や運航会社が、IMOの燃費実績の格付け制度(Carbon Intensity Indicator:CII)、ポセイドン原則、海上貨物輸送約款などの業界全体の検討事項を考慮しながら、各自の具体的目標を設定し達成できるようにすることです。IWSAの一員として、NAPAは気候変動対策をより加速すべく支援していきます。
Read Article1月 23, 2023
NAPAの独自船舶データ解析技術を用いて風力推進船の開発強化
現代の船舶海運の世界で「帆の時代」を復活させるというアイデアは、幅広いメディアで関心を呼び、業界外の多くの人々のにとって関心度の高いトピックです。しかし業界関係者にとっては、このロマンチックなアイデアは、利幅が狭く規制も厳しいといった数多くの厳しい現実に立ち向かう必要があるのです。 そのような中で、NAPAが持つ船舶のモデリング技術や、気象データをかつようした航路最適化および本船の性能解析といった専門知識が、洋上風力技術開発において貴重なものとなっています。 例えば、C-Job Naval Architects社と提携し、風力推進船がもたらす二酸化炭素削減効果の検証を行いました。結果として、深海航路では最大20%、北海やバルト海では約5%の燃料削減見込みがあることが判明しました。本共同研究は、ローターセイルをコンセプトから現実のものにするために重要な役割を果たしました。 パートナーシップ 風力発電技術が成熟し、設置台数が増える中(IWSAによると、現在風力発電を導入した大型船舶は19隻)、私たちは業界が風力発電を最大限に活用できるよう、引き続き支援を行っています。ローターセイルのパイオニアであるNorsepower社とともに、データを活用したデジタルソリューションが、風力推進の利点を高め、燃料消費を最小限に抑え、コストを削減し効率を高め、全体としてCII規制への準拠できるかどうかを検証することができました。 先日、当社のNAPA Voyage Optimizationソフトウェアが、今後ノーズパワー社のローターセイル・ソリューションにオプションとして販売されることがが正式に決定しました。その理由とは、航海最適化と風力推進の組み合わせることで、相乗効果を生み出し本姓性能を向上させる大きな可能性をもたらすからです。 NAPAのソフトウェアは、航海中の気象条件や各船の設計プロファイル、運航要件を考慮し、省エネ効果を最大化するために最適な航海計画を決定します。重要なのは、提案される航路が、異なる条件下での性能を評価・予測する船舶固有のデジタルモデルを用いて、それぞれの船舶の設計や特性に合わせて調整されることです。つまり、Norsepower社のローターセイルは、最適な航路を提供するための船舶性能モデルにおいて特に考慮されているのです。 その結果、NAPAの調査により、NAPA Voyage Optimizationを使用してローターセイルを設置した場合、使用しなかった場合と比較して燃料効率を1/3程度に改善できることが実証されています。従来の航路最適化のアルゴリズムではなるべく風を避けることになりますが、今回は風力推進船に特化するべく、航海中の風の影響をなるべく活用するようなアルゴリズムを組んで最適化を行ういます。波の高さ、方向、頻度など様々な環境要因を考慮し、船舶の総抵抗を計算することで、船舶が安全に風と天候を利用した航海を行えるようにするNAPA独自のインテリジェント・ルーティング技術が用いられています。 期待される効果 複数の省エネ技術を組み合わせることが一体どういった可能性を秘めているかは、多くの場合まだ明らかにされていません。相乗効果をもたらしうる省エネ技術の種類が最近急激に増えていることについて、多くの海運関係者に十分に浸透していない可能性があるからです。 これは驚くことではありません。MARINが主導するWiSP 2のようなプロジェクトが示すように、これらのソリューションを単独または組み合わせてビジネスケースとして成立させるには、業界はまだ多くのことを学ばなければなりません。実際、デルフト工科大学の研究によると、風力アシスト技術の普及を阻む大きな障壁は、風力推進機の性能を予測するための透明で独立した検証済みの情報と手法がまだまだ不足していることです。 私たちは、より多くのデータがあればより明確になると考えており、そのためのツールを提供することで、船主がより良い決断を下せるようにします。また、日々の意思決定を行う船の乗組員やオペレーターも、理論上の最適化目標が実際に完全に実現されるように、適切なデータを必要としています。 最近、NAPAとNorsepower社は、クリーンテクノロジー採用に関する従来の考え方に挑戦するパネルディスカッションに参加しました。パネリストは、業界に脱炭素化をもたらす様々な要因に注目しました。現在の燃料価格、課税としての炭素コストの予想、新しい低炭素燃料の出現による燃料コストの増加、保留中のEEXIおよびCII規制、荷主、銀行、その他のステークホルダーからのESGドライバーなどです。 脱炭素社会への移行を成功させたい企業にとって、信頼できるデータに基づいた意思決定は不可欠です。船上でどのような技術や燃料を使用するかにかかわらず、新しい技術から最高の結果を得るためには、どうしてもデータが不可欠となります。代替燃料や様々なクリーンテクノロジーが導入され、船舶の多様性がさらに高まるにつれ、各船舶の個性は今後さらに顕著になることでしょう。正確なデータがあれば、さまざまな解決策とそれが燃料消費量に与える影響をより正確に把握することができます。 コラボレーション 風力発電による海運への関心の高まりと同時に、2050年の排出量50%削減目標からネットゼロ目標への移行への期待も高まっています。このため、ソリューションの意思決定の指針となるデータの重要性がさらに高まっています。 一つのソリューションの投資回収時間は最適な指標ではないかもしれません。それよりも、他のソリューションと組み合わせた場合の潜在的な乗数効果によって、規制遵守やESG目標の達成にどのように役立つか、より明確に把握することができるようになるのです。結局のところ、ペイバックが達成されれば、船主は、最適化され、市場性の高い資産から利益を得るために、船の寿命の何年も先まで待つことができます。 海運の持続可能性を高めるには、造船所から船級協会、船主、運航会社、用船社、荷主など、幅広い協力関係が必要です。NAPAは、すべての関係者をトータルサポートするべくサービスを提供します。NAPAは、主要な船舶設計時の決定から、安全性と持続可能性を確保するための運航方法、改修の決定まで、船舶のライフサイクルを通じた船主の意思決定のトータルサポートを行います。本船が構想から現実のものになるまでの間、NAPAの3Dモデルやビッグデータを用いた本船性能技術を活用し、安全かつサステイナブルな建造・運航を実現することで船主、船員、そして本船をサポートします。 私たちは、風力発電などの環境に配慮した新技術の検証や最適化を行うサポーターとして、未来の低炭素船団を実現するために不可欠な役割を果たすお手伝いをします。エネルギー転換が及ぼす様々な課題を考慮し、商業利用が検証された様々なソリューションを組み合わせることで、船主は排出規制目標を達成するだけでなく、それを超えるための次のステップを踏み出すことができるのです。現在利用可能なソリューションを使用する船舶は、より早く脱炭素化することができ、ネットゼロの未来を目標から現実のものにすることができます。 本件に関するお問い合わせ先:
Read Article8月 30, 2022
Norsepower社とNAPA、航海最適化により風力推進効果を最大化するために提携
クリーンテクノロジーと海事ソフトウェアの分野におけるリーディングカンパニーである両社が航海最適化ツールを用いて、風力アシスト船の航海計画を支援し、燃料節約と排出ガス削減を促進するという新しい協定を締結しました。 フィンランド、ヘルシンキ – 2022年4月4日 – 風力推進システムの世界的なリーディングプロバイダーであるNorsepower Oy Ltd.(以下、Norsepower社)は海事ソフトウェア、サービス、データ分析のエキスパートであるNAPAと同社の風力を活用した推進補助システム(以下、ローターセイル※1)とNAPA Voyage Optimization※2を組み合わせて発売することで正式契約を締結しました。 これにより、今後Norsepower社が販売するローターセイルには、オプションとしてNAPA Voyage Optimizationソフトウェアを選択することが可能になりました。本システムは新造船だけでなく既存船にも導入可能で、燃料節減と排出ガス削減に貢献します。また、航路最適化とローターセイルの組み合わせは、2つの技術のどちらか一方だけと比較して、運航性能向上の大きな可能性をもたらします。このソフトウェアは、航海中の海気象条件や個船の実海域性能、運航要件を考慮し、省エネ効果を最大化するための最適な航海計画を決定します。 Norsepower社のローターセイルは、マグナス効果※3を利用して風力を利用し、推力を発生させる回転円筒「フレッツナーローター」を現代風にアレンジしたもので、燃料消費と排出ガスを平均10~25%削減することができます。このソリューションは、これまでに6隻に搭載され、道路、海上、鉄道の物流専門会社であるCLdN社より追加発注も決定しています。 NAPA Voyage Optimizationにより、船長や船舶管理者は天候の状況に応じて、燃料消費量と排出ガスを最小限に抑える航路を選択することができます。重要なのは、提案される航路が、異なる条件下での性能を評価・予測する船舶固有のデジタルモデルを用いて、各船の設計や特性に合わせて設定されることです。これにより、Norsepower社のローターセイルが船舶の性能モデルに考慮され、最適な航路が提供されることになります。 Norsepower社のCEOであるTuomas Riski氏は、このパートナーシップについて次のように述べています。「当社のローターセイルは、すでに燃料消費量と排出ガスを最大25%削減することができますが、NAPA Voyage Optimizationと併用することで、その効果を最大化します。エネルギー転換の課題の大きさを考えると、既に商業的に証明されたソリューションを組み合わせることで、船主は環境規制目標をクリアするだけでなく、それを上回る次のステップに踏み出すことができます。また、現在このようなソリューションを既に活用している船は、より早く脱炭素化することができると考えています。また、燃費実績の格付け精度(CII)スコアを向上させ、ポセイドン原則※4(Poseidon Principles)や海上貨物憲章※5(Sea Cargo Charter)などの指令の要件に影響される船舶金融ポートフォリオをサポートすることができます。NAPA社とのパートナーシップにより、当社のローターセイルから最適な結果を得るためのターンキーソリューションで、お客様への提案を強化できることを誇りに思います。”」 また、NAPA Shipping SolutionsのExecutive Vice PresidentであるPekka Pakkanenは、次のように述べています。「高度な天候ルーティングはすべての船舶に不可欠ですが、特に風力アシスト船には重要です。風力推進ソリューションが多くの外航船舶で現実のものとなりつつある今、当社は、個々の船舶の設計データを考慮し、あらゆる気象条件下で様々なクリーンテックソリューションを完全にモデル化できる航海最適化ソフトウェアによって、これを次のレベルへと推し進めようとしています。これは、当社の数十年にわたる船舶工学と性能モニタリングの専門知識によって可能となったものです。この強力な技術の組み合わせにより、世界中のより多くの企業がサステナビリティの目標を達成できるよう、Norsepower社と協力できることを嬉しく思っています。 ※1 ローターセイル: 風力を活用した推進補助装置 ※2 NAPA Voyage Optimization: NAPA社提供の航海最適化ソルーション ※3 マグナス効果:回転しながら進む物体にその進行方向に対して垂直の力が働く現象 ※4 ポセイドン原則(Poseidon Principles): 2019年6月に気候変動に関する取り組みを船舶融資の意思決定に組み込むためことを原則として発足 ※5 海上貨物憲章(Sea Cargo Charter): 2020年10月に荷主や海運会社が海上貨物輸送に起因するCO2排出量を算出・評価・公表する共通の枠組みを規定することを原則として発足 […]
Read Article4月 7, 2022